東京2020オリンピック競技大会 競泳・男子200mバタフライ
銀メダリスト 本多灯選手

東京2020オリンピック競技大会の競泳・男子200mバタフライにおいて、本学の本多灯選手(スポーツ科・2年)が2位に入り銀メダルを手にした。競泳男子では唯一のメダリストとなり、2004年のアテネ五輪から続く日本競泳男子同種目でのメダル獲得の伝統を見事に受け継いだ。日本中を歓喜の渦に巻き込んだ本多選手は、9月1日(水)、本学の田中英壽理事長、加藤直人学長の元を訪問。五輪の報告と今後の決意を述べた本多選手に対し、田中理事長と加藤学長からは労いと応援のメッセージが贈られた。また、同日に行われたインタビューでは、五輪期間の心境やこれからの展望などについて語ってくれた。

田中理事長と加藤学長へ報告する本多選手。「コロナ禍の中でも皆様から多大なサポートと応援をいただき、自分のレースをすることができました。今回は銀メダルでしたが、3年後のパリ五輪では目標である金メダル、そして、世界記録樹立を達成できるよう頑張ります」

左から、加藤学長、本多選手、田中理事長。田中理事長からは「練習を積めば必ず成果が出る、練習は裏切らない、しっかりとやること」と背中を押され、加藤学長は「日本中の人が本多君の泳ぎに心踊らされ、元気をもらったと思います」と話した。

― 銀メダル獲得おめでとうございます。
ありがとうございます。

― 決勝レース直後、とても興奮している様子でしたね。
表彰台をずっと狙っていたので2位とわかった瞬間は人生で1番うれしかったです。その後の表彰式までずっと興奮状態が続いていました。実際にメダルをかけた時は、その重さに驚きましたね(笑)。
 

― 周囲の反応はいかがでしたか?
五輪代表に決まった時以上の連絡が来て、ありがたい言葉の数々にうれしくなりました。自宅に帰った時家族からも「おめでとう」と言ってもらったのですが、金メダルではなかったこともあり「まだまだかな」と返答しました。

― 共に参加していた本学の選手から何か言葉は?
長谷川(涼香)選手や小堀(倭加)選手は「おめでとう」と言ってくれましたし、関(海哉)選手もグータッチで祝福してくれました。池江(璃花子)選手も興奮した様子で褒めてくれました。やさしい先輩たちばかりです。

― テレビ出演が増えるなど、注目されることについては?
本当に光栄なことだと思います。こうした取材の機会は以前から多少はあったのですが、テレビ出演の経験はなく、新鮮なことばかりだったので、とても楽しい時間を過ごせました。ただ、長時間座っていることが多くてお尻が痛くなることもありました(笑)。

― 200mバタフライは、2004年のアテネ五輪から日本人選手のメダル獲得が続いていましたが?
いえ、自分のレースをするだけだと思っていましたし、本来の力を発揮できればメダルを獲れると思っていたので、その点は特に意識はしていませんでした。

― 予選は1分55秒10で全体6位、準決勝は1分55秒31の全体8位での決勝進出でした。
予選から自己ベストを出す気持ちで臨んだのですが、金メダルを獲ったミラーク選手が隣のレーンだったことや日本の競泳チームの流れがあまり良くなかったことなどもあり、緊張を感じていたのかなと、今ではそう思います。準決勝は1分54秒台で泳いでいる感覚でしたが、結果は55秒台だったので、その感覚のズレに不安を抱きました。プレッシャーを感じていたわけではないのですが、自分で自分を苦しめていたように思います。

― 決勝に向けて、どう切り替えたのでしょうか?
ギリギリの順位で決勝進出となったので心配はありましたが、日本代表の方々が背中を押してくれて気持ちが楽になりました。主将の入江(陵介)選手が「8位だからいいんだよ」と声をかけてくれて、「ここから落ちる心配はないし、楽しむ気持ちで積極的に攻めるレースができる」と思えるようになりました。瀬戸(大也)選手からは「頑張ってこいよ」と言っていただいて、選手村で同室だった萩野(公介)選手には「お前なら安心だわ」と声をかけられ信頼していただけているように感じました。そうした言葉は自分の心に響きましたし決勝はやれるだけのことをやろうと吹っ切れました。

