長谷川新薬学部長に聞く


医療薬学へ対応急ぎ,病院実務に強い人材育成


小山隆前学部長の任期満了に伴う新しい薬学部長に,長谷川明教授(臨床生化学)が4月1日に就任した。薬学部は昭和63年に理工学部(薬学科)から独立してから12年,本学では最も若い学部。近年,薬学教育を巡っては医療法改正以降,創薬主体から「医療の担い手」としての要請が一段と強まり,「医療薬学」への大きな変革が迫られている。前学部長時代に学務担当として薬学教育年限の変更などを見越した教育・研究の見直しなど,教学に関する諸施策を推進してきた〃手腕〃に学部発展の期待がかかる。
 ――さっそくですが,これからの学部運営に関する抱負をお願いします。
 長谷川   大学の規制緩和に伴う薬学教育年限の延長問題が,煮詰まりつつあり,この問題が全てにかかわってきます。国家試験対策が一番の課題ですが,大学院でも医療法改正に伴う医療薬学重視の時代を迎えています。また学部のカリキュラムも国家試験に対応したものに変更してきましたが,一部では実行しきれない部分があり,大変な時期を迎えたと実感しています。
 ――いま,話に出たカリキュラム変更に関して詳しく話してください。
 長谷川 現在のカリキュラムは薬剤師の国家試験に対応できるものになっています。平成4年に医療法が改正され,薬剤師が薬をつくるだけの時代から,「医療の担い手」としての役割を負う時代になり,国家試験の出題も医療関係問題が50%を占めるようになってきました。薬に加え医療も教えられる教員が必要なので,昨年,本学部出身の教員1人を医学部から招へいしましたが,今年から来年にかけて,このような対策をさらに進めていきたい。
 ――新しい執行部スタッフ選出のポイントを。
 長谷川 国家試験の結果が私立の薬科大学にとっては出口であり入り口なので,切り離して考えることはできません。国家試験の結果は入学志願者の動向にも反映されてくるので,その辺を考慮してのスタッフです。先生方の得意の分野をお願いし,小さい学部ですので,皆さんが順番に担当していただくという気持ちを持っています。執行部に限らず人事の活性化を図っていきたいと考えています。
 ――入試制度変更の予定はありますか。
 長谷川 推薦入試も含めた入学試験の試験内容などの変更を来年度に向けて検討中です。
 ――国家試験対策としては,どのような方策をとっていますか。
 長谷川 先程も触れたように,現在は医療薬学の時代なので,病院実務に強い薬剤師を育てたいと強く願っています。そのためには病院現場に強い,現場を理解できる専任教員を増強し,腰を据えて教育できる環境を一層整えたい。従来,4年次から始めていた実務実習を3年次からに繰り上げたり,1年次から病院見学,2年次から薬局見学を実施しています。この試みは医療への早期からの動機付けを図るのが狙いです。カリキュラム上は4年次後期から実施していた国家試験に向けた対策としての補講を一昨年から同前期に開始することにしました。今年の薬剤師国家試験の結果についても5月の反省会で内容を分析し,来年につなげていきたい。
 ――設備,施設面での新たな計画はありますか。
 長谷川 建設中だった新実験動物センターが3月に完成し,夏前には稼働する段取りです。学部内には分析センター,薬用植物園などがありますが,学生に対する教育サービス,研究の活性化を図るには施設面で不足している面もあります。例えば,体育館も隣接の理工学部施設を借用するという具合。しかし,施設づくりには莫大な資金が必要で頭を抱えています。
 ――研究面ではいかがですか。
 長谷川 従前から教員には文部省の科学研究費などの公的資金をはじめ,学外資金の積極的導入を呼び掛けており,この面では少しずつ増えてきています。就任に当たっての運営方針表明時にもあらためて外部資金導入への努力を要請しました。
 ――理工学部から独立して12年になりますが,薬学部を強くアピールする点は何でしょうか。
 長谷川 総合大学である日本大学での薬学部は,医学部,歯学部,松戸歯学部に付属する6病院を利用させていただいて実習することで,その存在感が発揮されると思います。薬学部出身者の中の薬剤師が病院の薬局長を務めるなど,病院実習の環境は整ってきているので,実務に強い薬学部にしていきたい。私自身も学部OBの1人として医学部同窓会と接触,学部間の連携が大切なことを訴えているところです。
――地域住民との交流はどのようにしてますか。
 長谷川 学部祭,NU祭などに合わせて公開講座・講演会を開催したり,薬用植物園などを公開しています。オープンキャンパスと同じように高校生のほか,近隣の住民が大勢集まり盛況です。このような場で進学相談会も積極的に開催して学部をPRしています。
――いろいろ課題は多いと思いますが,教職員への呼び掛けを。
 長谷川 いま,世の中はどんどん変わっていきます。薬学教育年限の変更が実施された場合には,速やかに対応できるような,行動的な教員,職員になってほしいと願っています。それにはチームワークが大切と思っています。

スタッフ      
学務担当 青木 正忠教授 (臨床薬剤学)
学生担当 小川 尚武教授 (放射化学)
企画担当 藤本 康雄教授 (医薬品化学)
研究担当 手塚 雅勝教授 (公衆衛生学)
広報担当 渡邊 和子教授 (細胞生物学)
図書館長 椛澤 洋三教授 (機器分析学)


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