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カント宗教思想の研究―神とアナロギア

カントの哲学全体における宗教の働きを、神を中心として考察した著作。これまでのカント研究ではあまり試みられていないアナロギア(類比=数学的な「比例」を意味するギリシャ語)の論理・方法論を用いているのが特色で、「既知なるもの」を手がかりに「未知なる神」の存在とその特徴・働きを浮き彫りにしていく。そしてカントにおいては「理論的世界から道徳的世界を経て宗教的世界へと人間存在の有限性の自覚が深まるにつれて、次第に神の役割が重みを増してきた」とみる。

またカントは宗教に対して、神学者としてでなく、夢想的な狂信者としてでもなく、理性の哲学者としてその解明を試み「真の宗教のあるべき姿を道徳宗教に求めた」と論述。「道徳法則の声に神の導きを感じ、自らの行為に対する神の審判を畏敬しつつ待ち望む敬虔な道徳的有神論者だった」と結んでいる。
書籍名 カント宗教思想の研究―神とアナロギア
著者名 理工学部助教授 石浜弘道・著
月号 2003年冬季号 No.94
価格 3,800円(税別)
出版社情報 東京都目黒区中目黒1-2-6、北樹出版