ボート競技 第45回全日本大学選手権大会 総合優勝

ボート競技 第45回全日本大学選手権大会 総合優勝ボート競技 第45回全日本大学選手権大会 総合優勝

今年のインカレは、例年に増して暑く、そして熱い戦いとなった。9月6日(木)から4日間、ボート競技の聖地とも言われる戸田ボートコースで開催された第45回全日本大学選手権。連日30度を超える真夏日となった中、昨年までインカレ12連覇中の本学男子は、8種目30名の選手が「負けられない戦い」に挑んだ。決勝レースに進んだのは4種目のみで、総合得点争いでは苦しい状況になったが、最終レースのエイトでの見事な勝利により、初優勝を目前にしていた仙台大学を逆転。劇的な展開で13年連続となる26度目の総合優勝を飾った。

 昨年の第44回大会では、初日の予選レース8種目中6種目で1位通過し、そのまま準決勝・決勝も圧倒的な力で制していたのだが、今大会は予選から苦戦の連続だった。
 最初の男子舵手なしペアが5位に沈んだのを皮切りに、男子シングルスカル、男子ダブルスカル、男子舵手なしフォアと続けて2位に甘んじ、その間には唯一の女子選手である大門千紗選手(スポーツ科学・2年)も女子シングルスカルで2位となり、いずれも敗者復活戦に回った。後半の男子舵手なしクォドルプル、男子舵手付きフォア、男子エイトでは、地力の差を見せつけて順当に準決勝進出を果たしたが、今シーズンから新たに指揮を執る橋本健二監督(1991年・経済学部卒)が「レースは、やってみないとわからないところがあるので…」と危惧していた通り、不安が残るスタートとなった。

男子ダブルスカル準決勝、左・高瀬悠斗選手(法)と右・入谷玲音選手(文理)の4年生コンビ。

 大会3日目の準決勝。最初に出漕したのは、前日の敗者復活戦を1位で突破した男子シングルスカルの木村太一選手(法・1年)。序盤から積極的に飛ばしていき、最後は12秒近い大差をつけて決勝進出を決めた。だが、同じく敗者復活戦を勝ち上がってきた男子ダブルスカル、男子舵手なしフォアが惜しくも決勝進出を逃すと、続く男子舵手なしクォドルプルも1500m地点で明治大に逆転され2着となり、順位決定戦に回るという思いもよらぬ結果となった。
 一方、男子舵手付きフォア、男子エイトの準決勝は危なげないレース展開で1着となり、翌日の決勝へと駒を進めた。

4年生で副主将の野村大貴選手(手前から3番目・文理)が、嘉屋春樹選手(奥・法)、福井修聡選手(手前から2番目・法)、太田海也選手(手前・スポーツ科学)の1年生3人を率いて力漕した男子クォドルプル。準決勝で惜しくも2着となり、順位決定戦へ回った。

男子エイト(中央)の準決勝は、スタートから他校を圧倒して快勝し、決勝へ進んだ。

 最高気温が33度にまで達した大会最終日。6種目で決勝を戦った昨年に比べ、ここまで決勝レースに進出したのは4クルーのみで、橋本監督は「決勝に行けるクルーが少なかったので、肝を冷やしました」と振り返る。
 午前中は順位決定戦のレースから始まり、男子ダブルスカル7位、男子舵手なしフォア7位、男子舵手なしクォドルプル6位という結果に終わる。
 決勝レースの最初は男子シングルスカル。今大会4レース目となり疲労が見られる木村選手は、アジア大会金メダリストの中央大・宮浦選手を追い込むも3位でフィニッシュ。しかし、総合成績争いにおいては貴重な2点を獲得した。
 続く男子舵手付きペアの決勝には、大会2日目に行われた予選レースを全体トップのタイムで1位通過した、ストローク・河津蒼摩選手(4年)、バウ・阿部杏輔選手(2年)、コックス三輪拓斗選手(2年)の法学部トリオのクルーが、チームの期待を背負って登場。「スタートしてから積極的に前に行けたのが良かった」(河津選手)と、序盤は早稲田大との先行争いとなったが、1000m手前からギアを切り替えてレートを上げると、一気に半艇身を突き放した。1500mではその差1艇身となり、「最後は少し詰められましたが、こちらも1750mから上げていきましたし、余裕を持ったリードを得たので落ち着いて漕ぐことができました」(三輪選手)と、同種目で3年連続優勝を果たした。

