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日大アスリートとともに

競泳 バタフライ 長谷川涼香選手

スポーツ
2020年02月28日

己に打ち克ちベストタイム更新へ

一時期の不調から脱却し、2019年に2年ぶり2度目の日本選手権制覇を果たした長谷川涼香選手(スポーツ科学部2年)。本来の力を取り戻すきっかけとなったのは、コーチに復帰した父・滋さんの存在があったからだ。リオ大会を経験した彼女に現在の心境、2020年の目標などを聞いた。

長谷川涼香選手

長谷川涼香選手

―2019年は日本選手権200mバタフライで優勝し、世界水泳にも出場しました。ご自身で振り返って、昨年はどんなシーズンでしたか?

結果が出ずに終わった2018年から昨年の4月に向けて調子は上がり、目標とするタイムには届きませんでしたが、日本選手権で優勝することができました。しかしその後の世界水泳では調整ミスをしてしまい、決勝に進出することができなかったので、もっと自分自身で考える必要があると感じました。

―調整ミスの原因はどこにあったと思われますか?

普段と世界水泳ではコーチが違うので、当然練習内容も異なるのですが、自分自身でもっと考えて調整をするべきだったと大会後に反省しました。

―普段はお父さんの滋さんから指導を受けているそうですね。

はい。水泳を始めた当初は父の指導を受けていて、中学入学ごろからずっと飯塚正雄コーチに師事していたのですが、18年の10月から再び父がコーチになりました。それからはマンツーマン指導になりましたし、父の考える練習法は私自身も必要な練習だと考えていたので、復調できたのは父の存在が大きいですね。

―では現在(20年1月)は調子が上がってきていますか?

いい練習ができているとは思いますが、試合になると自信がなくなり、不安の方が強くなってしまいます。リオ大会のときには「オリンピックに出場できなくても仕方がない」と開き直って挑戦できたのですが、今は「出場しなければならない」と考えていますし、周囲の期待の大きさも感じています。ただ気持ちはまだ追いついておらず、練習でできることが試合ではできないという状態で、4月の選考会までには克服しなければなりません。

―誰かに勝つというよりも自分自身に勝つことが、まずは必要だと考えていらっしゃいますか?

そうですね。今のタイムではオリンピックに出場できても、戦うことができないと考えています。ですから勝ち負けというよりは、自分の目標タイムをクリアすることを目指して練習に取り組んでいます。

オリンピックを経験しているからこそ、初心に返ることを忘れずにやっていきたい

オリンピックを経験しているからこそ、初心に返ることを忘れずにやっていきたい

―話は少し変わりますが、日大に入学してよかった点はありますか?

施設が充実しています。トレーニングルームにはさまざまな機器がありますし、流水プール、低酸素トレーニング室なども備わっている環境はとてもありがたいです。プールまたは練習場が大学にない場合には2か所以上を回る選手もいますが、私は大学だけで済みますから、時間に余裕ができますし、いろいろな面でプラスになっています。家でリラックスできる時間も以前より増えました。

―なるほど。何かリラックス方法などはありますか?

特にありませんが、家ではテレビを見たり、ソファでくつろいだりして過ごしています。

―コーチであるお父さんとご自宅で水泳の話はされますか?

簡単にその日の練習について振り返ることはありますが、込み入った話はしませんね。お互いに昔からプールと家との切り替えができていたので、今も自然に過ごせています。

―コンディションを維持するために、何か気をつけていることはありますか?

体重管理をしています。私はお肉、特にハンバーグが好きなのですが、少し体重が増えてしまったときには、野菜や鶏肉などの鍋を食べて落としています。鍋だとお母さんも作るのが楽ですし、栄養のバランスも良いですからね。

―では東京オリンピックの出場が決まったらハンバーグでお祝いですね!

おいしいお店に食べに行きたいです(笑)。

―先ほど目標タイムのクリアを目指しているとお話いただきましたが、改めて2020年の目標を教えていただけますか?

まずは代表に選ばれ、オリンピックでしっかりと結果を残したいです。タイム重視というのは変わりませんが、目標タイムに到達すればメダルにも近づくのではないかと考えています。

―ずばり目標タイムを教えてください。

高校2年のときに出した自己ベストの2分6秒00を上回ることです。4月の選考会では6秒台を出し、その3か月後のオリンピックではベストタイムを更新できるように調整したいですね。目標を達成できれば、国際大会で結果を残すことにもつながると考えています。その結果メダルを獲得できなかったら、おそらく仕方ないと思えるでしょう。

―バタフライの見てほしいポイントはありますか?

息継ぎの回数、ストレートアームやハイエルボーといった腕の使い方など、よく見ていただければ選手によって泳ぎ方が違います。私は毎回息継ぎをしていますが、ロンドン、リオで銅メダルを獲得した星奈津美さんは水を2回掻く間に1回でした。私は腕の力、星さんはキックの力が強いので違いが生まれるのですが、タイムだけでなく選手個々のフォームにも注目してもらえるとうれしいですね。

―ありがとうございます。最後にこれだけは言っておきたい、伝えたいということは何かありますか?

私だけではなく、今回競泳代表を目指す全選手が同じ気持ちだと思いますが、池江瑠花子の分まで頑張りたいです。本当に速い選手なので、私1人だけでは難しいですが、代表選手が一丸となればカバーできるのではないかと考えていますし、みんなの頑張りが瑠花子に届けば、彼女の力になると信じています。

<プロフィール>
長谷川涼香
はせがわ・すずか/スポーツ科学部競技スポーツ学科2年。
2000年1月生まれ。東京都出身。淑徳巣鴨高卒。200mバタフライの自己ベストは2分6秒00。
国際大会:16年リオデジャネイロ五輪 女子200mバタフライ・9位/19年世界水泳韓国 日本代表
国内大会:19年第95回日本選手権 女子200mバタフライ・優勝