法科大学院などの新たな拠点に
教職員幹部一同が心新たに本学の発展を誓い合う平成15年(2003年)の年頭会同が1月9日,日本大学会館で開かれた。あいさつに立った瀬在幸安総長は学内外から熱い期待が寄せられている主婦の友社跡を中心とする都心・お茶の水地区の教学拠点づくりについて,見識者による「日本大学お茶の水キャンパス基本構想検討委員会」を発足させ,早期に基本構想マスタープランを策定する考えを明らかにした。森田賢治理事長は「組織が人を創る時代から,人が組織を創る時代へ」の転換を説き,年功型の賃金制度,人事諸制度の改善改革に着手する意向を示し,総長,理事長とも教職員が強い自己責任の下,本学の使命を自覚して改革課題に取り組むよう求めた。
総 長
ポストゲノム参加,年頭会同で新年度構想
瀬在総長は,三副総長はじめ本部,部科校,特別・準付属校の役教職員約500人を前に,来年4月に開設が迫る法科大学院について,設置場所をお茶の水の主婦の友社跡とする本部の開設準備委員会の方針を踏まえ「この場所は『法学の日本大学』の新たな殿堂にふさわしい優れた拠点となる」と意義付け,法科大学院設置と絡んで喫緊の課題となっている法学部の教員充足に全力投入している現状を説明した。未来創造プロジェクト,21世紀未来戦略推進機構の下,他大学に先がけ精力的に整備を進めてきた各種施策の中で今年4月,日本で初めて通信制大学院に博士課程が開設される運びとなっていることも大学院教育重視策の一つにあげた。
さらに総合大学院構想を視野に入れつつ国挙げての研究プロジェクトに本学が参画していくことの重要性を強調する中で,15年度科学技術振興費として250億円計上されているポストゲノム研究に関する共同研究組織に日本大学も参加する意向を明らかにし,医学部内にもポストゲノムなど高度な先進医学に関する分野を探求するための優れた研究スタッフを増強するとした。
また,14年度に本学生物資源科学部の研究プロジェクトが採択された21世紀COEプログラム構想の15年度の対応として「新年度は大学内に審査機関を設置して申請内容を綿密に検証し,総長が採択に値すると思われる研究プロジェクトを選択,申請する」とトップ主導でCOE採択に向けた作業をけん引する姿勢を示した。新年度から始まる「特色ある大学教育支援プログラム」(COL)も重要課題に位置づけた。
P在総長あいさつ要旨
◇教学戦略 グローバリゼーション進展,中国,ヨーロッパ圏を含めた政治・経済・文化交流活発化という激しい状況変化を分析洞察し,強い自己責任の下,「知は力なり」の認識を新たに倫理観を醸成し,世界の一流大学を目指す教学戦略が必須である。
◇教育・研究の改善 厳しい国家財政の中,私立大学教育助成事業が伸びるなど研究開発への期待が込められた来年度政府予算を受け,今まで以上に教育・研究の改善を奨励し,学外者とも共同研究基盤を築く。
◇高・大一貫教育 教学理念の大綱化,統一テスト等の入試システム再編について大学教員と高校教員が一丸となって検討を重ねており,本部の諸会議,委員会等の見直しで円滑な交流促進を図る。
◇短期大学部 他短期大で見られる募集停止の状況は現時点ではなく,総合大学としての教育基盤を有効活用してさまざまな国家資格取得の道,遠隔教育の導入を図るとともに,管理栄養士養成や看護,福祉,介護などを含めた保健学系学部(仮称)設置構想を検討する。
◇学部教育 優れた教員研究陣の有無が大学選択の大きな要素であることを厳しく認識し,密度の濃い人的・知的教育・研究基盤を整備充実。学生の学ぶ意欲を助長支援し,就職開拓など個々の自立につながる教育カリキュラムの再編,産業界の協力を得た企業体験学習を導入し,質的充実を図った特色ある教学施策展開のため学部・学科の改組転換も検討する。
◇法科大学院 法学を発祥とする日本大学にふさわしいお茶の水地区の主婦の友社跡を拠点として開設。その実現と関わる法学部の教員充足問題にも全力をあげる。
◇医学部 教育・研究及び診療面での質的評価や教授会の意識向上を図るため,人事刷新,ポストゲノムなど学術面強化に力を注ぎ,現在の研究組織を多面的に見直す。
◇COE,NUBIC等 COE申請の審査機関を学内に設置する。総合大学院設置構想を視野に国が予算付けしたポストゲノムの共同研究組織に日本大学として参加するほか,国関連の学術フロンティア,ハイテク・リサーチ・センター事業など四つの研究事業に採択されたものに対して,学部の負担額を少なくし本部の支払い額を増額する。また,研究活動の社会市場還元のため,我が国最初のTLOであるNUBICを通じ,学内研究者の特許請願,民間への技術移転,国内外の企業と連携した新商品開発,市場化を促進する。
◇点検評価 公的機関による点検評価に関しては,情報公開に積極姿勢を示すとともに第三者機関を通じての評価制度にも参加する。
◇お茶の水キャンパス カザルスホールを有するお茶の水地区は,地元千代田区側の文化振興の働きかけとともに教育,医療に関する特別区としての行政施策も考慮されている。最適の文教地区開発のため「日本大学お茶の水キャンパス基本構想検討委員会」でマスタープランを策定し,お茶の水地区全体の構想の中で,画期的なキャンパス計画を提示したい。
自己責任確立の年,人事諸制度改革に着手
森田理事長は「平成15年は,低迷が続く経済状況からの脱却と平和な未来社会実現に向けて,一人ひとりが強い自己責任を確立しなければならない年」と位置付けるとともに「企業倒産,雇用不安を抱える中で従来の国民生活の基盤が崩壊しつつある」とし,教育・研究事業の継続には,こうした国内外の動向を直視することが肝要だと強調した。
そのうえで,新たな大学問題に法人全体で取り組むとし@学納金の返還や教員の雇用保険加入問題の解決A老朽化した施設・設備の改修や新築事業に対する公平・公正性の堅持Bセクハラ防止など倫理モラルの高揚とリスク管理のための研修強化―などへの対応を挙げた。
また,優れた人材確保と後継者養成のため「組織的な人事諸制度の改善・改革に着手する」と表明。能力と成果が正しく評価される人事機構の構築,年功型賃金制度の改善・改革,退職金問題などに取り組む考えを示した。
さらに,本学が真の実力を発揮するために不可欠な財政基盤の確立には「法人挙げての総合財政によって実現し得る」と述べ,総合的な観点から経理単位のあり方を見直すなど,新たな財政構造の構築を求めた。
校友会活動に対しては,自助自立,刷新と充実により,大学を支援する強固な組織として再生されるよう期待を込めた。
このあと瀬在総長,森田理事長,三副総長,常務理事らによる鏡開きがあり,佐々木惠彦総長代行(生物資源科学部長)の音頭で乾杯,和やかに懇談した。
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