※ストローク:船尾に最も遠い漕手 バウ:船首に最も近い漕手 コックス:最後尾に乗る舵手

男子舵手なしフォアは最終結果7位。左から春名祐希選手(文理・2年)、松井海修選手(法・3年)、松吉隆哉選手(スポーツ科学・1年)、藤原祐太選手(スポーツ科学・3年)。

男子シングルスカルは1年生の木村選手が3位と健闘。

チーム最初の優勝を決めた舵手付きペアのクルー。

「総合優勝に向けて勢いを付けることができた。この後に出艇するクルーたちを信じて、残りのレースを応援します」と、優勝カップを手に喜ぶ舵手付きペアのクルー。左から三輪選手、河津選手、阿部選手。

舵手付きフォア決勝は、1500mからのスパートで日体大を逆転。

勝利の雄叫びを挙げるクルー。

表彰式で校旗掲揚を見つめる選手たち。「優勝できてホッとしました。最後にしっかりスピードを上げられたのが勝因です」と語る左から中原友朗選手(法・4年)、佐藤樹選手(文理・1年)、高橋創丸選手(法・2年)、江畠選手、古田選手。

 午後の男子決勝はいよいよ残り2レースとなり、土手や河岸に陣取る各校の応援団や観衆も総合優勝の行方を気にし始めていた。ここまでの総合成績は、男子決勝6種目のうち5種目で得点を挙げた仙台大が11点でトップに立ち、本学は2種目で7点。次の男子舵手付きフォアで仙台大に優勝を攫われると、その時点で総合優勝がなくなるという厳しい状況に立たされていた。さらに、藻刈り作業等による中断で1時間近くも発挺を待たされることになったが、本学の5人のクルーたちは「舵手付きペアが優勝してくれたので、僕らも勝ってエイトにつなごう」と、強い気持ちでレースに挑んだ。
 スタートして最初の500mは、日本体育大、仙台大、一橋大と4校で競ったが、1000mから1500mでは日体大が先行。だが、「レースプランとしては理想通りではありませんでしたが、後半にスピードアップするという練習の成果を発揮できたので良かったと思います」というコックス・古田大智選手(法・3年)の言葉通り、ギアを上げたラスト500mのラップでは日体大を2秒上回り、そのまま勢い良くゴールへ飛び込んだ。「最後の500mで一気にグンと出て、これで勝てたなと確信しました。最後は自信を持って漕ぎ切ることができました」と、ストロークの江畠凜斉選手(スポーツ科学・2年)は満足げな表情で話した。
 このレース3位の仙台大(計13点)に対し、5点を加えた本学は1点差まで詰め寄り、最終レースのエイトにすべてが委ねられた。

