2018平昌オリンピック フリースタイルスキー・モーグル 銅メダル
原 大智 選手

2018平昌オリンピック(第23回冬季オリンピック競技大会)のフリースタイルスキー・男子モーグル決勝において、本学から参加した原大智選手(スポーツ科学部・1年)が3位となり見事に銅メダルを獲得。今大会の日本勢メダル第1号となると共に、モーグルでは女子の里谷多英以来2人目、フリースタイルスキー全体を含めても男子では史上初となるメダリストとなりました。
一躍、全国にその名を轟かせた原選手は、帰国後の2月16日(金)に本学の田中英寿理事長、大塚𠮷兵衛学長の元を訪れ、メダル獲得を笑顔で報告。田中理事長からは労いの言葉と記念品が贈呈されました。
その後に行われた「スポーツ日大」インタビューでは、試合前後の心境やこれからのことなどを語ってもらいました。

理事長・学長へ報告する原選手
「自分の滑りの中で、楽しさを見つけられたことが銅メダルにつながったと思います。自分の技術はまだ未熟なので、これからもっと強くなれるよう頑張っていきたいです」
(左は鈴木典スキー部長)

―― 銅メダル獲得、おめでうございます。

有り難うございます。

―― 授与式でメダルを掛けてもらった時の気持ちは?

オリンピックでメダルを獲ることに人生を賭けてきましたが、自分だけではなく、周囲のたくさんの人の思いも詰まったのが、このメダルの重みなんだと感じました。ただ、日にちが経っても、未だにこのメダルを見ると、今までのつらいことを思い出して涙が出そうになるくらいで、「よく頑張ったなぁ」と自分のことをほめてあげたいですね。

―― 試合直後のインタビューでも、涙ぐんで話す声が上ずっていましたね。

そうですね(笑)、何だかこみ上げてきてしまって…。自分でも「こんなに泣き虫だったかなぁ」という感じでした。これまでは悔し泣きをするばっかりでしたが、うれし泣きするのはモーグルをやっていて初めてですかね。本当に今回はうれしかったです。

―― メダリストになって、何か気持ちの変化はありましたか?

銅メダリストになった瞬間はただうれしくて、まだ夢の中のいるような気分ですが、それで自分の中の何かが変わったということはありません。自分は今まで通り「挑戦者」としているんだと思っています。

―― 前のインタビュー時、「平昌のコースはいいイメージがない」と話されていましたが、今回はコブの特長が自身の滑りとマッチしたと言われていますが?

はい、実は練習の1日目から、「このコースが好きだな」と思っていました。あとはどのラインを滑るのがもっと自分の滑りに合うのかというのを意識して練習していました。もちろん、コース状況の変化も若干ありましたので、日を追うごとにミスも出てきましたが、完全なミス…試合で点数に大きく響くようなミスは絶対しないぞという強い気持ちでいたので、自信を持って滑ることができました。

――予選では1番滑走になりました。
 
すごいプレッシャーでした。いつのまにか吐きそうになるくらいの重圧で、「滑りだせるのかな」という状態でしたが、スタート台に立ったら「もう行くしかない!」と気持ちも入っていて、その勇気だけで飛び出していきました。
 
――滑り終えて決勝進出への手応えは?
 
僕の点数が基準点になるので、予選通過にはギリギリのラインかなと思いましたが、たぶんいけるんじゃないかなと思って待っていました。中盤以降の選手が点数が伸びなかったので、これは行けるなと…。
 
――予選は6位で通過、決勝では1本目で3位、2本目は1位で通過。「滑るのが楽しくてしようがない」と言っていましたね。
 
はい、楽しさは決勝の最初からありました。他の選手がミスをしているところを、自分だけが普通に楽しく滑れているということで、さらに楽しさが生まれていった感じです。2本目で絶対王者のキングズベリー(カナダ)選手を上回る得点を出した時は、まだ決勝の3本目があるからということで気に止めていませんでしたが、今振り返ると結構すごいことをしたんだなと思います。
 
――滑走待ちの時、近寄ってきた来たテレビカメラに原選手らしからぬアクションを見せていましたね。
 
そうですね(笑)、普段はたまに手を振るぐらいなんですが、あの時はテンションが上がっていましたから。ほんとに楽しくて楽しくて、待っている時間がすごい嫌だったんです。早く滑りたくてしようがなくて…。その楽しさが滲み出ちゃったという感じですね。
 
――2本目の準決勝で堀島(行真)選手や遠藤(尚)選手が転倒したのを見て、どう思いましたか。
 
けっこう無心だったですね。同じ大会に出ている時点で、チームメイトではあってもライバルなので、
彼らが転んだという事実だけで何の感情もありませんでした。極限まで集中してやっていたからなのか、転んだことについて何も思わないよう、自分の中でシャットアウトしていたんだと思います。
 
――最終滑走となった決勝のレースは、スピードを抑えて滑っているようだと解説者が言っていましたが。
 
はい、セカンドエアまではスピードを落とすのが作戦としてやるべきことだったのですが、それが行き過ぎてスピードが落ちてしまったのかなと思います。

――得点が出るまでどんな気持ちでしたか?

