第95回日本学生選手権水泳競技大会 男子総合優勝

「水の覇者」復活! 第95回日本学生選手権水泳競技大会 12年ぶり37度目 男子総合優勝「水の覇者」復活! 第95回日本学生選手権水泳競技大会 12年ぶり37度目 男子総合優勝

かつてはインカレ10連覇、9連覇を達成した「水の覇者 日大」が、久しぶりに定位置に帰ってきた。第95回日本学生選手権水泳競技大会において、チーム一丸となった泳ぎを披露し得点を積み重ねた本学水泳部は、学校対抗の男子総合で2位・明治大に大差をつけ、2007年以来12年ぶり37度目の優勝を飾った。古豪復活を大いに印象付けることになった本大会だが、その躍進の原動力は世界の舞台でも好成績を挙げて勢いに乗る1・2年生スイマーたちだった。

東京・東京辰巳国際水泳場で開催された令和最初のインカレ(9月6日〜8日)。3日間で男女各16種目、合計32種目で学校対抗の得点を競うのだが、本学男子チームはここ3年間5位・6位・6位と奮わず、昨年6位となり2年ぶりのシード校入りを果たした女子チームともども、全員が「今年こそ」という気持ちで上位進出を狙っていた。
大会初日、闘病中の病院を一時退院して会場を訪れた池江璃花子選手(スポーツ科学・1年)が応援席で見守る中、午後からは決勝レースが始まった。

大会新記録で優勝した小堀選手。表彰台では晴れやかな表情を見せた。

まず日大応援席を湧かせたのは、7月のユニバーシアード大会(イタリア・ナポリ)で女子800m・1500m自由形の2冠を獲得した、女子400m自由形の小堀倭加選手(スポーツ科学・1年)。1位通過した予選と同様に、この決勝も前半の抑えた位置取りから徐々に順位を上げていく。300mで先頭と0秒34差の3位に浮上すると、そこから一気にギアを入れて加速し、350mはトップでターン。ラスト50mではさらにラップを縮め、2位に1秒21差を付ける4分10秒52のタイムは、大会記録を100分の2秒更新する大会新をマークし、見事に初優勝を飾った。

小堀選手に続いたのが、昨秋の北島康介杯で「萩野公介に勝った男」として注目された、同じ1年生の吉田啓祐選手(スポーツ科学・1年)だった。4月の日本選手権400m自由形の初優勝に続き、7月のユニバ大会でも同種目金メダルを獲得、さらに世界選手権(韓国・光州)にもリレーメンバーとして選出されたが、その後に腰のヘルニアを発症し、大会前には左足親指を骨折。万全な状態でないにもかかわらず、「これで優勝したらカッコいいので」と強行出場していた。

迎えた男子400m自由形決勝は、“3人の吉田”によるデッドヒートになった。序盤からレースを引っ張る明治大・吉田冬優選手を、ユニバ代表の吉田惇哉選手(スポーツ科学・3年)が150m手前で捉え、両者が先頭争いをしながら300mを折り返した。そこに、後半に入りぐんぐん伸びてきた吉田啓祐選手が割って入る。350mで吉田冬優選手を抜いて2位に上がると、前半に温存したパワーを爆発させて最後の50mで先輩の吉田惇哉選手も追い抜いて逆転勝ち。1年生の連続勝利に、日大応援席は大いに沸いた。
 

ゴールしてタイムを確認する吉田啓祐選手。

レース後、健闘を称え合う吉田惇哉選手(左)と吉田啓祐選手(右)。

続く女子200mバタフライ決勝は、世界選手権代表の長谷川涼香選手(スポーツ科学・2年)が後半追い込むも届かず2位、ユニバ大会で銅メダル獲得の持田早智選手(法・2年)が3位に入り、揃って表彰台に昇った。さらに男子4×100mフリーリレー決勝では、第1泳者の石崎慶祐選手(スポーツ科学・1年)から引き継いだ第2泳者、ユニバ代表の関海哉選手(スポーツ科学・2年)がトップに立ち、第3泳者・服部翼選手(危機管理・4年)も先頭を譲らず第4泳者・中村陽太選手(スポーツ科学・4年)に引き継いだ。だが、ユニバ大会金メダリストの明治大・溝畑樹蘭選手の圧倒的なスピードに逆転を許し、3位でのゴールとなった。
初日の男女各6種目終え、男女それぞれ10人が入賞を果たした本学は、学校対抗でも男子が2位・近畿大に19点差をつけてトップに立ち、悲願の優勝へ好スタートを切った。

