第97回全国学生相撲選手権大会 団体優勝

日本中の大学相撲部が優勝を目指してしのぎを削る全国学生相撲選手権大会(インカレ)。その第97回大会が2019年11月2日(土)・3日(日)に大阪府・堺市大浜公園相撲場で開催された。本学は、団体戦決勝で東洋大を破り4年ぶりの優勝を果たすと共に、自身が持つ最多優勝回数記録を29回に更新。相次ぐ強豪校との接戦を勝ち切ってつかんだ久々の栄冠は、1年生から4年生までが揃った団体戦8選手をはじめ、チーム全員の結束力がもたらしたものだと言えよう。

本学は2015年の優勝以降、インカレ個人戦では2人の学生横綱を輩出してきたものの、団体戦は2位、3位と悔しい結果が続いていた。しかし、今年は、前半こそケガ人が多く出たが、その後の調整がうまくいったことで戦力が整い、全日本大学選抜相撲金沢大会(7月)、同十和田大会(8月)で団体優勝を飾るなど、チームとしての調子は上向いていた。

決勝トーナメントに挑む選手たち。(右から、先鋒・石岡選手、二陣・榎波主将、中堅・イェルシン選手、副将・沢田選手、大将・川副選手)

大会初日の個人戦は、団体戦出場メンバーを含め5人が決勝トーナメントに進出したものの、メダルには手が届かずに終わり、迎えた大会2日目の団体戦。1チーム5人ずつが対戦して3勝すれば勝利となる。本学は、早稲田大、明治大、拓殖大と対戦した予選を3連勝し、決勝トーナメントへ進出した。
優秀8校で争う決勝トーナメントの1回戦は、6月の東日本学生相撲選手権大会で団体戦・個人戦共に優勝している中央大との対戦となった。互いに譲らず2対2で迎えた大将戦、小兵ながら相手が嫌がる相撲で大きな相手にも屈しない昨年の新人戦優勝の実力者・川副圭太選手(文理・2年)が、素早い攻めで相手を崩すと、土俵中央で相手の懐に入り込み、足を掛けて後方に倒して勝利を決め(決り手:切り返し)、トータル3対2として準決勝進出を果たした。

鮮やかな切り返しで大将戦を制した川副選手。

決勝進出を賭けた戦いの相手は、宿命のライバル・日本体育大。1ヵ月前の東日本学生リーグ戦では決勝で苦杯をなめているだけに、ここが正念場、是が非でも雪辱を果たしたいと選手たちの気合も入る。
先鋒として土俵に上がった石岡弥輝也選手(法・2年)は、鋭い立ち合いと前に出る力が強いのが特徴。全日本選抜相撲選手権金沢大会・個人戦で準優勝しているが、その時に決勝で戦ったデルゲルバヤル選手が相手の先鋒として登場した。出足鋭く相手を押し込み、引きにきたところを石岡選手が一気に押し出すと、デルゲルバヤル選手はなすすべなく土俵下へと飛び出ていった(決り手:押し出し)。

二陣戦は、相手選手との相性の良さを買われた竹内宏晟選手(法・3年)が、本調子ではない榎波選手に代わり出場したが押し倒しで敗れて1対1に。続く中堅戦は、「アマチュア相撲界では一番」とも言われる強い力と、長い手足を活かした突っ張りを得意とするカザフスタン出身のバルタグル・イェルシン選手(スポーツ科学・3年)が、前日の個人戦で1年生ながら学生横綱を獲得した中村泰輝選手と対戦。イェルシン選手は9月の全国学生相撲個人体重別選手権大会でも中村選手に敗れ優勝を逃しているだけに、今回は意地を見せたいところだ。
互いに間合いを図り時間を掛けた仕切りから、出足鋭く立ったイェルシン選手は、相手を突き放して素早く左を差すと、引き付けながら前へ出る。土俵際に追い込まれた中村選手が強引な上手投げを見せるが、イェルシン選手の左からのすくい投げが勝り、見事に勝利した。これで2対1とし決勝進出へ王手を掛けた本学だったが、副将戦で沢田選手が敗れ、勝負はまたしても大将戦にもつれ込んだ。

中村選手を撃破したイェルシン選手は力強く雄叫びを上げた。

チームの命運を託された川副選手は、団体予選1回戦で不覚を取ったものの、以降は3連勝と勢いがある。日体大・松園大成選手との最初の立ち合いは合わず、仕切り直しての二度目の立ち合い。にらみあいから両者の手が土俵に付く直前、飛び交っていた声援がピタリと止み、会場は一瞬の静寂に包まれた。次の瞬間、両者勢いよく飛び出したが、川副選手は素早い動きで相手の突っ張りをかわし、腰を落した低い体勢から懐に潜り込む。たまらず松園選手は土俵際を右に回り込みながら引き落としを狙うが、川副選手は左はず押しで踏み込み、そのまま松園選手を押し出した。3対2の勝利でチームを決勝に導いた川副選手は、湧き立つチームメイトに向かい誇らしげに何度も高々と手を挙げた。

