トレーニングの月曜・水曜は18時半くらいに練習終了。「自分の時間もありますし、 1日のオフもバレー部で集まって遊ぶほど一緒にいます(山﨑)」
第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会茨城県予選で土浦日大女子が 2年ぶりに優勝。亡き石崎監督の思いは変わらず息衝いていた。
「石崎先生はマネジメントに関わることも口うるさかった。今とても生きています」飾らずに話してくれた伊藤コーチ
「新人戦のあとは大事な大会でずっと勝てていなくて。半年間くらいずっと」伊藤祐樹コーチは選手たちのこれまでの悔しさを滲ませた。
「大会の一週間前にセンターの山﨑が前十字靭帯を怪我し、今回はマネージャーとしてベンチにいました。ずっと一緒にやってきたメンバーですから、みんなで山﨑を絶対春高に連れていくという思いが強かった。勝った時に山﨑は号泣、みんなで抱き合いました」
「いいブロックができるとレシーバーともうまく連係できます(村野) 」
―長く強豪であり続けられるのはどうしてですか?
石崎時代からの「伝統」です。メンバー間にも伝統やルールがあるようで、土台をつくり受け継いできた先輩方がすごいのかな。3年生やキャプテンを中心に、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいと本音をぶつけ合ってきたことも今年の強さに繋がったと思う。良い関係が築けているからできることです。
―ブロックに特長がある女子チームは少ないですか?
石崎先生はもともと14年くらい男子のコーチをしていました。女子の監督になる時に「男子を指導してきた自分がこだわれることは何か」を考えた。それが、ずっと力を入れてきたブロックでした。女子のネットは 2.24メートルで男子より低いので、強化次第で手を速く出せるようにもなる。
女子はブロックで仕掛けるというよりも、レシーブしてから攻撃する考えが一般的かもしれません。でも石崎先生は、ブロックは(レシーブの前に)点数を取りにいける、一番の守備で攻撃だという感覚を持っていました。この場合はこう止める、これには手を出す、このステップでいく、とか。
―他校も真似したくなりそうな内容ですね。
仲の良い学校とおしえ合うことはあります。レシーブの上手な学校とは、そのレシーブを一緒に練習させていただくとか。そうした交流のある、石崎先生の頃から一緒に頑張ってきた学校(敬愛学園、國學院栃木、西邑楽と、ここ数年親交がある三重高校)すべてが今年はそろって春高出場を決めました。石崎先生が見てくれているのかな、なんて。
―強さを維持する大変さは感じますか?
親交がある学校が皆春高本戦に進む今回のような環境にいさせてもらえる間は、強くいられるのかな。ランクを下げたり相手にされなくなったりすると、その環境なりの練習になるのではと。例えば春高が決まれば同じく春高の出場チームとしか練習試合をしないとか、プライドを持ってやらざるを得ない。その継続は大変です 。
主将の村野選手や山﨑選手ら3年生は、下級生ともよく話すことを心がけメンバー同士の距離を縮めてきた。
村野可歩選手(3年)キャプテン「今年は高さ(長身)をいかしたブロックと粘りのレシーブが武器」
山﨑若菜選手(3年)センター「(怪我で試合に出られず)悔しかった。でもそれ以上に出場が決まって嬉しかった」
―どんな思いで女王の座を取り返しにいきましたか?
村野「インターハイの予選敗退を糧に絶対に春高にいこうと、どこがだめだったか自分たちで徹底的に話し合い対策を練って挑みました」
―本戦ではどのように戦いたいですか?
山﨑「私たちのブロックを全国で試してほしい。そして相手がどんなに強くても、粘り負けしないで。上がったボールはみんなでカバー、誰かを一人にしないことを常に意識してきたレシーブも武器なので」
村野「茨城はレベルが低いと言われますが、自分たちらしいバレーができれば強いと思う。ブロックを武器にできるチームを目標にしていた石崎先生の意思も引き継いでいます」
女子も目標は「ベスト4」。
伊藤「昔から春高のような大会ではメダルが目標です。一戦一戦、一勝を積み重ねて、本当に勝ちたい。試合は何が起こるかわかりませんから相手ばかりに影響されずに」
山﨑「予選前に3年生の一人ひとりに手紙を書きました。みんなでここまで頑張ってきたから最後までしっかりサポートしたい。最後の大会を楽しんでほしい」
「選手もスタッフもみんなで勝とうと頑張ってきた(伊藤)」その言葉通りの一体感が伝わってくる時間だった。
第72回全日本バレーボール高等学校選手権大会 1回戦
日程: 2020年 1月5日(日)
会場:武蔵野の森総合スポーツプラザ
京王線「飛田給駅」下車徒歩5分
(男子)土浦日大 VS都城工業(宮崎)12:25開始予定
(女子)土浦日大 VS九州文化学園(長崎)10:15開始予定