芸術学部
芸術学部は6月26日に同学部創設100周年記念動画の完成を祝し、オープンキャンパス終了後に試写会を開催した。高校生や保護者、在校生ら約300人が集まった。動画は「芸術とは何か?」をテーマにした6分間の作品で、制作に2年間をかけた労作。共に映画学科の校友である俳優の池松壮亮さんと藤井道人監督が学生当時の掛け替えのない時代を振り返った。
試写会では、海上自衛隊・歌手の三宅由佳莉さん(音楽学科卒)や歌舞伎役者の中村獅童氏(演劇学科中退)、女優の大塚寧々さん(写真学科卒)、映画監督の足立正生氏(映画学科中退)、小説家の額賀澪さん(文芸学科卒)、脚本家・監督などの宮藤官九郎氏(放送学科中退)、彫刻家の大成哲氏(美術学科卒)の著名人7人及び木村政司学部長(デザイン学科卒)による記念インタビューも上映。
あいさつをする木村政司学部長
最後に7月1日付けで本学の理事長に選出された小説家の林真理子さん(文芸学科卒)がサプライズ映像の形で登場。「すばらしい映像を見て、まさしく日本大学芸術学部の底力という感じ。『芸術とは何か?芸術とは貴方だ』が心に残る」と締めくくった。
開幕のあいさつに立った木村政司学部長は「クリエイティブに学び、自分で発信していく力強さに満ちた学部」と指摘し、「101年からは未来に向けてさらに発信していく」と力説した。
記念トークは映画学科の松島哲也教授を司会役に、池松さん、藤井監督と木村学部長が登壇。藤井監督は「18歳でこれから同学部を目指す方々へのエールで、日藝は貴方達が作るものだと手を差し伸べたかった」と動画制作の狙いを披露した。「なぜ芸術とは何かをテーマにしたの?という問いには、コロナ禍で芸術は必要なのかと、世の中で取り沙汰されていたため」と改めて述懐した。
さらに学生時代を振り返り池松さんは「4年間の猶予を与えられたかけがえのない時間で、常に悶々とさせてもらった。押し付けるのではなく。伸び伸びと温かくさせてくれる大学で、環境は素晴らしい」。「コロナ禍で芸術の価値が、改めて問われている。それを問い続けながら進化していく。6分間でいかにして制作するか?やっていて楽しい仕事だった」。
『新聞記者』で一昨年の日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した藤井監督も、「今の映像制作集団は大学時代のサークルで作り上げた会社。日本中の映画好きな仲間が集まり、皆で映画を語り合う。そんな人生がすごく幸福だ」と述べる。
左から松島教授、池松さん、藤井監督、木村学部長
そして最後は、松島教授が「プロとして活躍している日藝の卒業生そして仲間たちが一丸となって取り組んだ労作。遊び心を含めて、乗り越える力というものが宿っている人物から、芸術は貴方だという言葉を捉え直すか?その後の皆さんの行動に期待している」とまとめた。
一方、記念インタビューで、三宅さんは「夢を語り合える友達がいることは良いこと。歌を通して日本と世界をつなぐ架け橋になりたい」。
中村獅童氏は「歌舞伎の世界を魅力的だと気付かせてくれたのは大学時代。そんな歌舞伎という演劇が自分を正してくれた。日藝は一見自由にも見えるけれど、それだけにどの学校より厳しい」。
また足立監督は「自分が何を現していいのか?勝手がわからない時代だから、それを模索するのにちょうど良い時代だった。日藝はそうして挑んできた人の巣窟だった」と振り返る。
そうして迎えた100周年に、木村学部長は「先へ進もうとする気持ちが百年の歴史を作ってきたのでは。回復力やしなやかさを示すレジリエンスこそ、人間を形作る。変わり続けることこそが、人間の生きることでは」と総括した。