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浮遊する日本

「日本よ。もうそろそろ精神的浮遊状態から脱せよ」。本質を見誤る恐れのある感情的な議論を排し、著者が豊かなバランス感覚で本書に込めた思いである。

世界における日本の位置付けを的確に踏まえた5章70編の論評で、著者は政治の劣化を憂い、メディアの裏側などを自らの体験を交えて語る。米国の変化の項では政治家のわいろ、セックスなどの報道合戦の影に大事な公的問題の報道が埋もれてしまう批判が出ていることに耳を澄ます。個人の倫理以上に制度的腐敗を問い始めた潮流は、日本のメディアを考える材料にもなる。

ほか、首相の靖国神社参拝の正確な論議、構造改革、誤解しやすい台湾の内情、英語教育、テレビ政治、北京と上海に住む人々の対抗心など多岐にわたるテーマの論評に元中央公論社編集長のけい眼が光る。即刊「漂流する日本」の続編。

書籍名 浮遊する日本
著者名 総合社会情報研究科教授 近藤大博・著
月号 2002年夏季号 No.92
価格 1,800円(税別)
出版社情報 東京都千代田区西神田2-7-6、花伝社