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さ行

浮遊する記憶にのせて

写真と詩で構成した「赤い帽子」「ニューヨークの記憶」「のび上がる光」「風の吹き抜ける街」など、しゃれた、女性らしい繊細な色彩やや造形感覚が随所に顔をのぞかた作品集。

「影は語る」と題された連作や、「あなたと出会ったのはいつだったでしょうか」でのサンマルコ広場、セントラルパーク、パリなどの写真には、芸術学部写真学科でおしどり教授であった夫、徳美さんが平成十年暮れ六十一歳で亡くなった、その追慕の熱い思いが伝わってくる。

こうした記憶という形で蓄積した日常風景のイメージをミステリアスな写真ーぶらしたりぼかしたりして、今までのこれが写真というイメージを拡大し、写真の多様さ、現代アートの手段としての役割の可能性などを模索している。

著者にはほかに作品集「絵本のように」がある。

書籍名 浮遊する記憶にのせて
著者名 芸術学部教授 澤本 玲子・著
月号 2001年秋季号 No.89
価格 2,800円(税別)
出版社情報 東京都品川区大崎1-15-9、光村印刷