すべてを懸けて望んだ選考会
手にした栄光を胸に世界最高峰の舞台に挑む

スポーツ
2021年05月03日

4月3日から10日の8日間で開催された、第97回日本選手権水泳競技大会。東京オリンピックの選考会を兼ねたこの世界レベルで争われるこの大会で、日大水泳部が躍動した。

プレッシャーがかかるレースを乗り越え、日大水泳部から6人の選手がオリンピックへ

競泳競技の国際大会の日本代表選手選考は、非常に厳しい。特に、オリンピックの選考会は、どの競技よりも、どの国よりも厳しいと言われている。

その理由は、この大会の決勝競技において、日本水泳連盟が定める派遣標準記録を突破し、なおかつ上位2人に入らなければならないからだ(個人種目に限る。リレーは別)。
そんな大会に、日大水泳部から28人の現役選手たちが出場した。

200m個人メドレーを制してリオデジャネイロ大会に続いて代表権を獲得したOGの寺村選手

OGの寺村は200m個人メドレーを制してリオデジャネイロ大会に続いて代表権を獲得(2016年インカレの寺村/日本大学新聞社提供)

異様な雰囲気で行われる選考会。決められた場所で、決められたレースで、決められた標準記録を突破しなければならないという大きなプレッシャーを乗り越え、57年ぶりの東京オリンピックへの切符を手にした競泳代表選手は、総勢33人。そして、そのなかに日大水泳部から現役5人、OG1人、合計6人の選手が選出された。

OGのひとりは、寺村美穂(セントラルスポーツ/文理学部卒)。女子200m個人メドレーでライバルたちを蹴落とし、2分09秒55で優勝を果たした。

「悔いなく、自分のやってきたことを信じて泳ごうと思って決勝に臨みました。それが、こういう結果につながってうれしいです」

女子200mバタフライではスポーツ科学部4年の長谷川涼香が2分07秒24で優勝を果たし、派遣標準記録を突破。

「レース直前までプレッシャーがありましたが、最後は気持ちだ、と思って泳ぎ切りました。優勝できて、派遣標準記録を突破できて今はホッとしています」

狭き門を突破しただけではなく、日本学生新記録も樹立

関海哉(スポーツ科学部4年)は、男子100m自由形で48秒87をマークして3位表彰台を獲得。そしてこの種目の上位4人が4×100mリレーの派遣標準記録を突破したため、リレーメンバーとして代表権を獲得した。

「ずっとオリンピックという目標のために練習してきたので、目標を達成できて、夢が叶ってうれしい気持ちでいっぱいです」

池江璃花子(スポーツ科学部3年)は、白血病から復帰してまだ1年足らずながら、その実力をいかんなく発揮。大会2日目に100mバタフライでメドレーリレーの派遣標準記録を突破すると、100m自由形でも4×100mリレーの派遣標準記録を切り、関と同様にリレーメンバーとして2大会連続での代表権を手にした。大会最終日に出場した女子50mバタフライと自由形では、それぞれ日本学生新記録を樹立して優勝し、4冠を達成する大活躍を見せた。

「思った以上にこれからの自分の記録に期待できるようなレースができました。これからタイムを上げるための課題も見つかりましたし、向上できることを楽しみに、この先の練習を積んでいきたいと思います」

池江と同じスポーツ科学部3年の小堀倭加は、2008年の北京オリンピック以来となる女子自由形の中長距離の代表権を獲得。女子400m自由形では4分06秒34の日本学生新記録を樹立して優勝。800m自由形では8分26秒67で2位ながら派遣標準記録を突破し、2種目で代表入りを決めた。

「たくさんの人に支えられて、応援してもらえたから出せた結果だと思います。夢を叶えることができたので、夢の舞台ではもっと良いタイムで泳げるように練習していきます」

スポーツ科学部2年の本多灯は、男子200mバタフライで1分54秒88で日本選手権初優勝を飾り、派遣標準記録を突破して初代表入りを果たした。

「タイムは少し悔しいところもあるんですけど、自己ベストで優勝、派遣標準記録も突破できて本当にうれしいのひと言です」

夢の舞台で最高のパフォーマンスを、壮行会で決意を語る

夢の大舞台への挑戦権を手にした5人の選手たちは、4月17日(土)に日本大学三軒茶屋キャンパスに集結。彼ら、彼女らの健闘を称え、夏本番で最高の結果を目指す選手たちを奨励するために行われた、第32回オリンピック競技大会(東京2020)競泳日本代表選手壮行会に出席するためだ。

そこで、選手たちは57年ぶりに東京を舞台に繰り広げられる世界の祭典、東京オリンピックへの意気込みと決意を語った。

4年生としての自覚と責任をコメントに乗せる関選手

4年生としての自覚と責任をコメントに乗せる関

「こういう会を開いていただけて、徐々にオリンピック代表という実感が高まってきました。本番で戦うのが楽しみです。自分らしい、最高のパフォーマンスが出せるように頑張っていきます」(関)

 

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女子主将でもある長谷川は夏本番で飛躍を誓う

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「前回大会は準決勝9位で悔しい思いをしました。本番まで的を絞って強化して、今大会では前回を超える結果を残したいです」(長谷川)

 

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女子自由形中長距離として久しぶりのオリンピック代表となった小堀選手

小堀は女子自由形中長距離として久しぶりのオリンピック代表選手となった

大病を乗り越えオリンピック代表の座を掴んだ池江選手

大病を乗り越えオリンピック代表の座を掴んだ池江

「久しぶりの日本代表チーム。オリンピック本番では、池江璃花子が世界に戻ってきたことをアピールできるような、日本代表らしい良い泳ぎをしたいと思います」(池江)

 

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日本選手権初優勝、初日本代表、初オリンピック出場と初づくしの本多選手

本多は日本選手権初優勝、初日本代表、初オリンピック出場と初づくし

「はじめてのオリンピック。自分にできることを精一杯取り組んで、日本だけではなく、世界を沸かせるようなレースをしたいです」(本多)

 

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オリンピック代表を決めた選手たちへ激励のメッセージを送る上野監督

オリンピック代表を決めた選手たちへ激励のメッセージを送る上野監督

最後、日本大学水泳部の上野広治監督から、激励の言葉が5選手に贈られた。

「日本代表チームでもありますが、日大水泳部の仲間としても一丸となって支え合い、励まし合いながらオリンピックを迎えてほしいと思います。そして、その結果を持って勢いに乗り、夏のインカレで男女アベック優勝という目標に向かって、チーム一体となって邁進してほしいと願います。
日本大学水上応援歌 水の覇者日大にこういう一節があります。
『水上日本の声名を 守るは我らの肩にあり 記録の更新むねとして 世界の覇者たれ王者たれ』。
日本の代表として、スポーツの力を発揮できるような格好良いレースを期待します」(上野監督)

オリンピック代表としての実感を重ねていくごとに、国を代表して戦う自覚が芽生えていく選手たち。その決意の力は、必ず結果として表れることだろう。今はただ、世界最高峰の舞台で躍動する選手たちの姿を心待ちにしたい。