理工学部図書館公開講座 「人類は原子を操れるか―これまでの100年とこれからの100年の化学の話―」

大月教授が「100年後の化学」を講演、高校生など約165人が参加

取り組み・活動
2021年10月29日

理工学部はこのほど、第38回図書館公開講座を開催した。物質応用化学科の大月穣教授が「人類は原子を操れるか―これまでの100年とこれからの100年の化学の話―」をテーマに、約1時間にわたって講演。昨年に続き、オンラインにて行われた本講座は、全国のスーパーサイエンスハイスクール208校にも案内し、九州、関西からも参加者が集った。講演前には理工学部の教育・研究の紹介映像を流し、広く理解を深めた。

“モノ”が原子からできていることが発見され100年

大月教授は、かつて約100年以上前に地球上のありとあらゆる“モノ”が原子からできていることが発見され、「放射性物質と同位体」でノーベル化学賞を受賞したフレデリック・ソディ(英国)、「光電効果」で同物理学賞を受賞したアルベルト・アインシュタイン(米国)などの研究により、原子や分子が徐々に解明されてきた経緯を解説。これまでの100年で、原子と原子をつないで複雑な分子を作れるようになったことに始まり、分子を組み立てて複雑な分子(超分子)を作り、組み立てた分子で光や電子を少しずつ制御できるようになってきたことを紹介した。

次の100年は原子レベルで“モノ”を作る時代に

人類は原子を操れるか―これまでの100年とこれからの100年の化学の話のポスター

一方、これから先の100年では、原子レベルからコントロールされた“モノ”を作ることができるようになると説明。エネルギーや情報、モノづくりといった面で地球と人類の未来に貢献する研究が進むのではないかと展望を述べた。
その中で、自身は現在取り組んでいる人工光合成の研究を続けたい、と力を込めた。既に、光合成の一部を人工的に再現することに成功している。
また、シャボン玉のような分子のカプセルに薬剤の分子を入れて体内を泳がせ、センサーが腫瘍等を察知して薬剤を投与する「スマート分子デバイス」への応用も期待できるとした。

最後に大月教授は、「こうした化学の挑戦に参加するには、想像力と先人が積み重ねた知識と技術を掛け合わせた『創造力』が大事になる」と、未来の研究者にメッセージを送った。

来年度の図書館公開講座では、AI関係を主題とした講演を2022年6月に予定している。