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アメリカンフットボール部関連に関する取り組みについて

2018.8.3

今後の改革に向けて(日本大学学長 大塚𠮷兵衛)

日本大学学長 大塚 𠮷兵衛

アメリカンフットボール部の問題に関しまして、関係者の皆様に多大なるご心配、ご心労とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

本学は、7月30日に、第三者委員会から最終報告書を受領いたしました。第三者委員会により認定された事実は、本学が第三者委員会を設置した趣旨に鑑み、そのまま真実として受け入れます。
 
アメリカンフットボール部の選手により危険な反則行為が行われ、その反則行為が本学職員の指示によるものであったことは誠に遺憾であり、この反則行為によって怪我をされた被害選手、保護者及び関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者の皆様に対し、深くお詫び申し上げます。

また、ハラスメント行為を放置し、さらには元理事による口封じ行為により、結果として、反則指示を受けた本学選手を、記者会見をせざるを得ない状況にまで追い込んでしまいました。教育機関としてあってはならないことであり、教学の責任者として、本学選手と保護者に対し、改めて謝罪いたします。

さらに、アメリカンフットボールというスポーツそのものに対するイメージを著しく低下させてしまい、関東学生アメリカンフットボール連盟をはじめとする全てのアメリカンフットボール関係者に対しましても、お詫び申し上げます。
 
第三者委員会からは、問題の原因として、アメリカンフットボール部において、選手の主体性が考慮されることなく、指導者・選手間及び指導者間のコミュニケーションが十分に行われなかった等の問題が存在したこと、保健体育審議会が形骸化しており、保健体育審議会及びアメリカンフットボール部の指導体制に対するガバナンスが欠如していたこと、並びに、本問題に端を発する一連の事後対応が迅速性、適切性を欠いたために、本学に対する一層の信頼低下を招いたこと等のご指摘をいただきました。
そして、これらの問題に対する再発防止策として、アメリカンフットボール部及び保健体育審議会の抜本的な組織改編、適切な事後対応のための体制整備といったご提言をいただきました。

また、アメリカンフットボール部は、関東学生アメリカンフットボール連盟から出場停止処分を受け、7月31日、アメリカンフットボール部の公式試合出場資格停止処分の解除の是非が審議された結果、2018年度末まで継続されることになりました。本学は、関東学生アメリカンフットボール連盟からのご指摘、ご判断も、真摯に受け止める所存です。チームの改善策の実行性を具体的に示すことができなかったことなどの理由により、このような結果となってしまい、これまで鍛錬を重ねてきたアメリカンフットボール部の選手諸君と、選手の活躍を心待ちにされていた保護者の皆様に深くお詫び申し上げます。
 
本学は、第三者委員会及び関東学生アメリカンフットボール連盟により指摘された問題点と再発防止策の提言を重要な意見として受け止め、本件のような反則行為、反則指示行為及び口封じ行為が二度と繰り返されることのないよう、アメリカンフットボール部及び保健体育審議会のガバナンス体制について、「学生ファースト」の精神に基づき、抜本的な改革を進めてまいります。現時点で検討を進めている具体的な再発防止策は、以下のとおりです。
 
1 再発防止策の策定及び実施に関する大学のコミットメント
本学競技部において、本件のような反則行為及び反則指示行為を二度と生じさせないためには、アメリカンフットボール部のみならず、保健体育審議会及びスポーツ競技部が全体として再発防止に取り組むことが重要であり、私は、教学の責任者である学長として、その権限と責任に基づき、これを主導する所存です。本学の理事会からも、この取組みを大学経営の面から全面的に支援する旨の確約を得ております。
 
2 競技部の改革
アメリカンフットボール部及び競技部全体における再発防止策として、以下の施策を実施いたします。一部の施策は既に実施済みですが、その他の施策についても、9月上旬を目途に具体的な実施案を策定いたします。
 
