産学連携で学生が宿泊プランを企画
コロナ禍のツーリズムを肌身で学ぶ

国際関係学部・矢嶋ゼミナール

学び・教育
2022年07月15日

富士山の南麓、箱根西麓の伊豆半島の付け根、三島駅北口校舎が東海道新幹線の三島駅駅前、本校舎も10分足らずに位置する本学国際関係学部。2020年1月にトヨタが、ロボットやAI技術を駆使したスマートシティ「Woven City」を三島近郊の裾野市に建設することを発表した注目のエリアだ。

働く人々、観光で街のにぎわいを思い描いていた矢先に訪れたコロナ禍。観光という言葉に後ろ髪を引かれる中、矢嶋敏朗准教授が指導する矢嶋ゼミナールでは、2学年約30人が観光を学び前向きに今できることを模索している。その取り組みを紹介する。

ツーリズムの実務を現場で経験

富士山三島東急ホテル、伊豆箱根鉄道と連携して企画した宿泊・日帰りプランが、4月19日から販売を開始した。実務面から観光学を教えている矢嶋准教授の指導の下、2年生後期と3年生が学ぶゼミ生が静岡県三島市の産学連携によって生まれた。

「産学連携は双方が長続きするメリットを提示することが大切」と考える矢嶋准教授。コロナ禍で観光業が厳しい中、学生たちが実務を経験できる機会はないかと2020年6月に三島駅前にオープンした富士山三島東急ホテルに注目。日本旅行で長年実務、広報を担当していた経歴の矢嶋准教授が自らアプローチし、取り組みが始まった。

「ロケーション」「ターゲット」をヒントに企画した2案

三島キャンパスで富士山三島東急ホテル、伊豆箱根鉄道にプレゼンを実施

三島キャンパスで富士山三島東急ホテル、伊豆箱根鉄道にプレゼンを実施

もともとインバウンド観光の需要があった三島。しかしコロナ禍では海外からの観光客は望めず、国内観光客さらには近隣に住む地域住民にターゲットを絞った企画立案をゼミの学生に課した。

ホテルの視察、企画立案、ホテルへのプレゼンテーションを経てプランが採用されると、パンフレットの写真撮影のほか、ポスター作成などプロモーションも学生が主体的に進め、半年がかりの成果が形になった。

三島駅は伊豆箱根鉄道、東海道新幹線の沿線にあり、車両基地も近く鉄道ファンにはうってつけのロケーション。聖地巡礼など趣味による観光の需要が高まる中、鉄道好きな子どもを中心にしたファミリー向けの県内旅行をテーマにした「親子で楽しむ鉄道プラン」を企画。

また、外出機会が減った主婦層へ日帰りの「畳のお部屋で楽しむ和風アフタヌーンティープラン」を企画。部屋の稼働率、ターゲットの主婦層は宿泊の時間は取れないことに着眼し、ホテル随一の眺望と内装の豪華さを誇る和を基調とした客室「ファミリーコーナー畳ルーム」で、静岡県産の掛川茶や本山茶、川根茶などを提供する。

両企画ともに、社会情勢やロケーションといった二次情報に、実際にホテルへ足を運ぶことで得られる一次情報を加算することで立案に至った。

矢嶋准教授は今回の取り組みの目的について「売れるためにはオペレーションができないといけない。実際に自分たちで得た情報を生かすことが実務。どのような考え方で企画したのかという経験は、就職活動でも社会人でも生きる」と話している。