まだ「シンクロナイズドスイミング」と呼ばれていた2016年のリオ五輪。チームで銅メダルを獲得した日本代表「マーメイドジャパン」には、本学校友の三井梨沙子選手(2017年文理学部卒)がいた。それに続くべく、東京五輪のアーティスティックスイミング(AS)の日本代表として活躍を期待されているのが2020年卒業の塚本真由選手だ。
2020年に東京五輪の代表メンバーに選ばれた時は、「小さい頃から五輪選手になることを目標にしてやってきたので、『やっとこの時が来た!』という嬉しい思いと、『こんな私で大丈夫か』という不安の両方がありました」という塚本選手。だが、全体ミーティングの場で井村雅代ヘッドコーチが「私に選ばれたのだから自信を持ちなさい」と選手たちに掛けた言葉と、厳しい合宿を通して、徐々に気持ちが前向きに変わっていった。

写真は在学当時。

それでも4月、五輪延期が決まった際は、1度だけ「辞めたい」と思うこともあったという。「本当に開催されることになるのか分からないし、もう1年この苦しい練習を繰り返すのは嫌だった」と振り返ったが、それも一瞬のこと。「世界選手権から、毎日休まずみんなと積み上げてきたものがあり、コロナ禍で離れ離れになっていても五輪でメダルを獲りたいという気持ちを1つにしてやってきました。今は延期した1年分、上手になったと思うし、自分自身が成長できたと思うので良かったです」。
2019年9月の世界水泳光州でも代表メンバーとして戦ったが、テクニカルルーチン(TR)、フリールーチン(FR)共にライバル国のウクライナに及ばず4位に終わった。東京五輪ではウクライナを上回る演技が求められるが、「体格で勝るウクライナに勝ってメダルを獲るためには、水面からの高さを上げることや、力強く迫力ある演技をしなくてはいけないと考え、練習しています」。自らの課題としていた“筋力と体力"も、「この1年で体格が良くなり、筋力が付いてきたと実感しています。体力も、演技の最後まで迫力ある泳ぎができるよう、テーパリングが掛かるまで泳ぎ込んでいくつもりです」。
五輪で披露する日本代表の演技は、「和」の要素を採り入れた構成で、「TRで行う空手の演技での私の声には自信があります」という塚本選手。同時に「隊列の並びや技の高さを出すこと、リフトを成功させること」に気を配っているという。
「私にはリフトの土台という重要な役割があります。また、8人の真ん中で演技をするパートがあるので、チームの顔として表情や高さをしっかり出して、役目を果たしていきたいですね」
2021年4月上旬、日本代表はロシアで開催されたASの国際大会に約1年8ヵ月ぶりに参加した。
「久しぶりの国際大会ということもあり、今まで感じたことのない楽しみな気持ちと、五輪前最後の国際大会なので良い印象を残さなくてはならないという緊張がありました。世界トップのロシアの演技を間近で見て得るものもあったし、五輪までの改善点を見つけることができて良かったです」
本番まであと1ヵ月、「メダルを獲らなくてはいけないというプレッシャーはありますが、五輪が近づくにつれて自分自身のやる気とモチベーションがみるみる上がってきています」と話す塚本選手。「今までの練習の成果を全て出し切り、メダルを獲得するのが目標です!」と、その言葉は力強い。

プロフィール

Mayu TSUKAMOTO ​[つかもと・まゆ]

1997年4月生まれ。千葉県出身。昭和学院高卒。2020年スポーツ科学部卒。ミキハウス、東京アーティスティックスイミングクラブ所属。中学生の頃から国際大会に出場し、'18年以降は日本代表に度々召集される。'19年4月のジャパンオープンでチームTR・FR優勝。同年7月の世界水泳光州ではチームTR・FR共に4位だったが、そのメンバーの中から五輪代表として選出された。