医療相談
「血圧のメカニズム,健康への影響についてご教示を」
| 40なので,高血圧の治療が歳代前半の男性。勤め先の定期健康診断で,血圧について上が160,下が110必要と言われました。いますぐ治療しなければならないのか。高血圧にはどんな治療方法があるのか―など不安があります。今夏の猛暑では高齢者を中心とした熱中症が多発しましたが,熱中症を発症する際は脱水症状による血圧低下が起こると聞きました。血圧の高低は血管自体に問題があるのか,血圧と心拍数などとの関係についても教えてください。(横浜市・N) 心血管系の障害あれば早期に血圧管理が必要 駿河台病院循環器科長,医学部助教授 久代登志男(くしろ・としお)氏 高血圧は高い血圧が持続し心臓と全身の動脈(心血管系と呼ばれます)に障害を起こす病気です。治療の目的は心血管系障害の予防にあり,血圧管理は目的達成の重要な手段です。ただ,血圧は時々刻々変動しており,測る状況で異なります。正常な人でも,夫婦喧嘩の最中は200/100以上になっているとの報告もあります。できる限りストレスのない状況で測る必要があります。寒冷,尿意,喫煙やカフェイン摂取後30分以内は高く,入浴後,飲酒時,食後は下がります。 また,外来で測った血圧は高くても,家庭での血圧は高くない,いわゆる白衣高血圧と呼ばれる人もいます。逆に,外来の血圧は高くないけれど,家庭血圧は高い人もいます。上腕,手首など測定部位でも異なります。 血圧と心血管系障害の関連は,外来で良い条件下に座位で測った値により検討されています。日を変えて数回測った血圧が140/90以上の場合,それ以下に降圧すれば心血管系障害を予防できることがわかっています。故に,外来で座って上腕で測られた値が基本になります。 しかし,家庭の血圧も血圧管理の参考になります。日本高血圧学会では,起床後1時間以内,排尿後,朝食前,あるいは就床前の測定値が135/85以上なら高血圧の可能性があるとしています。 また,高コレステロール,糖尿病などがあると心血管系の障害進行は加速されます。肥満,食塩やアルコールのとり過ぎ,運動不足は血圧を上げ,改善すれば降圧します。 血圧が高い場合は,Aそれが持続しているのかB高血圧の原因は何かC高血圧による心血管系の障害が起こっていないかD血糖やコレステロールなどに問題はないかE肥満など生活習慣に関連した高血圧の悪化因子はないのか―を見極めて治療プランを立てることになります。 心血管系の障害がない場合は,急いで下げる必要はありません。生活習慣に問題がある場合は,改善を試みながら3〜6か月間観察し外来血圧が140/90以上なら降圧薬が必要になります。しかし,心臓肥大,蛋白尿,腎障害,脳梗塞(こうそく),狭心症など心血管系障害を疑わせる所見,あるいは糖尿病を伴う場合は,高血圧を放置すると予後が悪いので,早い時期から厳格な血圧管理が必要です。 高血圧の多くは本態性高血圧と呼ばれ原因不明ですが,血圧管理により高血圧による障害は予防できます。生活習慣に気をつければコレステロール,血糖の改善も期待できます。一病息災と考えて,信頼できる主治医のもとで良い血圧管理を続けてください。 |