留学の仕組みを
より理解したい

KAIZENプロジェクト
2023年03月06日

「日本大学の留学制度」
想像以上の経験による視野の広がり

日本大学の学祖・山田顕義は、「岩倉使節団」(1871~73)に随行し、国際感覚を培った先駆的日本人の1人。その開拓精神を継承する日本大学は、1906年(明治39年)に最初の留学生をドイツに派遣して以来、多くの学生を海外へ送り出してきた。欧米をはじめ世界33カ国1地域の127大学等(2022年3月末現在)と協定等を結び、1人でも多くの学生に海外での充実した学びを提供できるよう力を入れている。

世界127大学等と提携、全学部の学生が挑戦できる多様な留学

日本大学では、全学部の学生を対象とした交換留学・短期海外研修のほか、学部ごとに特色を活かした留学・研修、実習やフィールドワークなどを展開している。今回は、全学部学生向けの大学本部主催の交換留学プログラムについて、学務部国際交流課の担当者に話を聞いた。

総合大学ならではの多様な留学先

学務部国際交流課の担当者

学務部国際交流課 担当者

あらゆる学問領域を擁する総合大学である本学では、アメリカ、イギリス、カナダ、韓国など、世界各国の大学等との交流を盛んに推進しています。そのネットワークを生かし、学生一人ひとりの留学の目的や日本大学での学修計画に即した、交換留学先や海外研修制度を提供し、文系・理系の学生を問わず、多くの学生の国際性を育むプログラムを用意しています。

各国の入国制限緩和に伴い交換留学が再開されたこともあり、学生からの問い合わせが増えています。日本大学の学生で、交換留学について少しでも興味のある方は、大学ホームぺージ内の「留学・国際交流」を参考に、国際交流課が行う留学説明会にぜひ参加してみてください。

知識や経験を後輩へ

交換留学生には、交換留学を通じて得た知識や経験を自らの成長に役立てるとともに、後輩たちに還元することで、制度のさらなる発展を支援してもらいたいと思います。

ケンブリッジでの特別な短期海外研修(サマースクールプログラム)

イギリスのケンブリッジ大学は、日本大学との間で1985年に学術交流協定を締結し、1998年には同大学ペンブルック・カレッジと共同出資した学生寮「Foundress Court(ファウンドレス・コート)」が完成しました。カレッジの長期休暇等には、本学の学生や教職員が優先的に使用できることになっています。

この学生寮に3~4週間滞在しながら参加できるのが、本学の「サマースクールプログラム」です。期間中はケンブリッジ大学の学生がプログラム・アシスタントとして学習面や生活面をサポートします。ここでのケンブリッジ大学学生と本学の学生同士の交流が、より豊かな経験をもたらします。こうした短期の海外研修等に参加して自信をつけ、交換留学や海外の大学院進学に臨む学生も少なくありません。

国際交流課では、短期間でも本格的な英語をしっかりと学ぶことができるよう、渡航前に事前学習の場を設けています。学生一人ひとりに丁寧なサポートをおこなっていますので、安心して参加することができます。

留学した学生の声
「韓国の延世大学に交換留学」

文理学部英文学科4年の李さん

文理学部英文学科4年
ソウルのインウァン山(仁王山)にて

私は2年生の時にイギリスのケンブリッジ大学ペンブルック・カレッジでの「サマースクールプログラム」に参加し、とても有意義な経験を得ることができました。その後、4年生から韓国の延世大学に交換留学に行くことを決めました。もともと異なる文化や地域に興味があり、留学経験者のブログを見たり話を聞いたりする中で「色々な障壁や楽しみに出会ったとき、自分はどう思い行動するだろう」という好奇心が高まり、大学生のうちに経験したいと思ったからです。

卒業条件や就活など不安なことも多かったのですが、ゼミの先生をはじめ学科事務室や国際交流課の職員の方々が親身になって相談に乗ってくださいました。所属学科の選択必修科目などについて相談し、現地ですべきことを助言してもらい安心して出発することができました。

世界中から留学生を受け入れ、英語教育にも力を入れている延世大学では、多国籍で年齢も違う学生たちと出会うため、良い意味で刺激になっています。授業については、成績に影響する重要な試験が多く、24時間開放の図書館は深夜になってもテスト勉強に励む学生でいっぱいです。私も一緒になって懸命に勉強し、試験終了後はこれまでにない解放感と充実感を味わいました。

ソウルの美術館

ソウルの美術館にて

日本と韓国は飛行機で2時間という近さですが、こんなに国民性が違うのかと驚くことも少なくありません。街中では日々クラクションが鳴り響き、派手に口げんかする様子を見かけて戸惑いましたが、その一方、電車内で立っていると目の前に座った女性から「荷物が重そうだから持ってあげる」と親切にされます。人々と触れ合いながら「こういう考え方もあるのだな」と腑に落ち、私自身の価値観が柔軟になっていることを実感します。