(1) 抜本的なチーム改革・組織改革
ア 内田正人氏らの影響力の排除
本年5月30日までに、アメリカンフットボール部の監督、常務理事、理事及び評議員を辞任していた内田正人氏については、6月11日付けで保健体育事務局長兼人事部長の職を解き、7月30日には、懲戒解雇処分としました。また、井上奨氏につきましても、5月28日に自宅待機を命じた上、7月30日に懲戒解雇処分としました。
さらに、第三者委員会により口封じ行為を行ったことが認定された井ノ口忠男氏につきましては、7月4日付けで理事を辞任しました。なお、井ノ口忠男氏は、これ以外に本学職員としての地位を有しておりません。
イ 監督・コーチの選任及び質の確保
アメリカンフットボール部は、7月5日、本学と利害関係のない外部の有識者により構成される「日本大学保健体育審議会アメリカンフットボール部監督・コーチ指導者選考委員会」を設置し、同委員会は、7月16日、同委員会が決定した選考基準に基づいて新監督及びコーチを選考しました。
また、アメリカンフットボール部は、今後選任される監督及びコーチの質を確保するため、今回策定した選考基準を恒常的なものといたします。
ウ 兼職禁止
今後、本学の要職者が、その地位を背景に競技部内で影響力を行使することを防ぐため、理事長、学長、常務理事、副学長が保健体育事務局長、競技部部長、副部長を兼職することを禁止いたします。また、理事(理事長、学長、常務理事、副学長、学部長を含む)が監督、コーチを兼職することを禁止するとともに、保健体育事務局長が競技部部長、副部長、監督、コーチを兼職することを禁止いたします。
エ 選手の自主性の尊重
「学生ファースト」の精神を競技部において徹底するため、競技部の運営に選手が積極的に参加できる仕組みを構築いたします。
また、本年度公式戦の出場機会を失ったアメリカンフットボール部員には、新体制の下で、選手自身の人間的成長や倫理観の教育にも力を入れ、指導者と選手が一体となって部の活動が進められるよう見守っていきます。特に、これまでの大きな目標を失った4年生部員には、本人の希望を踏まえ、今後の目標設定を共に模索し支援していきます。
 
(2) 相談体制・コミュニケーションの改善
ア 選手の相談体制の構築
競技部に所属する選手に対し、各学部に設置されている学生相談窓口を積極的に活用するよう周知するとともに、臨床心理士等が巡回し早期に問題解決を行う「スポーツサポートセンター(仮称)」を設置するなど、選手の相談体制を構築いたします。
イ スタッフの相談体制の構築
競技部のスタッフにつきましても、気軽に相談できる常設窓口を保健体育審議会内に設置し、問題解決に向けた処理を行う制度を構築いたします。
ウ コミュニケーション不足の解消
選手と選手の間及び指導者と選手の間のミーティングを定期的に行うなど、競技部内のコミュニケーション不足を解消するための制度を構築いたします。
 
(3) ルールの遵守意識・規範意識の向上
ア 部長、副部長、監督、コーチを対象とする研修会の実施
競技部の部長、副部長、監督、コーチを対象に、少なくとも年1回、コーチング理論等に関する研修会・ワークショップ等を実施いたします。また、監督及びコーチにつきましては、上記研修会に加えて、保健体育審議会が企画するコンプライアンス等の研修の受講を義務づけます。
イ スポーツ倫理の周知徹底
競技部の監督、コーチ及び選手を対象として、スポーツ倫理に関する研修会等を定期的に開催することにより、スポーツ倫理に関する競技部全体の意識の向上を図ります。
 
(4) 外部からのモニタリング
今後、父母会やOB等との意見交換会及び保健体育審議会への活動報告等を行い、綿密な情報の共有を図るなど、競技部の運営や現況について競技部外からモニタリングする仕組みを構築いたします。
 
3 保健体育審議会及び競技部のガバナンス強化
第三者委員会の最終報告書においては、保健体育審議会が形骸化しており、保健体育審議会及びアメリカンフットボール部の指導体制に対するガバナンスが欠如していたことが指摘されております。そこで、これまで本学において再発防止策の検討を行ってきた「スポーツ競技部へのガバナンス及び競技部内紛争処理体制等の検討委員会」を発展的に解消し、保健体育審議会の組織再編に係る議論や、既に策定した再発防止策の実施状況を監視する機関として、外部有識者を含めた委員会組織「スポーツ競技部改革委員会(仮称)」を設置し、保健体育審議会自体のあり方を含めた、保健体育審議会及び競技部のガバナンスに関する改革案等を検討し、順次実行してまいります。
 
以上が、再発防止策の概要になりますが、加えて、アメリカンフットボール部に端を発する一連の問題を受け、理事長や私を含む一部の関係者は、報酬の一部を返上することといたしました。
  
最後になりますが、アメリカンフットボール部の選手による危険な反則行為、本学職員による反則行為の指示及び口封じ行為によって、被害選手、保護者及び関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者の皆様、並びに反則行為の指示を受けた本学の選手及び保護者等、学内外の関係者の皆様に対して多大なるご迷惑をおかけしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。

私は、教学の責任者として、学生の主体性を尊重し、学生を守る「学生ファースト」の精神の重要性を再認識し、本問題の反省を踏まえ、アメリカンフットボール部、保健体育審議会だけではなく、大学全体としてハラスメント撲滅、学生ファーストの取組みを実行いたします。二度とこのような問題を起こすことのないよう、そして、一刻も早く本学の信頼を取り戻せるよう、私が先頭に立って、本学一丸となって尽力していく所存です。
 
平成30年8月3日