日本大学図書館
法学部図書館分館で7月5日から8月8日まで、「深掘り一冊展覧会・永井荷風『濹東綺譚』」が開催された。
本学図書館は、荷風の代表作であり昭和文学の名作でもある「濹東綺譚」を全集、選集の収録分を含めて15冊以上収蔵している。
本展覧会では、岩波書店刊行の初版本、荷風が友人知己に贈った私家版などの貴重な蔵書が展示されたほか、パネルや映像で木村荘八(画家)、川本三郎(評論家)などの著作中に登場する荷風に関する記述を紹介した。
7月21日、荷風の孫にあたる永井壮一郎さんが来館し、小澤正和学術情報管理課長の説明を受けながら鑑賞した。
説明を受けながら鑑賞する壮一郎さん(右)
壮一郎さんが初めて見るという資料も
昭和12年の刊行以来、さまざまなかたちで出版され、多くの読者を魅了してきた「濹東綺譚」一冊を通して、荷風の詩情に満ちた独特な世界を深掘りした。
このような展覧会を企画していただき、遺族としてとてもありがたいです。
最近では、最期まで一人でという人生の終わり方、荷風の生き方に関心を持っている方も多いようです。作品はかなり昔のものですから、現代の若者には難しいかもしれません。
「日和下駄」という作品は、東京ガイドのようで読みやすいですよ。
荷風が晩年を過ごした千葉県市川市の庁舎に、荷風の書斎が移築再現されていますので、ぜひ訪ねてみてください。個展や文豪を扱ったゲーム、そういうものをきっかけにして、文学に興味を持った学生たちの中から、第二の荷風が誕生してくれたらうれしいです。