ギリシア・ローマ時代の書物
古代ギリシア、ローマなど地中海を巡る興亡史に興味のある人なら文字、言語、書物の変遷史として新たな知識欲を満たしてくれるだろう。専門書ではあるが、文字にまつわるさまざまなレリーフ、壁画に描かれた文具、出土物などの写真も数多く掲載されているのに加え、訳者の編集の工夫もあって教養書としても興味深く読める。紀元前五世紀から紀元後五世紀までの約千年にわたって次の六項目が大テーマで(1)この時代の文字の生成と発展 (2)人々はどのように文字を習得し、書き・読みしたか (3)パピルス、皮、羊皮紙など書く材料の変遷 (4)巻物から冊子への書物の変遷 (5)書物の制作と流布 (6)図書館の形態と役割――。訳者の専門はドイツ近現代史でグーテンベルクに関する著作もあり、「欧州出版史の根源となる古代ギリシア・ローマ時代」への思い入れが日本で訳出版となったと記している。
書籍名 | ギリシア・ローマ時代の書物 |
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著者名 | 経済学部教授 戸叶勝也・訳 |
月号 | 2008年秋季号 No.117 |
価格 | 6,410円(税別) |
出版社情報 | 東京都文京区本郷3-15-6、朝文社 |