女子200mバタフライで優勝した早稲田大・牧野紘子選手(中央)と共に表彰台で笑顔を見せる、長谷川選手(左)と持田選手(右)。

大会2日目も、日大勢の活躍は続いた。男子200m自由形は、前日の優勝で勢いに乗る吉田啓祐選手のほか、石崎慶祐選手、神近洋佑選手(スポーツ科学・4年)の3人が決勝に進出。最後の50mで先頭を猛追した吉田選手だったが、わずかに届かず2位。石崎選手は5位、神近選手は6位に入った。また、200mバタフライに続き長谷川選手、持田選手が決勝に進んだ女子100mバタフライ決勝は、混戦の末にタッチの差で長谷川選手が3位入賞を果たした。

ユニバ代表3人の争いとなった男子100mバタフライ決勝では、またも1年生が輝いた。予選1位通過の石川慎之助選手(スポーツ科学・1年)が序盤から力強い泳ぎを見せ、50mを僅差の2位でターンすると得意のドルフィンキックでの15m近い潜水から一気に抜け出す。後半26秒台のラップを唯ひとり叩き出し、追いすがる200mバタフライの覇者・幌村尚選手(早稲田大)に体半分以上の差を付けてフィニッシュ。電光掲示板に大会新記録・日本学生新記録となる51秒11が表示された瞬間、スタンドからは「ウォーッ」という大きな歓声が湧き上がった。日本記録まであと0秒11に迫る歴代2位の好記録は、今夏の世界選手権では銅メダルに相当。「こんなタイムが出るとは思わず、びっくりした」と笑顔の石川選手は、「狙える位置に来た」と話す東京五輪に向けて一躍注目の的となった。

「自分の強みはターンアウトからのバタフライキック」と、石川選手は水面を跳ねるように泳いだ。

予想以上の好タイムに、拳を握りしめて喜びを表した。

学生新記録の認定証を手に笑顔の石川選手。

さらに石川選手は、この日の最終種目となる男子4×100mメドレーリレーでも活躍。第1泳者の背泳ぎ・金本祐伎(スポーツ科学・2年)、第2泳者の平泳ぎ・塩入龍斗選手(スポーツ科学・3年、ユニバ代表)が後れを取ったが、8位で引き継いだ第3泳者のバタフライ・石川選手はスピードに乗った泳ぎで次々と前を追い抜き、一気に0秒16差の2位まで巻き返す。さらにアンカーを託された自由形・関海哉選手が隣を泳ぐ近畿大と競り合い、50mのターンで先行すると日大応援席から一際大きな歓声が上がった。関選手は残り40mからグングン加速していき、そのまま0秒32差でゴール。この種目では2008年以来の優勝を果たし、応援席は大いに盛り上がった。
2日目を終え、女子総合は5位に後退したが、男子総合はトータル263.0点となり近畿大との差を52.3点に広げて1位をキープし、12年ぶりの総合優勝が見えてきた。

4×100mメドレーリレーを制したのは11年ぶり。左から関選手、石川選手、塩入選手、金本選手。

迎えた大会最終日、この日も日大勢の勢いは止まらない。
女子800m自由形決勝は、ユニバ大会金メダリストの貫禄を見せた小堀選手が圧勝。最初の100mで体半分リードすると、後続との差を徐々に広げていき、2位に約5秒の差を付けてフィニッシュ。初日の400mに続く2冠に輝いた。

続く男子1500m自由形決勝を制したのは、予選も大差で1位通過した吉田惇哉選手。200m手前から先頭に立った吉田選手は1分1秒~2秒台の安定したラップを刻んでいき、ラスト100mでは57秒台というスタミナも見せつけて優勝。こちらも2位に5秒以上の差を付けての快勝だった。

400m自由形決勝では0秒07差で悔しい4位だった吉田惇哉選手は、1500m自由形で雪辱を果たした。

さらに男子100m自由形は、初日・2日目のリレーで好調な泳ぎを見せていた関選手が、明治大・溝畑選手とデッドヒートを展開。50mは6選手がほぼ横一線でターンしたが、ラップを取った関選手は、折り返してからわずかに溝畑選手に先行を許すも最後まで食い下がり、逆に100分の1秒先着する49秒09で優勝。男子の総合優勝をほぼ決定づける20点を獲得した。

デッドヒートを逆転で制し、喜ぶ関選手。

インカレ最大の盛り上がりを見せるのが、男女の4×200mフリーリレー。
女子は、200m自由形で惜しくも4位に終わった第1泳者の伊藤悠乃選手(スポーツ科学・2年)をはじめ、第2泳者・持田選手、第4泳者・長谷川選手は昨年の大会もこの種目を泳いでおり、ここに今大会絶好調の小堀選手が加わった布陣で挑んだ。レースは、東洋大が序盤から大きくリードする展開となったが、3.57秒差の2位で引き継いだ第3泳者・小堀選手が最初の100mでタイムを0秒51詰めると、「行け、行けぇっー!」と叫ぶ応援席の声を受けた後半100mはさらに追い上げ、その差0秒99差まで迫った。結局、粘る東洋大を捉えることができず2位に終わったが、女子のリレー種目では久しぶりのメダル獲得に、表彰台の4人には笑顔があふれた。

