東海道名所図会を読む
昨今日本では国内や海外への旅行ブームが衰えるどころか、ますます盛んになっている。まさしく平和日本の象徴的現象といえる。
本書は、「膝栗毛」ブームにのった安藤広重の描く、あの「東海道五十三次」の東海道ブームに便乗、『東海道名所図会』を取り上げ、読者の興味をひきそうな挿絵を“読もう”というもの。
まず巻末に載っている「附 近世の旅について」、「附『旅行用心集』」、「附『東海道人物志』」から読むことをおすすめしたい。そうすれば本書の理解度がさらに深まるのではなかろうか。とくに、旅行用心集の心得書きは現代でも立派に通用する教訓にもなっている。
著者のひそかなる企みは、本書によって「東海道病」の更なる蔓延である。この蔓延は害にもなるまい。そして「木曽路病」「伊勢路病」などの新たなる発生をも期待している。
書籍名 | 東海道名所図会を読む |
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著者名 | 文理学部教授 粕谷宏紀・著 |
月号 | 1997年秋季号 No.73 |
価格 | 2,800円 |
出版社情報 | 東京都千代田区神田錦町3-7、東京堂出版 |