総合研究大学院 開設記念 −電力の規制緩和必要 ノーベル経済学賞受賞・スミス教授が講演−
米国のノーベル経済学者、バーノン・スミス教授(ジョージ・メイソン大学)を迎えての本学大学院総合科学研究科(総合研究大学院)開設記念シンポジウムが5月25日、日本大学会館大講堂で行われた。スミス教授は、経済理論が想定する環境をつくった実験室で被験者を観察しデータを算出する「実験経済学」という新しい研究方法を確立し、2002年にノーベル賞を受賞。本学総合研究大学院の客員教授でもある。
スミス教授は「電力市場に関連する実験経済学―規制について学んだこと」の題で基調講演。
電力卸売市場における戦略的需要サイドからの入札が市場において、どのような力関係を形成し支配しているかを調査するための実験、つまり電力自由化への多くの疑問を究明するために考えられた実験例を評論。さらに他産業の自由化を電力業界との比較で議論し、需要に即応した価格設定を達成するために電力の供給中断を可能にする技術の実現を政治的かつ制度的な要因が阻害していると言及。この技術は電力業界が価格とコストに対する経営安定性を高める上で重要となる。
「電力消費顧客が送電線への依存を軽減する場合には、これを優遇する方向での規制変更が絶対に必要である。小売エネルギー価格については、それをなぜ規制する必要があるのか。なぜ、電線の独占が電力の供給と結びついている1世紀も前の規制を撤廃しないのか。電力の自由化が進まないのは電力が貯蔵できないからではなく、規制しているからだ」と結論付けた。
第2部は本学の長谷川洋三客員教授が司会を務め「実験経済学と規制緩和」についてパネルディスカッション。まず桝本晃章・東京電力副社長は「日本でも電力の自由化は行われています。2002年の年間停電時間は、東京電力は12分、米国69分、英国73分です。各国によって電力に対する要求が違うことを示しているのですが、規制緩和も目的に沿って考えなけらばならない」と述べた。
続いて蓑谷千凰彦総合研究大学院教授は計量経済学の立場から意見や疑問を提起し「実験経済学と計量経済学が結びつけば経済分析が進歩するのでは、と期待します」。根本二郎・経団連名誉会長は「スミスさんのお話は経営戦略を立てる上の科学的アプローチという風に理解しました。大変動の時代に大切なのは基本に戻ることだと思います。実験経済学も同じ発想にあると思いました」と感想を述べた。
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