男子バレーチーム(左側)と女子バレーチーム(右側)
春の高校バレー、第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会の茨城県予選を、男女ともに土浦日大が制した。男子は2年連続11回目、女子は2年ぶりに女王奪還、18回目となる。予選を制した思い、本戦への意気込みを伺った。
本大会は、2020年1月5日(日)、6日(月)、7日(火)、11日(土)、12日(日)、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザにて開催される。
現2年生の選手層の厚さも昨年から勢いをつけている一因
「去年から試合に出て(予選優勝して)いる選手が多いので、今年も勝てるだろうという周囲や学校側の期待が、実はプレッシャーでした。勝てて本当にほっとしています。昨年優勝した驕りがどこかで出てしまわないかなと考えながら、ずっとプレッシャーと戦う1年でした。選手には常に“勝って驕らない”を言いながら、浮かれず、変わらず、やってきました」正直な思いを聞かせてくれたのは、監督3年目となる吉田達也監督だ。
ミスの原因は「何か一つが正しい、ではなく、この範囲ならよいけどどうだろうと提示しながら気づかせてあげたい(吉田)」
―3年の間で、指導に変化はありましたか?
春高を逃した3年前は、指導側がやろうとすることと、選手側ができることに差があったように感じます。まずは点数になる攻めのサーブやレシーブ、ブロックも練習量を増やすことから始めました。今は選手に合わせて伸ばすところを変えています。
―できること、やりたいこと、の違いとは?
選手は派手なことをやりたくなります。速いバレーとかコンビバレーとか。でもそれは直接勝ちには繋がらないしミスするリスクもある。最終的にはそうしたプレーもできるとよいと思いますし、今では少しずつできてきて、インターハイのときよりも攻撃パターンは増えました。
他校の練習もよいと思えばすぐに取り入れる。「(意外と練習しない)チャンスボールを取れないチームは絶対に勝てないので大学の練習をアレンジして取り入れました(吉田)」
―大学生との練習はどのような効果がありますか?
高校生にはないパワーと高さがあるので、そのスパイクを1本拾ったとか、サービスで取ったとか、1点取るだけでも選手の自信になります。日大は土浦まで来てくれてありがたい。
―指導において大切にしていることはありますか?
声を出すことは、絶対どこにも負けない。元気よく、楽しく、でも厳しく、よい具合を意識しています。勝つチームは最後に笑っているし、つまらなそうにしても絶対勝てない。だから楽しく!先に25点取ればよいので。23点取られてもね。
―チーム構成は毎年替わりますが、強くあり続けるためにどのようなことを続けていきますか?
負けたくてやっている子は一人もいないので、勝ちたい気持ちをどう継続させて結果に繋げるかです。コーチの時代を含めると10年指導をしてきて、目の前の選手が何を考えているか、ちょっとずつわかってきました。だから、勝ちたいならこれをやっておこう、と伝えられる。強制はしません。楽しくなきゃだめです。
主将を務める2人からも、吉田監督が伝え続けてきたであろう「驕りなく」「やってきたことを大切に」の精神が自然に溢れた。
齊藤翔紀選手(3年)チームキャプテン「どのチームに対しても自分たちのバレーができる実力をつけたい」
立原佑都選手(3年)ゲームキャプテン「インターハイと昨年春高のリベンジを込め、まずは二回戦以上を勝ち抜きたい」
―予選2連覇がかかる中どんな思いで挑みましたか?
齊藤「春高は三年生の集大成として絶対勝とう、と。予選の数日前に同じ三年の4番佐藤が大怪我をして、手術で大会にも来られない状態でした。だからその佐藤のためにも。勝つ理由がたくさんある試合の中で結果を出せて、しかもストレートで勝てた」
立原「プレッシャーを押しのけてしっかり連覇できてよかった。昨年全国大会を経験して自信をつけた分、過信しないように、隙のない練習をしてきました」
―過信しないための練習について、具体的にお聞きしてもよいですか?
立原「レベルの高い大学生との練習を通して、自分たちがどのようなことで通用するのか、しないのか、はっきりわかりました。だから過信せずに本番でも自分たちのバレーができたと思います。高さやパワーが違う大学生を相手に、どうしたら対等にできるかを考えて練習していたことが、高校生同士で戦った時に発揮されたかなと思います」
目標は「ベスト4」と思いをそろえる。最終的には優勝を目指して。
齊藤「エースの立原頼りばかりでなく、攻撃パターンを広げた上でエースでも勝負、というバレーをしたい」
吉田「センターコートで戦わせたい…!そして目標はやっぱり楽しくやることかな。それが1番です」
次回は<女子編>をお届けします。