医学部−良き臨床医育てて80年


進むハイテク医療の研究
空から見た医学部キャンパス 医学部の創設は大正14年(1925年)。2年後には80周年という節目の年を迎える。創設以来,一貫して良き臨床医の育成を目標に掲げ,さらに優れた医学研究者・教育者の育成も教育目標に加え,3つの付属病院と2つの救命救急センターを“臨床実習の現場”として,これまでに1万人近い医師を輩出してきた。近年の臨床医に対する社会のニーズは,医師としての知識,技術はもちろん,患者に接する態度など,際だった特性が求められている。文部科学省のハイテク・リサーチ・センター,学術フロンティア,バイオ・ベンチャー研究拠点開発の各整備事業に選定され,高度先端医療研究が進む医学部の現状は―。


進むハイテク医療の研究
板橋病院 駿河台病院 練馬光が丘病院

 良き臨床医育成という目標達成のためにカリキュラム上,1年次から一般教育科目に加え,学内外の講師を招いて医療の現状,医師を目指すものとしての使命感・倫理観を学ぶ「医学序論」を設けている。これに加え,医師に対する社会のニーズにこたえるための第一歩として,今年度から始めたのが1年次からの患者と対面した際の「態度」「言葉遣い」の対話実習がある。

まず患者と対話学ぶ
法医学教室のDNA鑑定実習 航空会社からチーフパーサー(客室乗務員)だった講師を招いた実習では,顔の表情の実際について,顔の上下を覆いながら,目と口元での笑みの表現を評価するなどパーサーの実体験に基づく講話だった。「相手(患者)の感情のとらえ方を,お互いの顔を見ながらの実習で,臨床現場で生かせるようになれば…」と堀江孝至学部長も成果を期待している。
 2年次から基礎医学系臓器別講義,3年次から4年次にかけては臨床系臓器別講義を学習し,5年次から始まるBSL(ベッド・サイド・ラーニング=臨床実習)に備える。BSLは,一グループ3人程度に分かれ,ローテーションで救命救急センターなどすべての診療科を回って行われ,医療にとってチームワークの大切さ,重要性を学ぶ。小人数制の特性を生かした指導が行われるため,患者への接し方や診断,治療方法などを自分の目で確かめ,肌で学ぶことができる仕組みになっている。

救急車同乗の実習も

翠心祭での料理教室 外科手術 急患が運び込まれた救命救急センター

 4年次の診断学実習,5年次BSLの成果は客観的な臨床能力試験で,自らの到達度を確認させたうえ,学生側の理解度を教員側の指導法の指標として実習に反映し,より効果的な教育実現を目指している。
 6年次では,総合講義などを通して,それまでの講義や実習を総合的にとらえ直し,医療に関する知識を一段と深めていく。また,臨床上の問題をどのように解決し,対処していくかを学ぶ講義で,患者中心の医療・医学について学習し,問題解決に,より科学的,論理的,倫理的,自主的に思考し,判断する課程を体験する。
 卒前教育で最も大切なBSLの実習現場としては,3つの付属病院などが利用される。最先端の医療施設と高水準の医療スタッフを擁し,特定機能病院に指定されている板橋病院,高度な医療技術を持つ駿河台病院,広大な住宅団地にあって地域密着型医療を実践する練馬光が丘病院,予防医学を担う総合健診センターが実習の主舞台で,東京消防庁の協力で救急車同乗という実習も行われる。高齢者時代の到来,病気の多様化,在宅医療の要請など社会の大きな変化の中で,「ないがしろにしていくことは許されない。医療現場での早めの体験は重要」(学部長)として,講義だけでは修得できない保健所,施設などでの現場実習も視野に入れている。

最先端の機器類配備

ゲノム解析装置 翠心祭で人気の血圧測定 看護専門学校の戴帽式

 このほか,日本では最先端の機能を有する先進医学総合研究センターでは,講座という枠を取り払い,研究者が自由に意見を交換しながら@ヒトの病気と関連する遺伝子の解析とその結果に基づく安全な治療方法の開発A臍帯血造血幹細胞を使った遺伝子治療B人工臓器の実用化―などを目指した研究が行われている。
 これらの研究・教育が実施されている施設・設備は文部科学省のハイテク・リサーチ・センター,学術フロンティア,バイオ・ベンチャー研究拠点開発の各整備事業に選定され,平成12年には大学院医学研究科の研究拠点になるリサーチセンターが創設70周年記念館として完成した。センター内には遺伝子分析機器など最先端をいく機器類が配備されている。


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