経済学部と商学部が創設百周年を迎えた。母体を1つにする両学部は合同で11月13日に東京・新宿のセンチュリーハイアット東京で盛大に記念式典・祝賀会を開催して100周年を祝うほか,経済は国際シンポジウム「希望のもてる経済システム・人的資本開発の将来像」,商は堺屋太一氏の講演会「未来を考えるヒント」など独自の記念行事をそれぞれ予定している。
日本大学が専門学校令に基づく「大学」になった明治37年(1904年)に大学部に商科が設置された。商科は大学令によって本学が設立認可された大正9年に商学部商科になり,大正13年に経済学科を設置。その後,昭和9年に商学部を商経学部と改称,さらに同19年に商経学部は経済学部に改称した。昭和24年の新学制発足時に経済学部には経済学科と経営学科があったが,27年に経営学科を商業学科と改称,32年に商業学科が商学部商業学科として独立,38年に三崎町から現在地の世田谷区砧に分離独立した。 ゼミの経済にプログラム制も
1年次教育を重視
カリキュラムを全面改訂
経済学部は,本学が専門学校令に基づく大学になった年に設置された商科が源流である。キャンパスは千代田区三崎町。文字通り「都心型大学」として学生の人気も高い。創設100周年を迎え,次年度から新しいカリキュラムに移行,ゼミ教育を一段と強化したうえ,経済学のさまざまな側面を系統的に学ぶためのプログラム制を導入し,新たな時代に向けた研究・教育を展開することになる。
学部には経済学科と産業経営学科の2学科があり,経済学科には第2部(夜間部)を併設する。従来より小人数のゼミナールと語学教育を重視し,国際的視野を持った社会変化に対応できる人材を育成してきた。
全面的に改訂されるカリキュラムでは,1年次教育の重視,従来から力を入れてきた「ゼミナール教育」の強化,「プログラム制」の導入を大きな柱とし,語学・教養系カリキュラムも大幅に変更する。
1年次前期には全員が履修する「基礎ゼミ」を新設。小人数対話型の授業で,リポートの書き方,プレゼンテーションや討論の仕方など,大学での学習方法を習得したり,教員とのコミュニケーションをつくり出すことを目的としている。
多彩なテーマを有する学部のゼミナール教育は従来から
「ゼミの日大経済」として知られている。経済・経営の専門領域を研究する「専門研究」と,専門にとらわれない幅広いテーマを扱う「教養研究」からなっており,併せて100以上が開講されている。
「ゼミナールこそ教育の根幹である」という教育理念に基づく方針をより明確にするため,2年次のゼミが必修になった。学生は専門領域を扱う「専門研究(1)」または「専門特別研究」,教養領域を扱う「教養研究(1)」または「教養特別研究」のいずれかを選択し,専門研究と教養研究は4年次まで3年間連続して学び,卒業論文や研究論文へと積み上げていくことになる。
新たな「プログラム制」は,経済学の諸側面を系統的・段階的に学ぶための制度。経済学科には「理論・情報」「公共経済」「社会経済」「国際経済」「福祉・労働」「産業」「環境・都市」の7プログラム,産業経営学科には「会計・ファイナンス」「経営情報」「国際マーケティング」「企業マネジメント」の4プログラムが設置されている。2年次に希望するプログラムを選択して3年間で各領域を段階的,総合的に学ぶ仕組みだ。
さらに,国際化に対応するため,語学カリキュラムも充実しており外国語は,英語(必修),中国語,ドイツ語,フランス語,スペイン語(以上選択必修),ロシア語,朝鮮語の7カ国語を開講。
特に英語は1年次に,小人数クラスで,リーディング,ライティング,コミュニケーションの各基礎技能科目をセメスター制によって集中履修するというカリキュラムに変更され,TOEFLやTOEICなどの資格試験に対応した科目のほか,2年次以降には英語プレゼンテーションやビジネス英語なども開講される。
このほか,経済学科の国際コースは10〜15人の小人数制による専門能力養成と英語能力向上の結合を目標とした特別コースになっており,別カリキュラムを組んで,専門科目の3分の1を英語で学ぶシステムを取っている。
同学部は従来より国際交流も盛んで,英国ケンブリッジ大,同ダラム大,スウェーデン・ストックホルム大経営学部,スペイン・マドリード大経済学部,フランス・リール高等商業学院,ドイツ・ボーフム大経済学部・東アジア学部,米国オーバン大経営学部,中国・対外経済貿易大などと提携し,学生の交換留学や教員の研究留学・共同研究などを積極的に進めている。
一方,国家公務員T種,公認会計士,税理士など国家試験受験を目指す学生のために,自習専用の国家試験受験準備室を設け,筆記試験と面接試験に合格した学生に入室を許可。専用机とロッカーが1年間使用できる制度もある。
