熱くなれ2020!!
日大アスリートとともに

やり投 北口榛花 選手

スポーツ
2020年02月07日

たくさんの出会いを経て今がある

2019年に日本新記録を2度樹立。北口榛花(スポーツ科4年)の名は一躍日本中に轟いた。東京五輪のメダル候補として注目される彼女に、ここまでの成長の要因、2020年の目標を聞いた。

やり投 北口榛花 選手

北口 榛花 選手

―昨年は日本記録を2度も更新し、充実のシーズンでしたね。

記録が出たことはよかったのですが、世界陸上では悔しい思いをしましたし、満足はできませんでした。投てき種目は狙った試合で記録を出すことが醍醐味であると考えているので、これからの課題が浮き彫りになったシーズンでした。

―現在はチェコを拠点にされていますね?

初めて海外を拠点に競技をするというチャレンジをして、自分が思い描いた競技人生の在り方に近づけていると感じています。ここ数年は苦しいシーズンが続いていましたが、脱却できたのは海外を拠点にしたからですね。

―チェコに拠点を移したことで何か変化はありましたか?

たくさんのつながりがあって今のチェコ人コーチに出会えました。大きな変化は、誰か一人だけにおそわるスタイルから、いろいろな方の考え方に触れて自分自身が選択をしていくスタイルなったことです。チェコに拠点を移したことで劇的な変化があったというよりは、いろいろな方との出会いが積み重なり、徐々にポジティブに競技と向き合えるようになりました。

―具体的にどのような点がポジティブになったのでしょう?

助走です。高校時代からずっと「一生懸命走らなくてはいけない」と考えていたのが、今は「どれだけ楽に走れるか」を第一に取り組むようになりました。今も苦手ではありますが、助走に対して「次はもっと速く走ってみよう」と思えるとか、プラスの要素がどんどん出るようになったのは大きな変化です。

―昨シーズンは海外の試合に多く出場されていましたが、そこから得たことはありましたか?

他国の選手と友人になれたことですね。世界陸上のピットの中も友人が多く、臆することなく試合に臨めました。またどんなに強い選手でも失敗をすることがあるし、同じ人間なんだと感じることができたのも収穫です。

―世界陸上を戦い、ライバルもしくは「すごい」と感じた選手はどなたでしょうか?

そういった選手はいません。中国人選手はすごく安定感がありますが、それでも勝てると思いましたし、自分もそのレベルに近づいていると感じています。そう思うのは現在の女子やり投に突出した選手がいないからというのもあります。

北口榛花選手は2019年3月に日大を卒業する

「日大は自由でいられる環境をつくってくださるので、伸び伸びできました」北口選手はこの3月に卒業を迎える

―これまでの経験で心身ともに大きく成長されたと思うのですが、メンタルを保つ秘訣はありますか?

食べ物です。試合中も、緊張したときやうまくいかないときには何かを食べるとリセットできます。昨シーズンはカステラをピットの中でパクパク食べていました(笑)。甘いもののなかでもカスタードが好き。バニラアイスも好き。試合以外にも何かいいことがあったらご褒美としてスイーツを食べに行きます。

―やり投のここを見てほしいというポイントはありますか?

投てき種目の中でも一番大きな放物線を描くのがやり投なのですが、選手によってライナーで投げたり、ふんわり柔らかな弧を描いたりします。助走の速さもパワーも異なるので、そういった選手による違いに注目してもらいたいです。

―2020年の目標を教えてください。

東京五輪でのメダル獲得です。出場できるだけでもうれしいですが、出るからにはメダルが欲しいですし、それが可能な位置まで自分のレベルが上がったと思います。

―最後にこれから世界を目指すアスリートにアドバイスをいただけますか?

競技と直接関係がなくても、いろいろな分野の人とつながることで新しい発見があり、それが競技にもいい影響を与えてくれます。ですから自分からいろいろなことを探しに行き、知らない世界を見に行ってください。

<プロフィール>
北口榛花
きたぐち・はるか/スポーツ科学部競技スポーツ学科4年。
1998年3月生まれ。北海道出身。旭川東高卒。
自己ベストは2019年北九州陸上カーニバルの66m00(日本記録)。
国際大会:16年U20世界選手権優勝。19年ユニバーシアード競技会2位。
国内大会:第103回日本陸上競技選手権大会優勝(大会新)。