「まち全体を図書館に」本棚設置

工学部学生が福島県矢吹町ににぎわいと交流を生む

取り組み・活動
2022年03月23日

工学部建築学科4年の橋本悠衣さんと横山渓太さんが中心となり、福島県のJR矢吹駅のほか商店街にある観光案内所、コミュニティカフェ、化粧品店の4カ所に本棚を設置した。

この取り組みは住環境計画研究室の市岡綾子専任講師が、地域おこし協力隊から提案を受けた「よりみち~まち全体を図書館に~」というプロジェクト。誰でも自由に図書を利用できる本棚を設置し、本を介して地域の交流と町のにぎわいを図っている。

ヒアリングを基にデザイン

黒板に本棚の利用方法を書くことで利用者への分かりやすさを意識

黒板に本棚の利用方法を書くことで利用者への分かりやすさを意識

2021年4月末から地域おこし協力隊の支援を受け活動を開始。まず、まちの魅力を知るため、関係者にヒアリングを行った。その後、図面を起こし製作に着手。本の循環を促すために中身が見えやすいデザインと、通学路に設置することから子ども用に高さを調整。使い方を説明する黒板も取り付けて9月下旬に設置した。

住環境計画研究室では市岡専任講師の指導の下、町民との交流によるまちづくりを行ってきた。帰宅困難区域から解除された福島県富岡町では、高齢者の交流を図るために「おさんぽマップ」を作成ワークショップに参加。白河市の小学生を対象とした景観学習支援を通じて、まちの魅力を発見する経験を積んだことが今回の活動にも生きた。

町民の寄付から選書。本が町を巡る

観光案内所の前に設置された本棚

観光案内所の前に設置された本棚

配架されている本は、読まなくなった本の知的財産を守るため、町民が寄付した本から選書。本棚間で自由に出し戻しできるルールを設け、さらに借りるだけではなく利用者自身も本を置くことを可能にした。本がまちなかを巡り、本を介した人々の交流とまちのにぎわいが生まれるのが狙いだ。

設置後に矢吹町で利用者の声を聞いた橋本さんは「本棚をきっかけに実際に利用者と設置関係者との間で交流が生まれたという声を聞き、とてもうれしい」と話す。誰かの暮らしに建築で手を差し伸べたいと、居場所づくりに携わるこの研究室を選んだ横山さんは、今回の取り組みを「何より楽しかった」と振り返った。

関連情報