学生FD CHAmmiT
学生の提案を授業に生かす初のZoom開催

学び・教育
2021年03月12日
日本大学会館大講堂で開催された「学生FD CHAmmiT」

日本大学会館大講堂で開催された「学生FD CHAmmiT」

師走を前に一段と冷え込んだ昨年11月29日。日本大学会館大講堂では「学生FD CHAmmiT」が開催され、会場は学生らの若いエネルギーで満ちていた。

実行を危ぶまれた第8回CHAmmiTを終え、代表を務めた竹田匠さん(商3年)は「成功できて本当に良かった。今日の成果を授業やゼミ、研究室で提案してもらえたらうれしい」225人の参加者に語りかけた。過去7回と違ったのは言葉の先にいたのが聴衆ではなく、パソコンだったことだ。

自主創造を具現

「FD CHAmmiT」のFDはFaculty Developmentの略で、本学では、「自主創造の理念の下に日本大学を取り巻く外的諸要因をも分析して、学問領域単位での教育プログラムを常に見直し、それを実行するため、教員が職員と協働し、学生の参画を得ながら組織的に取り組む諸活動」と定義。要は学生参加型の教育改善活動だ。

「CHAmmiT」とは「CHAT」と「Summit」を組み合わせた造語。みんなで気軽な話をするという思いが込められている。FD推進センター長の本田和也副学長は「本学は学部が離れ離れなので学生が一堂に会して話し合えるのが最大の魅力」と語る。

一通のメール

「FD CHAmmiT」の主役はあくまでも学生スタッフの49人。毎年4月、各学部、通信教育部から1人以上が推薦され、公募でも募集する。企画立案や全スタッフのリーダーとなるコアスタッフは公募での志願の上、FD推進センターで選定する。教職員は原則、補佐役に回る。

コロナ禍で延期論が大勢を占める中、コアスタッフの一人、青砥光希さん(文理3年)から1通のメールが届いた。「毎年行われているCHAmmiTの伝統を大切にしたい。今年はオンラインでやりたい」

この一言がFD推進センターを動かし、連続開催につながった。Web会議ツール「Zoom」を使用した初の開催となったため担当教職員も連日、昼夜を問わない支援態勢を組み学生の意気に応えた。

学部に改善を要望

司会進行を務めた青砥さん(右)と吉田未來さん(通信教育部4年)

司会進行を務めた青砥さん(右)と吉田未來さん(通信教育部4年)

今回のテーマは「ミライの大學生へ。~オンライン授業のミライのカタチ~」。これまでの対面のCHAmmiTでは模造紙にさまざまな意見が付箋で張り付けられていくが、今回はGoogleの「Jamboard」をいわゆるオンライン上の模造紙に仕立て上げた。

セッションは三つ。「オンライン授業のメリット・デメリット」で現在の授業への不満や良い点を総ざらいし、続く「オンライン授業のミライのカタチ」では、第1セッションの結果をもとに今後の方向性を探った。

そしてこれらのディスカッションをもとに各学部のオンライン授業の改善策および要望書の提案をまとめあげた。

成長の糧に

さらに今年2月には学生スタッフ参加の事後ミーティングを実施した。CHAmmiTで作成された提案をブラッシュアップしたほか、CHAmmiT活動を通じた自身の成長を具体的にイメージするワークを行い、発表し合った。

1年を通じ学生を見守るFD推進センターでは「CHAmmiTを通じ、コミュニケーション力や協働力など日本大学教育憲章の八つの能力が成長しているのでは」(佐賀友美氏)と語る。

初めて挑戦したオンラインでのCHAmmiT。年1日の大イベントのために、半年以上準備に明け暮れはしたが、学生スタッフが得たものは決して小さくなかったようだ。