熱くなれ2020!!
日大アスリートとともに

競泳 バタフライ 持田早智 選手

スポーツ
2020年03月17日

私のような選手たちの、希望になりたい

2020年、持田早智(法学部2年)は自由形からバタフライに転向して4年目のシーズンを迎える。自身の泳ぎに確かな手ごたえを感じつつある持田選手に、リオ五輪の経験、日大の仲間たち、2020年の目標などを聞いた。

持田早智選手

持田早智選手

―2019年をご自身で振り返って、どんなシーズンでしたか?

バタフライに転向して3年目だったのですが、技術的なことや全体の力の配分、つまりレース展開など、細かい部分がわかってきた1年でした。レースの結果だけを見るといいとは言えないですが、今年につながるシーズンになったと思います。

―自由形からバタフライに転向して、何か違うことはありますか?

出場するレースは変わりましたが、陸上などと比べて、競泳は練習内容もそこまで変わりませんし、日常で何かが大きく変わるということはありません。

―リオを経験したアドバンテージはありますか?

選考会に向けた練習内容や姿勢などは五輪を経験してない選手よりは一枚上手であると考えています。それでも前回はリレーでの出場で、3位で代表に選ばれたのですが、今回の200mバタフライでは2位以内に入る必要があり、前回よりも厳しい戦いになります。前回と同じ頑張りでは代表になれないと思うので、4年前の自分を超えるという意識で取り組んでいます。

―リオ大会のときは高校生で、今回は大学生という違いもありますが、日大に進学されてよかったことはありますか?

同じ目標を持つ、レベルの高い選手がたくさんいることでしょうか。個性の強い選手が多く、楽しく練習できています。あとは他競技の選手もたくさんいることで刺激をもらえています。

―同じ目標を持つ選手がたくさんいることは、やはり心強いでしょうか?

はい。今はルネサンスと日大を練習拠点にしているのですが、ルネサンスでは1人で頑張っている意識があります。水泳は個人競技なので孤独で苦しいこともありますが、日大の練習ではそういったことをあまり感じません。大学生の競泳日本代表候補の半数は日大生ですし、とても心強いです。その反面、私だけ代表に選ばれなかったら…というプレッシャーもあります(笑)。

―日大の仲間も含めてライバルはいらっしゃいますか?

うーん、わからないですね。もちろん思い浮かぶ選手はいますが、特に高校生などは突然伸びる選手がいますから。誰かをライバルにして試合に臨み、全くマークしていない選手が争ってきたらペースが乱れてしまうこともあるので、誰かに勝つというよりは自分の目指すタイムをしっかり出すことが重要だと考えています。

―なるほど。長谷川涼香選手も同じようなことをおっしゃっていました。

「長谷川選手はライバルですか?」と、よく聞かれますが、仲がよく実際はそういう感じではないですね。個人競技だからこそ、自分自身と戦う部分が大きいです。

持田選手

テレビ番組は録画機能で見たいときに効率よく。「せっかちかな…」と笑うが、学部選択のお話に通ずるものを感じた

―スポーツ科学部ではなく法学部を選ばれたのはなぜでしょう?

競技をいつまで続けるかわかりませんが、大学卒業後の選択肢が広がると考えたからです。もちろん競技に携わる仕事も考えていますが、何か別のことをやりたくなったときに道をつくりやすいかなと。あとはスポーツ以外のことを学びたいということと、法学部が通いやすかったという理由もあります(笑)。

―勉強はお好きですか?

勉強に限らず自分の知らない世界を学べるのは楽しいです。法学部の友人は単純に私より頭がいいので、「スポーツができるだけじゃダメだ」と思わせてくれますね。

―法学部のお友達も応援してくれていますか?

私が水泳をしていることを知らない人は多いですが、仲のよい友人は応援してくれています。

―では東京五輪でメダルを獲得し、法学部のみなさんに覚えてもらいたいですね。

私は有名になりたい、目立ちたいとは思っていなくて…可能なら有名じゃないメダリストになりたいです。そんな人はいないと思いますが… (笑)。

―それはなぜでしょう?

単純に競技が好きで、頑張っていい記録を出したのに、注目が集まることで心ない言葉をかけられてしまうという選手が私の周りにいて、よく知らないのにそう言われるのは嫌だなって。もちろん純粋に応援をしていただけるのはうれしいですし、大変ありがたいことですが、それと比例して競技だけでなく、その人自身を批判する方が増えるのは、とても残念なことですよね。それなら有名にならずに平穏に、平和に生きていきたいなと。

―そのお気持ちはよくわかります。持田選手は温厚な方なのですね。

どうでしょうか。八方美人ですし、強がりな面はあると思います。試合のときは基本的に不安ですが、そう見えないように振舞っています。今も不安はありますが、代表候補選手はみんな同じだと思うので、割り切っています。

―そのようなときのリラックス法はありますか?

YouTubeなどの動画が好きでよく見ています。チャンネル登録をして、新作が出れば必ず見る方もいます。

―なるほど、ありがとうございます。では改めて2020年の目標を教えていただけますか。

まずは東京五輪代表になることです。4月の代表選考では2分6秒4というタイムを目指しています。その先はまた新たに目標を立てたいと思います。

―ご自身の泳ぎのここに注目してもらいたいというポイントはありますか

難しいですね…私はこれというセンスを持ち合わせていないので…。

―そんなことはないと思いますが。

本当にないんですよ。後半に強くもなく、スピードがあるわけでもなくて、私よりセンスがある選手は山ほどいます。指導や練習とは別で、生まれ持って水の掴み方がうまい選手がいて、例えば池江瑠花子は本当にすごいですよ。

―どのような点が違うのでしょうか?

ゆっくり泳ぐときのフォームがきれいで、そのスピードが速いんですよ。中学生のときに初めて瑠花子の泳ぎを見て「この子はすごい選手なる」と思いました。当時は私の方が大会で結果を出していたんですけどね。そういった意味では日大の後輩の小堀倭加ちゃんも同じ印象を持ちました。

―では持田選手のストロングポイントはどこにあるとお考えですか?

彼女たちのように突出はしていませんが、平均的にできるということでしょうか。4月の選考会では、私のような選手たちの希望になれるように頑張りたいです。

<プロフィール>
持田早智
もちだ・さち/法学部経営法学科2年。1999年7月生まれ。奈良県出身。千葉商科大学付属高卒。
国際大会:16年リオデジャネイロ五輪 女子800mフリーリレー 日本代表/18年パンパシフィック水泳選手権200mバタフライ 2位
国内大会:19年第95回日本選手権 女子200mバタフライ4位