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日本大学病院

診療科・部門

臨床検査部

部門からのお知らせ

お知らせ一覧

血液検査室

血液検査室では,全身に流れる赤血球・白血球・血小板の数を測定する血球検査と,血管が壊れた時の修復機能(凝固)と血管に詰まりができた時にそれを溶かす機能(線溶)を検査する凝固検査を行っています。

血球検査

赤血球数とヘモグロビン値

赤血球数とヘモグロビン値の比較で貧血の程度やタイプを判定します。重度の貧血の場合は主治医に即時報告しています。

白血球数

白血球は細菌やウイルスなどから体内を守る生体防御に中心的な役割をしています。
白血球の数が多い場合や,少ない場合に重篤な疾患がある可能性が考えられ,白血球の数が重要であるため即時報告を行っています。

血小板数

血小板は出血が起こった時に止血をする作用があります。血小板の数が減少していると,出血が起こりやすい状態なので緊急性のある検査です。

全自動血球計数装置
1時間に100件の検体を測定できる装置を2台導入しています。診察待ちの時間短縮に貢献します。

血液形態検査(血液像)

採血した血液を顕微鏡で観察します。疾患により出現した細胞や細胞の変化を報告しています。白血病が疑われる細胞なども出現するため,高い技術が必要となる検査です。

顕微鏡を用いた検査室の様子

骨髄検査

骨髄は赤血球,白血球,血小板のもととなる細胞を造る臓器です。
骨髄液採取は腰の骨に針を刺して採取するので,ベッドに横になっていただき麻酔を打って行います。その後,骨髄液を顕微鏡で観察し,血液疾患の原因,腫瘍細胞などを判別します。治療法の選択,治療効果の判定に重要な検査です。

凝固検査

凝固検査を行う目的は,手術前の検査で凝固機能が正常であるか把握するためや,血栓症の診断,抗凝固療法を行っている方の薬の投与量を決めるなど様々です。
関連する用語を説明します。

抗凝固療法

抗凝固療法とは血管に詰まりを起こさないよう血液をさらさらにする薬を使用し血栓症を防ぐ治療です。凝固検査を行うことで薬がどのくらい効いているのか把握し,薬の投与量のモニタリングとして重要な検査です。

血栓症

血管に血液の固まり(血栓)があると,脳梗塞や心筋梗塞など重篤な疾患を起こす危険性があります。血栓を溶かす(線溶)機能をみる検査で早期発見に繋がります。

DIC(播種性血管内凝固症候群)

重篤で治療も難しい病態の1つで早期発見が非常に重要です。DICの診断基準に凝固検査が多くかかわっています。

血液凝固分析装置

第一化学検査室

第一化学(尿一般)検査室では尿定性検査,尿沈渣検査をはじめ,胸水や腹水,関節液などの体液,髄液,精液の検査,便潜血検査,感染症迅速検査などを行っています。

尿検査

尿定性検査

尿中に出ている成分を調べる検査です。スクリーニング検査として広く行われており,尿試験紙を利用した自動分析装置で測定しています。項目は蛋白質,ブドウ糖,潜血,ビリルビン,ウロビリノーゲン,ケトン体,亜硝酸塩,白血球,pH,比重の10項目を測定しています。

尿定性検査(尿試験紙を利用)

尿沈渣検査

まず,尿中の細胞や結晶,細菌などの有形成分を測定できる自動分析装置を用いて測定します。その結果により,異常成分が出現しているなど詳細な再検査が必要な検体は,遠心をして,その沈渣成分を顕微鏡で観察します。
観察される成分として,赤血球,白血球,上皮細胞(扁平上皮細胞,尿路上皮細胞,尿細管上皮細胞),細菌,真菌,腎機能が低下してくると出現してくる円柱,異型細胞(悪性細胞),結晶(尿酸結晶,シュウ酸カルシウム結晶など)などがあり,他にも多くの種類の成分が観察されます。この尿検査により,腎臓,膀胱や尿道を含む尿路系の疾患である腎炎,腎不全,尿路感染症,結石症,悪性腫瘍などを調べることができます。

全自動尿分析装置(尿定性検査)
全自動尿分析装置(尿定性検査),全自動尿中有形成分分析装置各2台
尿沈渣を観察する顕微鏡(1)
尿沈渣を観察する顕微鏡(2)

体液検査

胸水,腹水のほか,関節液などが検査材料となります。検査項目としては,有核細胞数,比重,pHがあります。関節液では,結晶誘発性関節炎の原因となる結晶の検索を行います。痛風は尿酸ナトリウム結晶,偽痛風はピロリン酸カルシウム結晶を認めます。