今は、大学の勉強に追われながら、近くのITスクールでウェブデザインも学ぶ日々です。今回の留学の経験は、社会に出ていく上での自分の強み、心の拠り所になると考えています。

日本大学は様々な国の大学と提携しています。興味を持って学べそうだと感じる場所を調べていけば、自分に合った留学を実現できると思います。皆さんもぜひ挑戦してみてください。

留学した学生の声
「ビジネス関連の授業が多いアメリカのウェスタンミシガン大学へ」

林さん

商学部商業学科4年
留学先の友人達とスキー旅行

将来グローバルな仕事をしたいと考えていた私は3年生の時、シンガポールの学生たちが参加する学外団体主催のインターンシップで自分の意見をうまく通せず、悔しい思いが残りました。このまま就職することに危機感を覚えた私は、将来社会に出てから、外国人とも対等に交渉していくために交換留学が必ず役立つと思い、応募することにしました。

派遣先に選んだのは、ビジネス関連の授業が多いアメリカのウェスタンミシガン大学です。交換留学前には日本大学主催のオーストラリアスプリングスクールという1カ月間の短期留学プログラムにも参加し、外国生活の予行演習も行いました。

満を持して臨んだアメリカ留学は、予想以上に多くの学びと経験が得られ、人間的な幅が大きく広がったと実感しています。

実は留学前は、英会話がうまくいくか、友達はできるだろうか怖かったというのが本音です。でも実際に行ってみると、もちろんスラングが多くて理解できない場面も多々ありましたが、フレンドリーな人が多く、コミュニケーション面の苦労はありませんでした。すぐに人間関係が広がり、毎日退屈せずに過ごせました。

留学先の友人達とのハロウィンパーティー

留学先の友人達とのハロウィンパーティー

グローバルビジネスの授業では、日本以外の国々との貿易取引量が多いアメリカ側の視点を学ぶことで、日本にいたときには気づかなかった、ビジネスの普遍的な要素を多角的にとらえるための視点が増えました。

プライベートも含めたアメリカでの大学生活は苦労も多かったのですが、様々な国籍・人種の学生との交流によって視野が広がり、多様な考え方を受け入れられるようになりました。同時に、日本社会が持つ独自の文化や教育、価値観の良いところも再認識し、留学前よりも日本に愛着を持つようになりました。今後は日本人としての誇りを持ちながら、日本代表として世界を舞台に貢献したいと考えています。今回の交換留学は、自分の進路を考える良い機会にもなりました。

英語が苦手でも行動しだいで何とかなることが多いので、後輩の皆さんも興味を持ったらまず飛び込んでみて欲しいと思います。大学のホームページに掲載されている先輩方の留学体験記やブログなどを見て、自分が将来やりたいことに近づける経験ができそうな留学を、ぜひ目指してください。

国際交流課の手厚いサポート

学務部国際交流課の水澤和英課長補佐の取材模様

交換留学生のみなさんにとっては、滞在先での生活や大学での履修方法などさまざまな不安もあるかと思います。大学本部主催プログラムの交換留学生には、派遣先ごとに担当の国際交流課職員が対応し、交換留学生自身が行う現地の情報収集から具体的な準備までをサポートしています。交換留学生全員に、篤志家からの寄付を原資とした「太田奨学金」を給付するのも本学の特徴です。

さらに国際交流課では、過去に同じ大学に留学した先輩やOB・OGから直接アドバイスをもらえる場も設けています。少人数グループでの意見交換会から多人数のものまでさまざまです。OB・OGからは留学経験をいかに自己実現に活かしたかという話を聞くことができます。そしてその後も、留学生同士のつながりが続きます。これは先輩後輩の結びつきが強い本学ならではのことです。

留学中は、国際交流課の担当者が学生からの毎月のレポートで状況を確認しつつ、メールやオンライン通話などでの相談も受け付け、必要に応じて受入れ先の大学担当者と連絡を取り合い、対応します。

家族や友人の方々、教職員といった周囲からのサポートを受けながら、最終的には本学の教育理念「自主創造」を体現して自ら学び、考え、道を開くのが本学の留学制度です。自主創造の精神に基づき、大小さまざまな苦労や喜びを体験し、帰国後は、だれもが一皮も二皮もむけたように成長した姿を見せてくれます。これは我々国際交流課員の大きな喜びでもあります。

コロナ禍を乗り越えて

コロナ禍で中止となっていた交換留学も徐々に再開しています。すでに2022年夏からアメリカ、韓国、ドイツに派遣が始まっています。引き続き各大学と相談しながら、新規開拓も含めてより多くの海外の大学に一人でも多くの学生を派遣できるよう尽力していきます。

今後も私たちは本学自体の国際化、国際的なネットワークの構築を図りながら、学生一人ひとりのために、細やかなサポートや新たな企画の創出に取り組んでいきたいと考えています。