女子4×200mフリーリレー銀メダルを獲得した、伊藤選手、持田選手、小堀選手、長谷川選手(左から)。

最終レースとなる男子は、予選トップとなったメンバーから3人を入れ替えて臨んだ。第1泳者・石崎選手、第2泳者・神近選手を終えて、東洋大、明治大、近畿大とほぼ横並びの状態だったが、この均衡を破ったのは100m自由形を泳いでからまだ80分ばかりで第3泳者を務めた関選手。前半は他校を見ながらの泳ぎで力を蓄えていたが、ラスト50mで一気に抜け出した。会場の大型スクリーンに、メガホンを振り懸命に声援を送る池江選手の姿が大きく映し出される中、体半分リードしてアンカーの吉田啓祐選手へ引き継ぐ。勢いよく飛び出した吉田選手は、最初の25mで体1つのリードにすると、力強い泳ぎでその差を徐々に広げていき、最後は明治大に1秒54の差を付けて悠々とゴール。この種目4年ぶりの優勝を果たした瞬間、大声援を送っていた日大応援席のボルテージは最高潮に達した。

関選手(下)がトップで引き継ぎ、アンカー・吉田選手へ。

関選手(左)の力泳を称える神近選手。

危なげなく逃げ切った吉田選手。

優勝を決め、応援席に向けてガッツポーズ。

有終の美を飾ったリレーメンバー。左から石崎選手、神近選手、関選手、吉田選手。

3日間の熱戦を終え、本学は男子総合で合計得点432点を獲得し、2位・明治大に100点以上の大差を付けて優勝。明治大の5連覇を阻止して、2007年以来12年ぶりの天皇杯獲得となった。また女子総合も、昨年を上回る5位に入って2年連続でシード権を獲得し、来年のさらなる躍進に期待が膨らんだ。

本大会は吉田啓祐選手や石川選手、小堀選手ら1年生と、関選手・長谷川選手ら2年生たちの健闘が光った。そんな彼らをはじめチーム全員を勇気づけたのは、大会期間3日連続で会場を訪れ、チームメイトたちに声援を送り続けた池江選手に他ならない。

揃いのTシャツを着て声援を送る池江選手。

「元気な姿を見て、力をもらった」という石川選手が優勝インタビューで「璃花子の帰りを待って頑張っている」と言えば、池江選手に直接声を掛けられて「頑張れた」という吉田啓祐選手も、800mリレー優勝に貢献して「璃花子を勇気付けられたと思う」と話した。また決勝前に「頑張って」と激励されたという、高校の1学年先輩である長谷川選手は、「練習より、病気の方が何倍もつらいと思う。応援に来てくれたのはうれしい。早く良くなって復帰してほしい」と語るなど、それぞれが池江選手の姿を見て、思いを受け止めて、奮起したのは間違いない。
「総合優勝とてもうれしかったです。今年は出られず本当に悔しかったので、またリベンジします。GO! 日大!」
と、池江選手も来年へ向けて力強いコメントを発表。目覚めた「水の覇者」は、男子総合2連覇と女子総合の半世紀ぶりの優勝を目指し、さらに切磋琢磨を続けていく。

【中島大賀主将(スポーツ科学・4年)】
今年度の目標である、天皇杯の奪還を達成することができました。これもいつも学生を支えてくださったご父兄の皆様、部を支えてくださった日本大学、OB・OGの皆様のおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。
日本大学水泳部の今後の活躍を期待し、主将としての役割を次の代に繋ぎたいと思います。1年間、本当にありがとうございました。

男子総合優勝を飾り天皇杯を授与される中島主将。

【上野広治監督】
スポーツ科学部完成年度に総合優勝することを念頭におき、この4年間チーム作りと選手個々の自己ベスト更新を目標に邁進してきました。この2年間、付属高校がインターハイで男女総合優勝(男子:豊山高校・女子:藤沢高校)を果たし、昨年は中学校でも豊山が優勝するほど実力をつけてきましたが、「水の覇者日大」の復活には、大学のインカレ総合優勝が不可欠であると思っていたので、今大会で2位・明治大学に大差で優勝できたことに安堵しています。我が水泳部は昭和63年間で31回優勝したものの、平成の30年間では優勝わずか5回と低迷していました。令和時代は中学・高校・大学ともに男女総合優勝を使命としてさらに尽力していきます。

上野監督と池江選手(中央)とを囲み全員で記念撮影。