施設面では学部本館と白山通りを挟んで建設された14階建ての7号館(14年5月竣工)は,最新の教育機器を完備したインテリジェントビルとして内外の関心を集めている。ゼミや語学教育のための教室が多くあるほか,国際的な学会やシンポジウムなどが開催できる多目的ホールも併設されている。
ソフト,ハード面とも将来を見据えた改革が絶え間なく進む学部である。
ビジネスマン育てる商の実学
2年からコース制
インターンシップ実習も
明治37年の大学部商科を源流とする商学部は「商業」「経営」「会計」の3学科を有し,広くビジネス社会に対応できる企業経営者,ビジネスマンらを育成し,多数の有能な人材を国内外のビジネスフィールドに輩出してきた。昭和38年4月に現在地の世田谷区砧にキャンパスが開設されてから40年余。校舎を中心とした施設整備については100周年事業の一環として検討委員会を設けて構想を練っているところだ。
商学は,もともとモノ,サービス,カネ,情報の取り引きにかかわるビジネスを対象とし,経済学と共通する部分もあるが,一般には経済学より身近な現象を扱う実学的な学問であることが特徴とされている。学部では通常,1年次は専門基礎科目,総合教育科目,外国語科目,スポーツ教育科目を総合的に学び,2年次から学科所属科目の学習が始まる。
社会的・経済的環境の変化に対応するためには,的確な問題把握力と素早い問題解決能力が求められるが,3学科それぞれの領域に応じた専門的な教育だけでは,なかなか対応できない実践力を養成するために,2年次から「コース制」というカリキュラムを導入している。
このカリキュラムでは「マーケティング」「トレード&エコノミー」「ファイナンス」「マネジメント」「ベンチャー&経営情報」「アカウンティング」「職業会計人」という7つのコースから,所属する学科にこだわらずに,自分が学びたいコースを選択し,自分でキャリアを形成,専門知識のスペシャリストになれるという柔軟な制度だ。
「マーケティング」は,社会や市場,顧客の変化によって,ますます多様化し,扱う対象がモノからサービスや情報へと広がりつつあるマーケティングを実践的に,「トレード&エコノミー」では,モノ,サービス,情報などの商品取り引き(トレード)と経済(エコノミー)をミクロ・マクロの両面から,「ファイナンス」では,経済のサービス化に伴い,ますます重要になる資金の調達や運用に関する領域を扱う金融(ファイナンス)について学ぶ「商業学科」に対応したコース。
「マネジメント」では,企業経営に不可欠な戦略・組織・管理などの高度なマネジメントを,「ベンチャー&経営情報」では,日本経済再生のカギであるベンチャービジネスやITを体系的に学ぶ「経営学科」に対応したコース。
「アカウンティング」は,これからのビジネスパーソンの必須アイテムである英語,コンピューター,会計のうち,会計に関する知識を体系的・専門的に学び,「職業会計人」は,会計のプロフェッショナルである公認会計士や税理士などを目指す学生を対象にしているコースで,「会計学科」に対応している。
2年次からはゼミナールも始まる。いずれも小人数制で60を超すテーマがある。ゼミでは密度の濃い討論や発表を通して,問題解決能力を高めていくことが可能だ。
キャリア形成のためには実践的な体験も必要として,インターンシップ制度も導入。インターンシップは基本的に2・3年次の夏期休暇中の2週間を利用,企業など実社会の現場で働くプログラムで,プロジェクト研究「インターンシップ実習」という正規の授業科目としての単位が取得できる。さまざまな事情で前期,後期に数回ずつ分けて実習する場合もある。
入学時から多くの学生に学業へのモチベーションを植え付ける契機とするために,昭和48年から続けているフレッシュマン・オリエンテーション・キャンプがある。基本的には新入生を15人程度のクラスに分けて担任を置き,4年次まで継続的なケアを続けていく制度だ。
今年度は入学式前の4月5〜7日に,バスに分乗して静岡県掛川市のリゾート施設「つま恋」に出掛けて実施。新入生約1300人を15人程度のクラスに編成,それぞれのクラスに担任教員と2年次生以上のクラスリーダーが付き,キャリアコンサルタントの講演,コース別カリキュラム,奨学金,留学,資格取得など幅広い説明を通して,商学部学生としての帰属意識を高めると同時に大学生活の始まりを意識するきっかけをつくった。
大学院の教育・研究体制充実にも積極的な姿勢を見せている。10年4月には新宿副都心の野村ビル33階に商学研究科ビジネスコースを開設。社会人を対象にした大学院として土曜と夜間に開講,サテライトキャンパスとして人気を集めている。
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