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虚構と現実 ハイネとデュレンマットの座標

真実と虚構との微妙な境目、いわゆる「虚実皮膜」に人の感動を誘う芸術の不思議な力が潜んでいるという。十九世紀のドイツの詩人ハインリッヒ・ハイネ。スイス生まれで「ドイツ語で作品を書く大戦後最大の劇作家」フリードリッヒ・デュレンマット。生きた時代、生い立ちも違う二人の作品を通し、虚実皮膜の芸術論を考察する。第一部では、現実の生活を通した作品を武器にして闘った「愛と革命の詩人」ハイネの基軸を探り、幼児期のフランス革命の影響と困窮の中でも他人への愛を持ち続けた母親の存在があるとみる。

第二部では、現実を虚構の世界のように、あるいは虚構の世界を描きながら観客に現実の恐怖を突きつけるなど「現実をもて遊びつつ演劇に変えてゆく」デュレンマットの演劇論の解明を試みる。第三部には「女性解放と女性文学について」など、興味深い「小論」五編を掲載。

書籍名 虚構と現実 ハイネとデュレンマットの座標
著者名 薬学部助教授 山崎良介・著
月号 2004年冬季号 No.98
価格 2,000円(税別)
出版社情報 東京都文京区目白台2-13-2、近代文芸社