熱くなれ2020!!
日大アスリートとともに

棒高跳 江島雅紀 選手

スポーツ
2020年02月14日

完全復調を果たした2019年

2019年は日本選手権で優勝し、世界陸上に出場。一時期の不調から完全に脱した江島雅紀選手(スポーツ科学部3年)。彼は何を改善し、そして何を思って2020年に挑むのか。これまでの軌跡、メンタルを保つ秘訣、2020年の目標などを聞いた。

棒高跳 江島雅紀 選手

江島雅紀 選手

―昨年はどんなシーズンでしたか?

一昨年から踏み切りに対する恐怖心が生まれ、記録が伸び悩んでいたのですが、そこから脱却することができました。一年を通して大きなケガをしなかったのも初めてでしたし、最後には諦めかけていた世界陸上にも出場できた。僕にとっては復活できた、いい1年になりました。

―踏み切りを改善されて結果が出たということですね。

はい。それまでは踏み切りに頼らないスタイルである程度結果も出ていたのですが、やはり棒高跳では踏み切りは大事で、おろそかにしていた部分を改善しました。単純に苦手意識が強かったのですが、陸上競技部のみんなに温かく、そして厳しく見守ってもらい、「やらなきゃいけない」と思えたことが自分の中では大きかったですね。

―何を変えたことが踏み切りの改善につながったのでしょう?

今までは棒高跳の選手だけにアドバイスをいただいていたのですが、同期の橋岡優輝など、他競技の跳躍選手からも話を聞くようになりました。それからは視野が広がり、踏み切りが変わっていきました。

―世界陸上に出場して何を感じましたか?

実際に世界陸上の舞台に立って、基本的なことはあまり日本と変わらないということがわかりました。トップ選手は本当にすごいのですが、その他の選手に壁は感じませんでしたし、僕でも充分やれると感じました。

―トップ選手というのは、どなたかお聞きしてもよいですか?

スウェーデンのデュプランティス選手です。年齢は僕より一つ下なのですが、あのセルゲイ・ブブカ選手の世界記録を超えると目されている史上最年少の6メートルジャンパーです。僕は6メートルを一つの目標にしているのですが、彼は10代で既にその記録を超えていますし、実際に跳躍を見て、かなり遠い存在に感じました。僕が彼に勝つには最低でも2、3年は必要でしょうね。

江島雅紀 選手

「楽しくやる、ということはいつも変わりません。練習や競技を通じた人との関係に関してもです」

―大学入学後は多くの海外遠征を経験されていますが、そこから得たものは何でしょうか?

英語ですね。今の主な遠征先はロスなのですが、言葉が上達したことが、競技力の向上にもつながりました。遠征先でも不自由なく生活できますし、競技についても気になったことをすぐ聞くことができるようになりました。初めての遠征では言葉がわからなくて、見て盗むしかなかったので、それは辛い思い出として印象に残っています。

―辛いことがあったとき、それを解消するために何をしていますか?

ディズニーランドに行くことですね。とても大好きで、東京では年間パスポートを持っていますし、アメリカでも3回行っています。厳しい練習があっても、「この後にディズニーに行く」と思うと頑張れます(笑)。僕はオンとオフの切り替えがはっきりしているので、オフでの楽しいことがメンタル面を支えていますね。ちなみにドナルドダックが大好きです(笑)。

―ありがとうございます。棒高跳のここを見てほしいというポイントはありますか?

信号機の高さは5メートルなのですが、僕らはそれよりも高く跳んでいます。ですからもし見ていただけるなら、あの信号機より何センチ、何メートル高い所を跳んでいると想像してもらえると、楽しく見ることができると思います。

―2020年の目標を教えてください。

東京五輪で決勝に行って入賞することです。もちろんメダルを獲得したいという気持ちはありますが、まだ参加標準もクリアしていませんし、現実的に考えて、まずは入賞というのが僕に必要なことです。そのためにこの冬のトレーニングを頑張ります。

―最後にこれから世界を目指すアスリートにアドバイスをいただけますか?

僕にはオリンピックに出場することとディズニーランドのキャストになるという2つ夢があるのですが、2つの夢が人生を豊かにしてくれていますし、毎日を楽しく過ごすために重要なことだと考えています。ですから、夢を持って楽しく競技を続ける気持ちを持っていてもらいたいです。それが物事を解決していく力にもなり、いずれ世界につながると思います。

<プロフィール>
江島雅紀
えじま・まさき/スポーツ科学部競技スポーツ学科3年。
1999年3月生まれ。神奈川県出身。荏田高卒。
自己ベストは2019年上総走高跳・棒高跳記録会の5m71(日本歴代3位タイ)。
国際大会:17年ユニバーシアード競技会4位。18年U20世界選手権4位。
国内大会:第103回日本陸上競技選手権大会優勝。