いよいよ決勝戦。大会4連覇を目指す王者・東洋大が相手だが、今夏以降2度対戦して金沢大会4対1、東日本学生リーグ戦5対4といずれも本学が勝利を収めている。ここまで厳しい戦いを勝ち抜いて来た自信から「勝つしかない!」とチームの士気も上がり、木崎孝之助監督は「自分の対戦だけに集中しろ」と言葉を掛けて選手たちを送り出した。
だが、先鋒戦ではこの日負けなしの5勝を挙げていた石岡選手が、相手を土俵際まで追い詰めながら逆転で敗れるというまさかの展開。ここで木崎監督は、「対戦成績と取り口のタイプを考えて」と、二陣戦を竹内選手に替えて宮崎麗選手(スポーツ科学・3年)に任せることにした。押しも引きも強さがあって器用な相撲が取れる宮崎麗選手は、今大会の個人戦はベスト16に終わったが、昨年は個人戦3位入賞を果たした実力の持ち主だ。相手の東洋大・重松選手も昨年の全日本選手権準優勝という難敵であったが、土俵中央での激しいぶつかりあいから一歩二歩と前に押し返した宮崎選手がサッと体を引き、叩き込みを決めた。体全体で喜びを表しながらチームメイトを鼓舞する宮崎選手は、土俵を降りると中堅戦に臨むイェルシン選手の胸を叩いて気合いを入れた。
個人戦ベスト8の羽出山選手との対戦となったイェルシン選手は、二度目の立ち合いから力強い突っ張りで前へ出ると、相手に何もさせずに押し出して圧勝。これで優勝まであと1勝に迫った。

決勝の先鋒戦は石岡選手(左)が敗れ苦しいスタートとなった。

二陣戦は交替出場の宮崎選手が勝利し、流れを引き戻した。

後がなくなった東洋大・大塔選手との副将戦を戦うのは、四つ相撲を得意とする沢田日登志選手(スポーツ科学・4年)。決勝トーナメントでは初戦と準決勝で、同じように勝てばチームの勝利が決まるという場面で敗れているが、9月の個人体重別選手権大会の無差別級で優勝を飾っており実力は折り紙付き。そんな沢田選手に、勝って土俵を降りたイェルシン選手が歩み寄り、耳元で何事か言葉を掛けた。小さくうなずいた沢田選手は落ち着いた表情で土俵に上がり、仕切りに入っていく。土俵下から宮崎選手らが掛ける大声援を背中に受けながら、ゆっくり間合いをとっての立ち合い。出足鋭くぶつかって大塔選手を突き放し、右をおっつけながら力強く押し出すと、大塔選手は勢いよく黒房下に飛び出して行った。場内が大歓声に包まれる中、「負けるわけにはいかなかった。自信があったし気持ちで押し勝った」と沢田選手は両手を挙げ大きく飛び跳ねて喜びを爆発させる。土俵下の宮崎選手は雄叫びを上げ、東花道で固唾を飲んで見守っていた控え部員たちも歓喜に沸いた。
最後の大将戦も、川副選手が一回り大きい相手を下手出し投げで下して4対1とし、4年ぶり29回目の団体優勝を有終の美で飾った。

イェルシン選手(左)は勝利への思いを沢田選手(右)へ託した。

沢田選手が快心の相撲で団体優勝を決めた。

体全体で喜びを表す沢田選手。

最後の一番、川副選手(右)は低い体勢からの下手出し投げで勝利。

4年生たちは入学以来、インカレを勝つことができずOBからは厳しいことを言われ悔しい思いをしてきただけに感慨もひとしお。「立ち合いの鋭さと圧力は日本一」と言われる実力を発揮できなかったが、主将としての重責を果たした榎波将史主将(文理・4年)は、「厳しい道のりだったけれど、インカレで頂点に立つために頑張ってきました。優勝できて本当に良かった」と安堵の笑顔を見せた。
選手たちから胴上げをされた木崎孝之助監督も、「(東洋大に勝って)感慨深い。夏頃から全体の調子が上がっていたので、正直狙っていた」と満足そうに振り返った。

前列左から榎波主将、イェルシン選手、沢田選手、川副選手、
後列左から 竹内選手、石岡選手、宮崎選手、春山万太郎選手(スポーツ科学・1年)

【榎波将史主将】
チーム目標のインカレ優勝を達成することができました。これは部員1人1人が高い意識を持って頑張ってきた結果だと思います。また、たくさんの方々に支えて頂いたことに感謝致します。応援ありがとうございました。

【木崎孝之助監督】
東日本リーグ戦では優勝を逃したものの、無差別クラスでの対戦ではしっかり勝ち点を取れていたので、インカレに向けてはさほど心配していませんでした。この3年間は4年生中心のチームで、優勝を狙える力がありながら勝てない年もありましたが、今年は2・3年生中心のチームとなり、伸び伸びと相撲が取れて個々の力を十分に発揮できたことが勝因だと思います。それを支えたのは榎波主将の存在ですね。個人としてはケガに苦しみ、4年生のプレッシャーもあっ て本来の力が出せないこともありましたが、持ち前のリーダーシップを発揮して部員を引っ張り、1年を通してチームを上手くまとめてくれたことにとても感謝しています。