本に触れる楽しさで読書意欲向上を図る「学生選書」

学生目線の魅力ある図書館づくりへ

学び・教育
2021年08月09日

本学は各学部に図書館分館を設置している。館内には、学生のニーズを反映して学生目線の魅力ある図書館づくりを目的とした「学生選書」コーナーが設けられている。

これまでは学内を飛び出し、大型書店で実施していた。コロナ禍で見送られているが、時代に合わせた「オンライン選書ツアー」と形を変え、本を手に取る機会を創出している。話題の本、おすすめの本のほか、授業に有用な本を配架する各図書館の学生選書を紹介する。

オンライン選書を実施した三軒茶屋キャンパスと薬学部

6月10日に開催した三軒茶屋キャンパス図書館分館では、書店が運営するシステムを使い、オンラインで選書ツアーを実施。参加者は、自身が選んだ本を1カ月間、優先的に借りることができる。選書は、読書後に選書した学生から感想や推薦コメントを提出してもらい、貸し出し後は館内に展示する予定だ。

2016年から学生選書を取り入れている薬学部は5月7~13日に実施。1~6年の学部生17人と大学院生1人の計18人が参加、163冊が選書された。「今までの書店選書ツアーは他に予定があると参加できなかった」という声もあり、オンラインだからこそ、場所や時間を選ばず気軽に参加できるメリットもあった。

学生選書の先駆・理工学部は学生ボランティアが活発

理工学部では過去、三省堂書店神保町本店など書店で選書ツアーを実施した

理工学部では過去、三省堂書店神保町本店など書店で選書ツアーを実施した

「学生のための図書館」を目指し、理工学部分館では、学生ボランティア*が平成22年度から活動している。コロナ禍で昨年は学生の活動ができなかったが、今年は学生ボランティアの募集を再開。1年生4人、2年生1人が加わり計18人で運営。主な活動の学生選書は、本屋大賞の受賞作にコメントをつけて配架。ほかの学生の感想を見ると来館した学生は読書意欲がわき、貸出の促進につながっている。そのほかに館内で図書展を企画。目的の本以外に触れる機会を創出し、学修の手助けになっている。

*理工学部のLA(Library Associate:利用者の視点から学生のための図書館を作る活動を行っている学生ボランティア団体)

文理はラーニングアシスタント(LA)が選書を設置

文理学部は、選書ツアーの実施は見送ったが、学修の場であるラーニングコモンズに、大学院生によるラーニングアシスタント(LA)が選書を実施。POPにも工夫を凝らして展示している。

人文・社会・理学系の18学科から成る文理学部。さまざまな分野の選書を置くことで、それぞれが何を学んでいるのか触れる機会をつくり、学生間の交流を活発化させる狙いがある。

対面授業が徐々に再開された今年度。キャンパス内に少しずつ学生の足音が戻ってきた。各学部は、図書館内の入場制限やソーシャルディスタンスといった感染防止対策を講じながら、学生の学びの視野を広げていくために本を読む有意義な機会を創出している。