熱くなれ2020!!
日大アスリートとともに

走幅跳 橋岡優輝 選手

スポーツ
2020年03月06日

走幅跳は天職

日本選手権3連覇、ユニバーシアード優勝、世界陸上8位入賞を果たすなど、日本走幅跳界のエースに成長した橋岡優輝(スポーツ科学部3年)選手。2019年シーズンを振り返るとともに、世界で戦うために必要なこと、2020年の目標などを聞いた。

橋岡優輝(スポーツ科学部4年)選手

橋岡 優輝 選手

―昨年はコーチである森長正樹先生の日本記録を抜き、世界陸上では入賞するなど、素晴らしい1年でしたね。

日本記録については同じ大会で記録を破られましたし、世界陸上はもっと戦えたという思いが大きく、悔しさがあります。ただ、いい形で東京五輪につなげるために世界陸上での入賞は必要だと考えていましたし、それをクリアできたので、昨シーズンは総合的に見て「少しいいシーズン」でした。

―初出場の世界陸上で、悔しさ以外に何か感じたことはありますか?

これまではテレビで見る側でしたし、世界陸上の舞台に憧れていたので、出場できることにワクワクしましたね。それと世界陸上の出場選手は遠い存在で、自分と彼らの間には大きな壁があると考えていましたが、実際にその舞台を経験したことで、それは僕の思い込みだということもわかりました。「自分も世界の舞台で戦える」と意識が変わったことはポジティブな要素ですね。

―世界陸上を戦い、ライバルもしくは「すごい」と感じた選手はいますか?

優勝したジャマイカのゲイル選手と、3位になったキューバのエチェバリア選手ですね。特にエチェバリア選手は脅威に感じました。

―どのような点が脅威なのでしょう?

僕と年齢が同じということですね。彼の跳躍を見て、今後僕と同じペースで成長したらと考えたら、言葉は悪いですけど「ヤバいぞ」と危機感を覚えました。僕は9メートルジャンパーを目指しているのですが、もちろんまだその記録が見える状態ではありません。しかし彼は現状で9メートルという記録を狙える選手で、おそらく今後は世界記録を更新する選手になるのではないかと思います。

―それは大きな脅威ですね。

ただ彼に勝つチャンスはあるとも考えています。記録では届かない存在になるかもしれませんが、毎回試合で自己ベストが出る訳ではないので。

―勝つために必要なことはなんでしょうか?

必要なのは自分のスタイルを確立し、それを熟練させることです。大学入学後は海外遠征が増え、いろいろな選手を間近で見ましたし、海外の指導法に触れることができました。その経験から、選手それぞれに合ったスタイルがあるということがわかりました。エチェバリア選手やゲイル選手は他の選手よりも確立したスタイルを持っているので、僕は自分のスタイルを彼らに負けないように磨く必要があります。

―メンタル面を保つ秘訣はありますか?         

僕にとって走幅跳は趣味というか天職みたいなもので、常に楽しいのです。もちろん苦しいこともありますが、それは弱い部分を鍛えているからで、結果的には苦しい練習も楽しんでいるんですよね。ですからあえて言えば楽しむことが秘訣になるのですが、それは意識していることではないので、メンタルを鍛える、保つために特別に何かをすることはありません。

インタビュー中の橋岡優輝選手

「アスリートを目指すかたには、競技人生すべてひっくるめて楽しんでもらいたい」

―世界陸上など、大きな試合でプレッシャーを感じませんでしたか?

ありません。先ほども言いましたがワクワクしかありませんでした。記録会でもオリンピックでも、試合で一番重要なのは自分のパフォーマンスを最大限引き出すことですし、芯にあるのは自分が楽しむということだけですね。

―走幅跳のここを見てほしいというポイントを教えていただけますか。

学校の授業などで、誰もが1度は経験したことがある種目だと思うのですが、一般の方だと3~4メートルぐらいが平均でしょうか。僕らはその倍以上を跳ぶので、ご自身の記録と比較して楽しんでもらいたいです。

―2020年の目標を教えてください。

東京五輪で金メダルを狙う気持ちはもちろんありますが、年齢を考慮すると競技人生のピークは次のパリ五輪、さらにその次のロス五輪になると思うので、まずはしっかりと自分の力を出して、色にこだわらずメダル獲得を目標にしています。

―最後にこれから世界を目指すアスリートにアドバイスをいただけますか?

本気で楽しんで競技に取り組んでください。ケガやうまくいかないことは必ずあると思いますが、そんなときこそ「どう楽しむか」が大事だと思います。

<プロフィール>
橋岡優輝
はしおか・ゆうき/スポーツ科学部競技スポーツ学科3年。
1999年1月生まれ。埼玉県出身。八王子高卒。
自己ベストは2019年アスリートナイトゲームズイン福井の8m32(日本歴代2位)。
国際大会:19年世界陸上競技選手権ドーハ大会8位、アジア選手権優勝。
国内大会:第103回日本陸上競技選手権大会優勝(3連覇)。