【理工学部】
都市型教育の新校舎誕生! 駿河台「タワー・スコラ」

学び・教育
2019年11月01日

来年2020年は東京オリンピック・パラリンピックだけではない――。理工学部にとっては学部創設100周年という、より大きな節目の年だ。記念事業として駿河台キャンパスに建設された高層校舎「タワー・スコラ」は、昨年秋に利用を開始。約3400平方メートルの敷地に建つ地上18階、地下3階の新校舎は、教室や研究室、実験室を備えた都市型教育の中核と位置付けられている。それは千代田区の駿河台文教地区計画とも密接にリンクしており、御茶の水かいわいに誕生した新たなランドマークといえよう。

吹き抜けに学科の一体感

地上18階の高層校舎の画像

地上18階の高層校舎は、研究室や実験室も備えた都市型教育の中核

「タワー・スコラ」という名称は、学問の場にふさわしく、ラテン語で「学校」を意味する「スコラ(SCHOLA)」に、塔状の高層建築物を表す英語の「タワー(TOWER)」を添えた。

18階建て新校舎の低層階は、大小さまざまな講義室や教室が中心。とりわけ1階にはガラス張りで通りから見える「270人大教室」を配して、情報発信の空間として活用することになった。さらに解体した旧5号館ピロティにあった壁画レリーフを1階カフェに再現するという配慮も示している。

6階以上の中高層階は各学科の研究室、院生室、演習室で占められるが、複数のフロアにまたがる学科は階段で行き来できる吹き抜け構造に。学科ごとの一体感をなくさず、学生の居場所空間として計画されたもので、都心を眺望する空中庭園とつながって、学生や研究者の憩いの場になっている。

そして屋上には音響実験室があり、環境緑化も施され、地下は各学科の実験室群と、「研究と教育」のための施設として余すところなく生かされている。

中でも自慢は1階と地下1階の間に設けられた免震ピットと制震トグルダンパーで東日本大震災時にもその働きが実証された。〝構造の日大〟を象徴する免震・制震構造だけに、それらを見学できるようにしたのが理工学部ならではの特徴だ。

14学科に学生ら1万人

理工学部の歴史は、大正9(1920)年の日本大学高等工学校の設立に始まる。時代の要請に応えて、昭和3(1928)年に私立大学では2番目となる理工系の日本大学工学部へ発展。33(1958)年に理工学部と名称変更した。

変化する社会のニーズをとらえて最先端の技術を追求する姿勢は現在も継承され、14学科という幅広い分野に大学院生を含めて約1万人が学ぶ。教員一人あたりの学生数が約10人という行き届いた教育環境のなか、ものづくりの実践型教育を通じて輩出した卒業生はこれまでに20万人を超えた。

岡田章学部長は、学部の理念に「CST ×DREAM」を掲げ、一人ひとりの夢を形にするという思いをそこに込める。すなわち「科学・技術・工学・芸術・数学が有機的に結びつき、デザインという創造的な行為を通じることでモノやコトとして具現化する力を涵養(かんよう)できる理工学部(CST)」を目指すというのである。

その両輪となるのが駿河台キャンパスと船橋キャンパスで、駿河台は都市型キャンパスとして、対する船橋は敷地の広さを生かした数々の大型実験施設や研究施設という特色を持っている。

ツイン校舎に開放型施設も

今後は「タワー・スコラ」隣に創設100周年記念モニュメントを設置。学生や地域住民の憩える空間が誕生するが、その次には新校舎と対になる高層校舎の建設も視野に入れる。理工系の学問の全容が一覧できるミュージアムや図書館といった地域開放型施設の新設など、さまざまなテーマが浮上しているのは、いかにも理工学部らしい。

「単なるものづくりではなく、ものづくりを通じて世のため、人のためになる新しい文化を開いていく〝ことづくり〟にチャレンジする」。理工学部は新たな100年に向けて、動き出そうとしている。