ディフェンスの距離感について指導する篠山選手
「大きな夢を持ってバスケットボールをしてほしい」
篠山竜青選手が生徒たちへ真っ先に伝えた言葉だ。
11月18日、日本大学豊山高等学校・中学校(東京都文京区)の体育館に豊山高、櫻丘高、鶴ヶ丘高のバスケットボール部員が集まった。男子日本代表と川崎ブレイブサンダースでキャプテンを務める本学バスケットボール部出身の篠山竜青選手(2011年文理学部体育学科卒業)によるクリニックに参加するためだ。日本のトッププロの指導を受けることができるチャンスに、開始前の部員たちはどこか浮足立っているように見えた。そこからの冒頭の言葉である。さらに篠山選手はこう続けた。
「八村塁、渡邊雄太、馬場雄大らが全盛期を迎えるとき、日本のバスケは今より必ず強くなる。そのときに一緒にプレーするのは僕ではなく、君たちの世代だ。現時点でのうまい下手は関係ない。これから先成長することで未来はかなり変わってくるということをわかってほしい」と。
部員たち全員に深く刺さる言葉だった。その証拠にその瞬間から彼らの顔は引き締まり、会場内の緊張感が一気に高まった。
練習開始前に各校の部員たちに話をする篠山選手
クリニックは約2時間。1対1のディフェンス、スペーシングの使い方を意識したパッシング、フローターシュート練習など、試合を想定したメニューが行われた。篠山選手の声を漏らさないように耳を傾け、盛り上げるために大きな声を出し、真剣に1つ1つの練習に取り組む部員たちの姿がとても印象的だった。練習後の質問コーナー・記念撮影では笑い声が起こるなど、和やかな雰囲気の中で行われた。
練習後の質問コーナー。真摯に答える篠山選手が印象的だった
クリニックの最後に
「僕も日本大学のOBとして大学だけでなく、付属校も応援しています。川崎ブレイブサンダースは背中に日本大学の文字を背負っていますし、今年は悲願の日本一になれるように頑張りますので、是非とどろきアリーナなど会場で応援してください」
と篠山選手がメッセージを伝えると、会場からは万雷の拍手が送られた。
今後の部員たちにとって一生の財産となるクリニックになったことは間違いないだろう。
―クリニックの感想を教えてください。
参加した生徒たちが積極的に楽しんでくれていたのが印象的でした。高校生がBリーグに注目し、僕を応援してくれていることもよくわかりましたし、元気をもらうことができました。
―八幡山、工学部に続いて3回目の本学訪問でしたが、何か違いはありましたか?
高校生と会うのは初めてで、初々しかったです。バスケットボールのことで言えば、もっともっとファンダメンタルな部分でレベルアップしなければならないと思いますが、素直に一生懸命取り組む姿勢はこれからも持ち続けてほしいですね。
―高校生に伝えたいことは?
なにごとにも夢を持って取り組んでほしいです。バスケのことで言えば何を頑張るかよりも、何を考えてプレーするかが大事。常に試合をイメージして、相手に勝つためには何をすればよいかを考えて欲しいです。僕が高校のときにプロはなかったけど、今は「夢はBリーガー」と自信を持って言えるので、Bリーガーまたは世界に羽ばたける選手になれるように頑張ってください。
―東京五輪へ向けて意気込みをお願いします。
東京五輪に向けて全てのプレーのクオリティを上げなければならないので、まずは所属する川崎ブレイブサンダースで結果を出すことがオリンピックにつながると考えています。しっかり足元を見て、一日一日を大事にし、毎日、毎週少しでも成長できるように意識して頑張ります。
豊山高 粕尾和季さん
―クリニックの感想―
今日のクリニックでは細かい技術を教えてもらえたので、チーム全体で意識をして次の大会に臨みたいと思います。
―篠山選手へのメッセージ―
オリンピックでは頑張ってメダルを取ってください!
―篠山選手への質問―
体のケア、疲れの取り方について教えてください。
―篠山‘s Answer―
8時間以上の睡眠と栄養バランスを考えた食事を摂ることを意識しています。あとは試合・練習前後のストレッチ、痛めたときにはすぐにアイシングをして炎症を抑えるようにしています。
櫻丘高 五十嵐太一さん
―クリニックの感想―
試合で使える技術を教えていただいたので、練習をして実践でも使えるようになりたいです。篠山選手に一歩でも近づけるように頑張ります。
―篠山選手へのメッセージ―
憧れの篠山選手と同じコートに立てて本当に楽しかったです!
―篠山選手への質問―
腕の筋肉がすごかったですが、どんなトレーニングをして、何を食べていますか?
―篠山‘s Answer―
腕のトレーニングだけを特別にすることはありません。体幹トレーニングなど、体全体をうまく使うためのトレーニングを主にしています。食事は野菜、たんぱく質、炭水化物、ビタミンなどをバランスよく摂れるように心掛けています。食事も練習の一部と考え、好き嫌いなく食べてください。
鶴ヶ丘 山田朋孝さん
―クリニックの感想―
今までやったことのない練習ばかりで、とてもためになる楽しいクリニックでした。
―篠山選手へのメッセージ―
これまで篠山選手を応援してきました。これからも活躍し続け、ずっと僕の目標でいてください。
―篠山選手への質問―
大きな選手を相手にうまくカットインをするためにはどうすればよいでしょうか?
―篠山‘s Answer―
うまくカットインするためにはたくさん失敗することが大事です。ですから失敗を恐れずに何度もトライしてください。またオフェンスでは「何をするべきかディフェンスが教えてくれる」という考え方を僕は大切にしています。自分が何をしたいかではなく、しっかりとディフェンスを見て次のプレーを選択してください。そうすることで、カットインやするどいドライブにつながります。