 16時になっても暑さ変わらぬ中、インカレを締め括る男子エイトの決勝レースが始まった。中央大、一橋大、仙台大との戦いは、仙台大の順位を上回ることが総合優勝の絶対条件。しかも単独優勝のためには、インカレ王者のプライドに賭けてもこのレースを勝ち切ることが必要だったが、準決勝では本学が最も速いタイムでフィニッシュしており、橋本監督は「しっかりやってくれるだろうと、彼らの力量を信じて送り出した」という。
 発挺の合図が響き、スタート直後から飛び出した本学は、500mですでに2番手の中央大より半艇身前に出て、仙台大にはおよそ1艇身の差をつけた。「スタートでリードして、そのあと徐々に引き離していくというプラン」(堀江翔太主将・法・4年)の通り、1000m地点では競り合う中央大・一橋大との差が1艇身以上に広がる一方、仙台大は艇速が伸びずに射程外になった。1250m、1500m、1750mとコックス・八木陽輝選手(法・4年)の指示のもと、一糸乱れぬリズムで力強く水を押し続ける8人の顔が、まさに“陽輝”の名前の通り、少し傾きかけてきた陽射しに照らされて輝いて見える。
 そして、メインスタンドに近づくにつれ歓声が高まっていく中、最後までスピードを落とすことなく突き進んだ本学クルーが、2位・一橋大に5秒余りの差をつけてゴールラインを越えると、勝利を称える声と拍手が川面に響き渡った。

エイト決勝は終始リードを保ったままゴールして快勝。

優勝を喜び合うエイトのクルー。

 フィニッシュの瞬間、バウの堀江主将と2番・鎌田拓弥選手(法・3年)は両手を力強く突き上げ、向き合って座る八木選手とストロークの江本拓斗選手(法・3年)はハイタッチを交わした。7番の瀬戸淳也選手(法・3年)は両手を思い切り突き上げたあと、振り返って6番・吉田拓人選手(経済・2年)とタッチを交わし、5番・高瀬稜真選手(スポーツ科学・3年)は後方を見ながら右手の拳を突き上げ、4番・木村晶選手(スポーツ科学・3年)は左胸の前で小さくガッツポーズをし、3番・石原晶太選手(文理・3年)は指で示した“イチバン”を頭上でくるくると回した。
「自信を持ってスタートできましたが、レース中に勝利の確信を持てたのは、最後の100メートル位です。 どのチームも強いクルーだったので、気を抜かずどんどん離して行かなければという気持ちで漕いでいました」という堀江主将。「総合優勝についてはあまり意識しませんでした。種目ごとにそれぞれの役割を果たしていくだけなので、このレースも自分たちのスピードを出すことだけに集中していました。それが勝ちにつながったのだと思います」
 終わってみれば圧巻のレース展開を見せたエイトで3年連続優勝を飾り、同時に4位となった仙台大(合計14点)を本学が逆転(合計17点)して26度目の総合優勝に輝き、インカレ13連覇を達成するという劇的な幕切れとなった。

「おめでとう!」の声に笑顔で応える9人。

「おめでとう!」の声に笑顔で応える9人。

エイト優勝により、総合優勝13連覇が決まった。前列左から石原選手、堀江主将、八木選手、高瀬選手、後列左から木村選手、吉田選手、瀬戸選手、鎌田選手、江本選手。

総合優勝の表彰を受ける堀江主将(左)と野村副主将(右)。

【堀江翔太主将】
 キャプテンとしてのこの1年間は、プレッシャーがすごくありました。それでもみんな心が強く、プレッシャーに打ち克つだけの力と気持ちを持っていましたから、個人個人の力とチーム力が重なったことでこれだけの力が発揮でき、結果に結びついたのだと思います。
 自分もそれに負けないくらいの気持ちとパワーを持ってやってきましたし、総合優勝できて良かったというのが実感です。

【橋本健二監督】
 チームとして良い雰囲気で大会を迎えましたが、監督1年目ということで、どういう成績を出せるのか不安もあり、楽しみでもありました。12回連勝してきて、13回目で途切れるというのは、許されないなと…(笑)。
 決勝へは4クルーしか進出できませんでしたが、それぞれの選手たちがこれまでやってきた練習をどう体現してくれるのか期待していました。日頃から真剣に取り組んできた練習量が確かな成果として表れたのだと思いますし、練習成果を十分に発揮してくれた選手たちには「やってきた事は嘘をつかないぞ」と改めて言いたいですね。
 今年は終始気を許せない大会でしたが、終わってみれば非常に満足のいくものでした。総合優勝はチームの団結力の結晶だと思います。