キングズベリー選手が86.63点を出したと聞いた時は、僕には到底及ばない点数だと思ったので、何とかメダル圏外にならない点数が出てほしいと願いながら待っていました。2位は狙えると思っていたんですが、4位は嫌だなと。だから3位が決まった時にはほっとして、思わず後ろにいた堀島選手のところに駆け寄って抱きついていました。その時はもう彼は涙を流していて、それを見てこっちまで泣きそうになりましたね。

――2位のグラハム選手(オーストラリア)とは僅か0.38点差、その差は何だと思いますか?

やはりエアに対して絶対の自信が足りなかったので、スピードが上げられなかったことだと思います。今回のオリンピックでは、苦手の部分はちゃんとこなせるようになっていたのですが、絶対的な自信がなかったので、それ以上の完成度を求めることができなかったというのが2位との差だと感じました。
エアの時にオリジナルの技「Dグラブ※」を入れるなど進化はしたと思うので、後は高さと飛距離があればもう少し点数が上がったのかなと感じています。そこは技術的な未熟さが招いた結果ですし、振り返ればもっとああしておけばよかったなということもありますが、今回の滑りに悔いはありませんし、初めてのオリンピックでワールドカップでも経験のない表彰台に立てたという結果には満足しています。
※グラブ:スキー板を空中で掴む技

――注目されていた堀島選手ですが準決勝敗退(11位)。試合後は何か話をしましたか?

彼のほうが結果を残しているので注目されるのは当然ですが、見返してやりたいという気持ちでした。でも彼の存在があったからメダルが獲れたと言ってもいいと思うし、彼が決勝でも応援してくれていたのでうれしかったです。試合の後は、ふつうに話をしましたが、モーグルのことは話をしていません。やっぱり彼も悔しいだろうし、僕自身、昨年の世界選手権で味わった悔しさ(食中毒の影響で22位)を、今彼が味わっていると思うので…。

――立場が変わったと?

いえ、僕は全くそう思ってはいません。世界選手権で優勝したのは堀島選手だし、世界王者のタイトルを持っているのは彼ですから、僕はオリンピックの銅メダリストですが金メダリストではないので、まだ追う立場だなと思っています。そのへんの気持ちは全然変わっていなくて、たまたま今回は3位でしたが、優勝できていないので、僕はまだ堀島選手を追いかけていきたいと思います。

――まずはワールドカップや世界選手権での優勝が目標ですね。

はい、今回のメダルセレモニーで思ったのですが、金メダルはやっぱりいい色だなと。それを持っている堀島選手はほんとに凄い、いい選手なんだと改めて思いました。だから僕も目指すところは優勝です。
そのためには、やはりエアの強化が必要ですね。まだまだ課題があるので、その辺は堀島選手のエアを見て学んで、頑張っていきたいと思います。

―― 試合後、多くのお祝いの言葉やメッセージが寄せられたと思いますが?

そうですね、かなりありました。メダルを獲ったあとに報告のツイートをしたら、「いいね」が50,000件以上入っていて驚愕でしたね。「なんだこれは!」という感じで。コメントも結構入ってきていますが、もう返せないという感じです。でも、やっぱり昔から知っている人は、メッセージでは表せられないものがあるので話をしようという形ですね。

―― 決勝戦の当日にも「金メダルを獲りに行ってきます」とツイートしていました。

それはもう僕の意気込みでした。今日やることはこれだという感じで、自分に言い聞かせるつもりでツイートしました。

―― お世話になった故・平子(剛)コーチへもいい報告ができますね。

オリンピック出場を決めてからも伺えていないのですが、今度は「銅メダルを獲れました」ということと、次の目標に向けての報告をしに行きたいと思っています。

―― 現地でも帰国後も、テレビ番組への出演が相次ぎましたが大変だったのでは?

いえ、そういうのも楽しくやれていることが、自分としてはうれしいですね。水ト(麻美・日本テレビ)さんや加藤浩次さん、軽部(真一・フジテレビ)さんに会えたのも本当にうれしかったです(笑)。会見などでジャンプの高梨(沙羅)選手とも一緒になりましたが、「テレビで見ていた人だ!」みたいな感じで僕の方が緊張しちゃって…。ちょっとした話しかしていません、「昨日寝られた?」とか(笑)。

―― これからの日本のモーグル界を引っ張っていくのは原選手や堀島選手といった若い世代ですよね。

そうですね、遠藤先輩は今シーズンで引退してしまうのでとても悲しいのですが、やはり堀島選手と一緒に日本のモーグルをもっと強くしていかなければいけないのかなと思っています。今は銅メダルを獲ったことで注目されていて、それはうれしいことなんですけど、モーグルという競技はまだあまり知られていないので、もっと広めていけたらなと思っています。

―― そして北京オリンピックでこそ金メダルですね。

はい、もっと強くなって金メダルを獲れるよう頑張ります。