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- ウェークアップ!ぷらす×日本大学「どうなる日本!?」 ~この国の危機への処方箋~
シンポジウム報告
危機管理めぐり熱い議論 創立130周年記念シンポ
日本大学創立130周年記念シンポジウム(主催・読売テレビ、日本大学)が10月1日、ホテルオークラ東京(港区虎ノ門)で開催された。中国の海洋進出、北朝鮮のミサイル・核実験、イスラム過激派によるテロなどで内外の緊張が高まるなか、「どうなる日本!?~この国の危機への処方箋~」と題して、石破茂元防衛相が基調講演し、その後のパネルディスカッションでは福田充危機管理学部教授や外交・防衛問題に精通した衆院議員らを交えて白熱した議論が展開された。
同シンポは読売テレビの報道番組「ウェークアップ!ぷらす」のスピンオフ(番外)企画で、番組の辛坊治郎、森麻季両キャスターが司会を務めた。冒頭、大塚吉兵衛学長があいさつに立ち、「世界で活躍できる危機管理の専門家を養成する新学部を開設した」と強調。シンポで得た知見を新学部の教育・研究に生かしたいとの考えを示した。辛坊氏は大塚学長に「起きてほしくはない事件や災害が頻発している」と語りかけ、時宜を得た新学部のスタートに感服の表情を見せた。
石破元防衛相は基調講演で「『国民主権』は教育の場で学ぶが、『領土、国民、統治機構から成る国家主権』は日本国憲法にない。国内の治安を守る警察、対外実力組織である軍隊。その区別すら曖昧だ」と発言した。具体例の一つに尖閣問題を挙げ、外国公船の取り締まりを海上保安庁、さらに海上自衛隊が「警察権」で対応する現在の法的枠組みに疑問を示した。「何か起きたときに六法全書を開いていてはどうにもならない」などと述べ、危機管理分野で法律的な整理ができていないとの見解を示した。
シンポジウムでは福田教授が行った、安倍政権の安保関連法に対する意識調査について紹介。同教授は「法律の内容より、国民への説明や強行採決など手続きへの不満が多かった」と説明した。
石破元防衛相は「政治家は安保・防衛の議論を回避しがちだが、必要なことは主張すべきだ」と述べた。福田教授も「大学でもこれまで安全保障、テロ対策を教育・研究するのに及び腰だったが、危機に対処できる人材を育成しなくてはいけない」と強調。新学部開設の意義を語った。