講演会・シンポジウム・公開講座


公開講座
平成30年度後学期 第1回公開講座の開催報告

開催日時
10月2日(火)18時~19時30分
表題
「西郷隆盛とは何者か―日本の近代、150年を問う」
講師
危機管理学部教授 先﨑彰容
第1回公開講座

平成も最終盤の今日、とりわけ東日本大震災以降のわが国では、「時代の転換点」「閉塞感」という言葉は常套句となっている。これは広い視野で見れば、日本の近代化が曲がり角に来ていることを意味していて、従来の価値基準が通用しない事態が起こっていることを意味する。では今日、新しい時代に対応するための新機軸は、どのようにすれば創出できるだろうか。
以外にも、筆者はそのヒントは150年前の過去に存在すると主張する。具体的には、「西郷隆盛」という一人物の思想と行動、さらに死去後の「西郷伝説」が、日本の近代化の是非を考えるうえで糧になると考えた。本発表は、昨年出版された拙著『未完の西郷隆盛』(新潮選書)を簡略にまとめたうえで、「日本の近代化の是非」を考えようとしたものである。
具体的に内容を見てみよう。西郷は、封建士族から圧倒的な支持を受けていた一方で、廃藩置県や徴兵制など、わが国の近代化を断行した人物でもあった。西南戦争で西郷亡き後、多くの思想家たちが「西郷伝説」を語り始める。中江兆民・頭山満・三島由紀夫・司馬遼太郎などの碩学が、西郷をダシに自らの思想を語っていた。とりわけ、同時代人である福澤諭吉は、西郷と問題関心を共有していた。鉄道や印刷技術による情報の急激な拡散が、日本人の精神に及ぼす影響を、詳細に分析してみせたのだ。結果、福澤は、西郷が情報戦に敗れた結果、西南戦争で敗北したのだと喝破した。このような西南戦争イメージは、きわめて新規性に富んだものだといえるだろう。
また発表の第二点目として、実際の西郷の「思想」を明らかにした。西郷は歴史学で取り上げられることが多く、思想研究は十分とは言えない。具体的には、『南洲翁遺訓』が、佐藤一斎の儒教思想、とりわけ「天」思想から深い影響を受けていることを明らかにした。

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