女子中高生に理系進路の選択機会を支援
13の実験で理科興味のきっかけをつくる

生物資源科学部

学び・教育
2021年10月06日

生物資源科学部はこのほど、サイエンススクールforガールズ&バイオサイエンス・スクールをオンラインで開催。約100人の女子中高生が参加した。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大を避けるために中止し、2年ぶりとなった。

本イベントは、女子中高生に理系進路の選択機会を提供・支援することで、将来の女性研究者・技術者の育成にもつなげる、男女共同参画推進委員会の事業の一環で企画された。

13の実験で興味のきっかけをつくる

事前に参加者へ13の実験動画を配信。視聴した上で当日、生命化学科・関泰一郎教授の「最先端のバイオサイエンス&バイオテクノロジー」の講義を行った。その後、13の実験ごとにオンライン上の部屋に分かれ、実験に関する質疑応答やディスカッションを実施。最後に、大学院生と参加学生のみで、大学院生から研究や学生生活について、参加した学生と本音で話す機会を設けた。参加者からは「生物や化学に興味を持った。研究についてイメージできた」という声が上がった。

実験:植物ホルモンのはたらき~農業への応用~

13の実験動画の一つ、「植物ホルモンのはたらき」(生命農学科・東未来助教)を紹介する。

「学校で習う内容を、大学ではどう発展させているかを伝えたい」と東助教は考えた。テーマにした植物ホルモンは高校の生物で習う内容だが、実際にどう農業に役立っているかを学ぶのは大学ならでは。

細胞分裂により細胞を増殖させたいときに使うホルモン、根を出したいときに使うホルモンがあり、種類も機能もそれぞれ違うという。「植物ホルモンのはたらきを説明しつつ、実際に植物ホルモンを利用することで植物の姿がどのように変わるのか」を実験動画で紹介した。

青いバラから本学へ

東助教は高校生の時に、世界で初めて作られた遺伝子組換えの青いバラのニュースを見た。

「『青いバラ』と言えば絶対にできないものの象徴のようなものだったのに、それを作ってしまうようなバイオテクノロジーにとても興味を持ちました」

生物・農学に興味を持ち専門的に学びたい大学を探した。植物と動物が一緒になっている大学が多い中、植物を専門的に学ぶことができ施設も充実していたのが本学生物資源科学部だった。

「教科書に書いてある概念や基礎的なことを知識として学習したとしても、実際にそれがどのように生活に関わっているのかということまではなかなか意識されていないように思います。受験においては、生物は暗記科目という認識がなされているように思いますが、実際には名称を覚えるよりもどのようにして生物は成長して、環境に応答して、生きているのか、全容を理解することの方が大事」と東助教は言う。

夏休みを利用して参加した約100人の女子中高生に「まず理科が楽しいと思うきっかけを提供すること」という学部の思いが参加者にも届いたイベントになった。

実施実験内容

Menu1   植物ホルモンのはたらき ~農業への応用~

Menu2   窒素栄養をめぐる関係 ~マメ科植物と根粒菌の共生の仕組み~

Menu3  発酵の力 ~普段は見えない微生物の力を見よう!~

Menu4  酵素を使ってGABAを測る ~”誰でも簡単に”を目指して~

Menu5  食中毒菌の見つけ方 ~リアルタイムPCR法~

Menu6  アミノ酸の分析 ~食べ物のおいしさを解き明かそう!~

Menu7  血液が固まる仕組み ~血小板凝集を見てみよう!~

Menu8  食べ物の香りを分析してみよう

Menu9  森が生み出す化学成分の世界

Menu10  内側からみた樹木、空からみた森林

Menu11  これって誰の歯? ~食性と歯の関係~

Menu12  薬を作る菌をさがす ~放線菌の分離~

Menu13  豊かな食を支える酵素 ~調理や食品加工で活躍する酵素~