― 決勝は波の影響などで不利といわれる8レーンでしたが?
あまり泳ぎづらさは感じなかったです。むしろ、端のコースだったからこそメダルを獲れたと思っていて、真ん中のコースだと注目されますしプレッシャーも大きいと思うのですが、そうした影響を感じることがなかったので、自分の泳ぎに集中できました。

― 予選、準決勝に比べて、レース序盤からスピードが出ていました。
100mの折返しを53秒台で入りたいところが54秒台になってしまい少し足りない部分も感じたのですが、落ち着いていけました。後半もそこまでペースを落とすことなく、自己ベスト(1分53秒73)を出すことができたので、今まで積み重ねてきた練習の成果を発揮できたレースでした。

― 他の選手の活躍というのは、ご自身にも影響がありましたか?
日本人第1号の金メダリストになった柔道の髙藤(直寿)選手の活躍は刺激になりましたし、やはり同じ競泳の大橋(悠依)選手が400m個人メドレーの金メダルを獲ったことで、元気と勇気をもらいました。自分もやってやるぞという気持ちになりましたね。

― 同じ五輪メダリストとなり、心境の変化はありましたか?
自分が目指しているのは「世界一」です。今回のレースではミラーク選手と大きな差があったので、変わらずに目標を達成できるようにまた頑張りたいと思いました。

― ミラーク選手と泳ぎの面で、どのような違いを感じましたか?
全てにおいて彼のほうが上回っているなと思いましたが、特に泳ぎの大きさの部分ですね。あとは、推進力を大きくするような水中での肘の使い方がとても上手いなと感じました。

― (金メダルの)ミラーク選手は21歳、銅メダルのブルディソ選手は19歳と、同世代の選手が活躍していますね。
その2選手をはじめとして、200mバタフライでは台湾の王選手も記録を伸ばしていますし、400m個人メドレーに目を向けても若い選手の活躍が目立ちます。現状に満足していてはダメだなと、改めて思い知らされています。

― 東京五輪は楽しめましたか?
レースで1番楽しんだのは自分なんじゃないかというぐらいに楽しめたと思っています。日本代表の選手として参加する初めての国際大会だったこともあり、海外選手の多さにも驚きましたし、新鮮な体験ばかりだったので、充実した時間を過ごせました。選手村の食事も良くて、特に餃子とかき揚げが美味しかったです。

― 五輪を終えて、次は10月のインカレがターゲットになると思います。
昨年、200mバタフライと400m個人メドレーの2冠を達成したので、今年もその2種目で優勝し大学4年間を通して勝ち続けたいです。ライバル選手も記録を伸ばしてきていますが、日本代表の名に恥じないようなレースを見せたいです。

― 2022年5月には、福岡で世界水泳が開催されます。
まずは選考会である3月の日本選手権で日本のエースと認められるような泳ぎをして、200mバタフライだけではなく400m個人メドレーでも自己ベスト更新と代表権獲得を果たしたいです。また、世界水泳での日本記録更新(1分52秒53)を狙っているので、今年中に1分52秒台を出すことを目標に今準備をしています。

― 最後にパリ五輪への抱負をお聞かせください。
200mバタフライをはじめ、100mバタフライと400m個人メドレーでも日本のトップに立って出場を決めたいです。そして、世界記録樹立と金メダル獲得を目指し、今回負けてしまったミラーク選手にも勝てるよう頑張ります。

決勝レース後、報道陣に披露したマッスルポーズは話題となった。「このポーズは、カメラマンさんに向かってピースをしていたら『他のポーズもやって』とリクエストされたのでとっさにやってしまいました」

本学について「楽しい雰囲気の大学です。自分の夢を達成するために、監督とコーチが協力してくれてとても感謝しています」と話した。

Profile

本多 灯[ほんだ・ともる]スポーツ科学部2年
2001年生まれ。神奈川県出身。日本大学藤沢高卒。’19年世界ジュニア選手権200mバタフライで銀メダルを獲得し注目される。本学入学後は’20年8月の東京都大会200mバタフライ優勝に続き、10月のインカレでは200mバタフライと400m個人メドレーの2冠を達成。12月の日本選手権は200mバタフライ優勝、400m個人メドレー準優勝、さらに’21年2月のジャパンオープン200mバタフライで優勝。五輪選考会を兼ねた4月の日本選手権で200mバタフライを制して2連覇。7月の東京五輪に出場し、200mバタフライで見事銀メダルを獲得した。