髄液検査

髄膜炎など中枢神経系の炎症性疾患,非上皮性の浸潤性悪性腫瘍,クモ膜下出血などの診断に用いられる検査です。

精液検査

外観,量,pH,精子濃度,総精子数,運動率,非奇形率,赤血球・白血球の有無を検査しています。不妊の原因は女性だけではなく男性も45%ほど存在することが明らかになっています。不妊症の原因を調べるためには,男女ともに検査を行う必要があります。

便潜血検査

大腸癌のスクリーニング検査として,免疫便潜血検査が広く用いられています。
大腸癌の検出感度を上げるために,主に2日法で検査されます。

便潜血測定装置

感染症迅速検査

呼吸器感染症の原因微生物(インフルエンザA型抗原B型抗原,RSウイルス抗原,ヒトメタニューモウイルス抗原,アデノウイルス抗原,A群溶血性連鎖球菌抗原,マイコプラズマ抗原,肺炎球菌抗原,レジオネラ・ニューモフィラ抗原)や,細菌性髄膜炎の原因微生物である肺炎球菌抗原(髄液)を検査しています。
多くの検査は約10分以内で検査結果の報告ができます。また,当院では9項目(表)が24時間対応しています。

24時間対応している感染症迅速検査

  • インフルエンザA型抗原B型抗原
  • マイコプラズマ抗原
  • RSウイルス抗原
  • 肺炎球菌抗原
  • ヒトメタニューモウイルス抗原
  • レジオネラ・ニューモフィラ抗原
  • アデノウイルス抗原
  • 髄液中肺炎球菌抗原
  • A群溶血性連鎖球菌抗原

輸血検査室

輸血とは病気や事故によって,体内から失われた血液成分を補充する行為です。輸血を行うためには患者様の血液と血液製剤の血液が適合されなければいけません。輸血検査室ではこの適合性の検査を行っています。また血液製剤の発注,保管など安全管理を徹底しています。24時間体制で,緊急性が高い輸血にも対応しています。

全自動輸血検査システム
約15分で血液型が測定できます

血液型検査

血液型にはA型,B型,O型,AB型以外にもRh血液型があり,これは陽性(+)と陰性(-)で表します。輸血を行うにはABO血液型とRh血液型が同じであることが大原則です。手術前検査や出血を伴う疾患,外傷など輸血する場合に備えて血液型検査を行います。

血液型の検査は患者血液と試薬を混ぜ合わせて凝集反応をみます。

血液型検査は患者間違い防止のため,厚生労働省の指導要領に従って異なる時点で2度採血して血液型検査を行い血液型確定します。

日本人における頻度血液型の割合

ABO血液型
A型
40%
O型
30%
B型
20%
AB型
10%
Rh血液型
Rh(+)
99.5%
Rh(−)
0.5%

Rh(−)を持つ人は200人に1人

試験管法
全自動輸血検査装置によるカラム凝集法

不規則抗体検査

血液型にはABO血液型以外にも存在します。不規則抗体とは輸血や妊娠,移植によって産生されるもので,ABO以外の血液型に対する抗体です。この抗体を検出する検査を行うことで,輸血による副反応が防止できます。事前に検査することで適合する血液製剤をすみやかに準備することができます。

交差適合試験(クロスマッチ)

交差適合試験は,ABO血液型の適合性を再確認することと,不規則抗体による不適合がないかの確認を行う輸血する前の最後の重要な検査です。副反応を未然に防止することができ,より安全な輸血のために行います。

血液製剤

血液製剤は日本赤十字社で安全に作られたもので,使用目的に応じて4種類あります。

血液製剤の種類と使用目的

赤血球製剤
手術・外傷などによる大量出血,貧血により失った赤血球を補充(酸素の補充)
新鮮凍結血漿(FFP)
止血の促進効果のため(凝固因子の補充)
血小板製剤
血小板数が不足し,出血ないし出血傾向のある場合に使用
アルブミン製剤
大量出血に伴う循環血漿量の確保
膠質浸透圧の改善(重度の浮腫の治療)
赤血球製剤
新鮮凍結血漿(FFP)

自己血輸血

自己血輸血は,手術など事前に患者本人から採血した血液を保存しておき,必要となった時に使用する輸血方法です。自分の血液のためアレルギーなどの免疫反応や感染症の心配がありません。緊急性のない待機的手術で行われます。

  • 採血量は1回につき200mLまたは400mLで行われ,採血時間は約10~20分です。
  • 採血中はベッドで横になっていただき採血します。
  • 採血中はスタッフが見守っていますので初めてでも安心していただけます。
自己血採血の様子

