授業開始2カ月。「遠隔」の可能性を広げる教員・職員の取り組み

学び・教育
2020年07月31日

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、本学は5月から遠隔授業等を開始した。教育環境の提供を模索する本学図書館法学部分館、遠隔と対面の両立を図る危機管理学部・スポーツ科学部、対面を再開した松戸歯学部の取り組みを紹介する。

対象者には郵送貸出も

利用図書の配置場所に合わせて座席番号を発行

利用図書の配置場所に合わせて座席番号を発行

本学図書館法学部分館は、緊急事態宣言の解除を受け6月15日に開館。1日の利用時間を90分×3回に分け、1回終わるたびに閉場。次までの30分間に全体消毒を行い、図書は消毒後24時間空けて書架に並べるなど徹底している。100人を1回の定員とし、十分な間隔を空け滞在できる。利用者は前日16時までにHPから予約が必要だ。来館時はサーモグラフィーによる検温を受け、指定席に着席する。

先行して5月には、学部4年生と大学院生を対象に図書の郵送貸出を開始。送料等は大学が負担し、利用予約者がいない限りは無期限で借りられる。図書館事務課の藤山義輝課長は、学生・教員・卒業生らの利用要望に応えるべく「再自粛要請により閉鎖を余儀なくされる以外は、できる限り制限を緩和した開館を目指したい」と言う。

FD活用で授業準備

「保護者の皆さまはご心配かと思いますが、大丈夫です」と勝股秀通教授(危機管理学部)は言う。
「FD(Faculty Development)」活動により教員らが連携し、配信技術の底上げや、学生の集中力を途切れさせないよう90分授業を15分の章で構成するなど、遠隔でも効果的な講義方法を模索している。新聞記者出身の勝股教授が教える「マスコミュニケーション論」では、現在進行形で起きるコロナ禍の問題がまさに新しい学習領域となる。「次々に起こる社会問題に関心を持ち、向き合う必要性」をより伝えやすくなり、学生からも「毎回自分が知らないことを学べる」と前向きな声が上がる。

試行錯誤の光明

「アスレチックリハビリテーション演習」で講義としてテーピングを指導する小松泰喜教授(スポーツ科学部)は、学生の手元を見て一人ひとりにアドバイスできるようにするなど具体的な工夫点が見えたと言う。

遠隔授業の特性について「トップアスリートとして活躍する学生は遠征や合宿があるため、スポーツ科学部にはとても合っている」と話すのは上野広治教授(スポーツ科学部)。授業記録を残せば学生は自ら後日に講義を再生できる。

「コーチング演習の履修学生は、今は教えてもらう立場でも将来は教える立場になるので」と自主的に学ぶ姿勢を学生に求めている。

対策本部発足で一丸

4月上旬には「新型コロナウイルス感染症対策ワーキング」「遠隔授業実施ワーキング」と二つの対策本部を発足させた松戸歯学部。教育の質を落とさないために、緊急事態宣言が出される以前から、4月20日にまず遠隔授業を開始した。国家試験を控える6年生の試験対策や、座学では限界がある実習授業を何とか実現させようと、対策本部を筆頭に国、県、大学のガイドラインに沿い遠隔授業を伴うハイブリッド型の対面授業を再開させた。