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本学量子科学研究所の井上修一郎教授らと沖電気工業株式会社の研究グループは、井上教授らが独自に開発した正弦電圧ゲート動作アバランシェフォトダイオードによる超低雑音高速単一光子検出器を用いて、沖電気工業株式会社が開発した光通信波長帯(波長1.5マイクロメートル帯)で動作する量子もつれ光源の性能評価を行い、従来比100倍の信号雑音比を有する高純度量子もつれ光源であることを実証しました。
この成果は、次世代量子暗号技術として期待されている量子もつれ光源を用いた長距離量子鍵配送の実現へ向けて有望です。
■背景
現在使用されている暗号方式は、将来的なコンピュータの性能向上により解読される危険性を有しています。量子鍵配送では、観測(盗聴)により光子の量子状態が変化することを利用して解読不可能な究極の暗号の実現が可能であり、実用化が期待されています。
量子鍵配送システムは現在、単一光子を用いた方式に関して実用化を目指した開発が進められています。一方、次世代の量子鍵配送システムとしては、長距離化のための量子中継器の実装を可能とする量子もつれ光子対を用いた量子鍵配送システムが求められています。
量子もつれ光子対を利用した量子鍵配送システムにおいては、単一光子を受信するための高効率な高速単一光子検出器と、光通信波長帯(波長1.5マイクロメートル帯)の量子もつれ光子対を高効率・高純度に生成する実用的な量子もつれ光源の両面の開発が必須となります。
■今回の成果と今後
今回、沖電気工業株式会社が独自に開発した、長さ6cmの周期分極反転構造ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路デバイスを用い、PPLN導波路デバイス内で非線形光学効果を連続して生じさせる(カスケード非線形光学効果)ことにより、世界最高レベルの高純度量子もつれ光子対を発生させることに成功しました。さらに、日本大学量子科学研究所で独自に開発中である、正弦電圧ゲート動作型InGaAsP/InPアバランシェフォトダイオードによる超低雑音高速単一光子検出器を用いることで、開発した量子もつれ光源の性能実証実験を行った結果、生成した光子対の信号/雑音比として、従来型の光源/検出器の組み合わせに対して数十倍~数百倍の値が得られることを実証し、本共同研究で開発した量子もつれ光源ならびに単一光子検出器を用いることで、信号誤り率の低い量子鍵配送が実現可能であることがわかりました。
今後は、開発した量子もつれ光源の小型化、装置化とともに一層の性能向上を促進し、量子鍵配送システムの実用化に取り組んでいきます。
■日本大学量子科学研究所とは
量子力学の基礎とその応用に関する研究を行うことを目的として、1.量子科学の基礎及び応用に関する研究、2.共同研究及び委 託研究、3.研究会・シンポジウム等の開催、4.学外研究機関等からの研究員の受入れなどの事業を行う機関です。
【問い合わせ先】 日本大学量子科学研究所
井上修一郎
E-mail:ino@phys.cst.nihon-u.ac.jp
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