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か行

日本家族法史論

結婚、親族、相続などにかかわる日本の家族法の変遷と実態について考察している。中でも江戸、明治期を中心とした日本固有の結婚形態や「法」以前の習俗について詳述。通い婚の慣習や、男性が前髪をそり月代(さかやき)をつくれば結婚適齢期。女性が結婚すると、お歯黒、丸まげにし、外見からも明確だったしきたりなどを具体的に解説し、興味深い研究書となっている。

明治維新後、一夫多妻制を一夫一妻制に改めようという主張や廃妾論とそれへの反発、後に文部大臣となった森有礼が福沢諭吉を証人に立てて行った契約結婚、父親が娘の結婚相手を求めて新聞に出した日本初の求婚広告など、西洋思想の影響を受けた結婚改革の動きも多面的に取り上げている。男尊女卑の思潮を「女大学」や川柳の中に見るなど結婚や男女を取り巻くさまざまの態様、移り変わりが面白く読み取れる。

書籍名 日本家族法史論
著者名 工学部教授 小林忠正・著
月号 2004年春季号 No.99
価格 5,000円(税別)
出版社情報 東京都新宿区早稲田鶴巻町514、成文堂