細菌検査室

細菌検査室ではヒトに感染症を引き起こす病原微生物(細菌,真菌,ウイルス,寄生虫)を検出するために,塗抹検査,培養検査,抗原検出検査,結核菌遺伝子検査を実施しています。

塗抹検査

各種検体や血液培養ボトル培養液をスライドガラスに薄く塗り広げ,染色をして顕微鏡で観察し,病原細菌の推定を行います。細菌の染色にはグラム染色,結核菌などの染色にはチール・ネルゼン染色があります。最新型の顕微鏡で観察し,画像を院内ネットワークに載せています。

培養検査と同定検査

検体に存在する細菌を目で見える集落(コロニー)に育て(培養),菌名を決めることを同定検査といいます。血液は液体培地が入ったボトルに入れ,自動培養装置で7日間まで培養します。寒天平板培地に発育した細菌の中で,病原菌を検索し,全自動細菌同定/薬剤感受性測定装置で検査をします。

薬剤感受性検査

感染症の原因菌と推定できる細菌が検出された場合,薬剤感受性試験を実施します。上記の自動機器を用い,治療のために有効な抗菌薬を調べます。

抗原検出検査

検体に存在している微生物を免疫学的検査法により,検体から直接検出する検査法です。糞便を材料としてノロウイルス,ロタウイルス,アデノウイルス,CD(Clostridioides difficile菌)抗原と毒素の検出を短時間で行うことができます。

結核菌遺伝子検査

病原体の特定の核酸塩基配列を検出・解析する検査です。当検査室ではLAMP法で結核菌の核酸増幅検査を行っています。臨床症状やレントゲン撮影で結核の疑いが強い場合には,培養検査と同時に,この短時間で検出できる核酸増幅検査を実施しています。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検査

当院では,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の一部の検査を院内で実施しています。
①抗原検出検査,②遺伝子検査(LAMP法)の2種類の方法を細菌検査室で実施しています。

遺伝子検査(LAMP法)(1)
遺伝子検査(LAMP法)(2)
抗原検出検査

細菌検査室の重要な役割

近年,多くの医療施設で薬剤耐性菌の検出が問題になっています。耐性菌の検出や病院内感染の原因となりうる微生物の検出を,最初にキャッチできるのは細菌検査室です。私たちは,その情報を担当医と感染対策室に迅速かつ正確に伝える役割を担っています。幸いにも細菌検査室と感染対策室が隣接しているため情報伝達を円滑に行うことができます。

第二化学検査室

採血した血液や尿など様々な成分を分析し,電解質,蛋白質,酵素,脂質,糖質などを測定しています。これらの測定により臓器の状態,炎症,栄養状態などを推測することができます。

主な検査の目的と検査項目

肝臓
AST,ALT,γ-GTP,ChE,総ビリルビン,直接ビリルビン
腎臓
尿素窒素(BUN),クレアチニン(CRE),尿酸
膵臓
アミラーゼ(AMY)
糖尿病
グルコース(GLU),ヘモグロビンA1c(HbA1c),グリコアルブミン(G-ALB)
動脈硬化
総コレステロール,中性脂肪,HDL-コレステロール,LDL-コレステロール
貧血
血清鉄,不飽和鉄結合能
心臓
CK(CPK),CK-MB,LD
骨代謝
カルシウム,無機リン
血液ガス
血中の酸素濃度,二酸化炭素濃度

測定機器

LABOSPECT 008
GA-1171 ADAMS A1c HA-8181
RAPIDPoint500 RAPIDPoint500e

免疫血清検査室

腫瘍マーカー,ウィルス性肝炎などの感染症関連の抗原・抗体,ホルモン,心筋マーカーの微量な成分を免疫学的な測定法を用いて測定しています。

腫瘍マーカー
がんの診断の補助や,診断後の経過や治療の効果をみることを目的に行う検査です。がんの有無やがんのある場所は,腫瘍マーカーの結果だけでは確定できないため,画像検査などその他の結果も合わせて,医師が総合的に判断します。
ホルモン
ホルモンは副腎,甲状腺,卵巣,精巣など様々な部分から血液中に分泌されていて各臓器・器官の機能調整を行っています。バランスが崩れると様々な病気の原因となることがあります。
心筋マーカー
虚血性心疾患の診断には心電図が有用ですが,心筋梗塞の場合は,閉塞した場所によっては心電図ではわずかな変化しか現れないため,診断が困難な場合があります。このような場合に血中に増加する蛋白です。

測定装置

Alinity I
μ TAS Wako i50
臨床検査部

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