走幅跳 橋岡優輝 選手(大学院総合社会情報研究科1年)
走幅跳・橋岡優輝選手
6月24~27日に行われた日本陸上競技選手権大会の男子走幅跳で本学卒業生の橋岡優輝選手が8m36の自己ベストで優勝。この結果、自身初となる東京オリンピックの出場権を獲得した。
走幅跳を天職と語り、メダル獲得も期待される橋岡選手にオリンピック直前の現在の心境を聞いた。
自分自身の成長のためにメダル獲得が必要だと語る橋岡選手
―東京オリンピック出場、おめでとうございます。代表が内定した際の心境を教えてください。
参加標準記録を突破していたので、日本選手権で3位以内に入れば内定するという状況でした。その中でしっかりと優勝して内定を勝ち取れたので、安心しました。
―試合後には悔しいとインタビューに答えていましたが、二つの感情があったということでしょうか?
そうですね。オリンピック内定は安心しましたが、競技の面ではすごく悔しかったです。日本記録更新を狙っていたのですが、あと4センチ及びませんでした。
―周囲の方々の反応はいかがでしたか?
多くの方々から祝福の連絡をもらいました。素直にうれしかったです。
―陸上競技経験者で共に元日本記録保持者のご両親からはどのような言葉を掛けられましたか?
日本選手権が終わって数日後に会ったのですが、「とりあえず、よかったね」という言葉をもらいました。近しい人たちからは当然オリンピックに出場すると思われていたようです。
―オリンピックが1年延期したことによって何か影響はありましたか?
競技人生のピークでのオリンピックはパリやその先のロサンゼルスになるでしょうし、今は競技力が向上している最中なので、コロナ禍だから特別に何かが影響したということはありません。この1年は自分の持っているものを伸ばすことを考えていました。
―コロナ禍では通常のトレーニングをすることが難しかったのではないでしょうか?
はい。工夫をする必要がありましたし、質のいい満足な練習ができない時期もありました。昨年、初めて緊急事態宣言が出たときには、公園などでトレーニングをしたのですが、1カ月ほど経ってもコロナが収まる気配をまるで感じられなかったので、長く続くことを覚悟しました。それと同時にメンタル的な疲れも感じましたね。
―以前のインタビューで「陸上は天職。常に楽しい」と答えていらっしゃいましたが、メンタルの疲れによって楽しむことが難しくなりましたか?
メンタルの疲れからではなく、試合がなくなったことが影響しました。僕の陸上の楽しみ方というのは、試合で自分の状態を確認し、次の試合に向けて進めていくというプロセスにあります。コロナによってオリンピックだけでなく、その他の試合もなくなるという状況になり、1年後の大舞台に向けてトレーニングを重ね、その上で楽しみを見出すというのは少し難しかったです。
―そのような状況で何か新しい試みをされたのでしょうか?
短距離選手、走り幅跳びの上位選手の動画を見ました。跳躍ではなく助走の出力などに注目し、試すことで改めて体の動かし方などについて、原点に戻って考えることができました。結果的にこの1年で基礎的な力がアップしましたし、その成果は競技的に数値としても現れています。
競技力を高めるために今年度から本学通信教育部の大学院へ進んだ
―今春には本学を卒業し、富士通に入社されました。新しい環境での生活はいかがですか?
今でも練習拠点を日大に置いていますし、4年生のときはコロナの影響で授業がオンラインに変わったので、環境はあまり変化していません。あえて挙げるなら、授業がない分、より競技に集中できていることですかね。
―そういった意味でも東京オリンピックまでのステップとしては橋岡選手の理想通りに進んでいるのでしょうか?
理想的ではないですね。記録はもちろん、試合の流れなど、もうちょっとできたと感じています。ただ勝負事は運の要素もあるので、仕方がない部分もあるのですが。
―試合では運が足りないと感じることがあったのですか?
はい。あとはコロナで無観客試合になったことも影響していると思います。やはりお客さんが与えてくれる力のすごさというのを改めて実感しました。
―いよいよオリンピックも直前に迫ってきましたが、今の時期で注意を払っていることはどんなことでしょうか?
体調管理ですね。食事の部分ではバランスを考えて摂っています。あとは梅雨がまだ明けていないので、気温にも注意しています。肌寒さを感じたら上着を身に付けて、お風呂では湯船に浸かって体を芯から温めるなどですね。
―では最後に東京オリンピックの目標を教えてください。
メダル獲得です。先ほども言いましたが、僕の競技人生はまだまだ続きますし、選手としてのピークは先にあると考えていて、東京オリンピックは通過点の一つと捉えています。それでも現役中に自国開催がこの先あるかどうかわかりませんし、自分自身を成長させる1番の舞台だとも考えています。そのチャンスをしっかりと掴む試合にしたいですね。
<プロフィール>
走幅跳
橋岡優輝(はしおか・ゆうき)選手
大学院総合社会情報研究科1年。1999年1月23日生まれ。埼玉県出身。八王子高卒。2021年スポーツ科学部競技スポーツ学科卒。富士通所属。
19年世界陸上8位
19年アジア選手権優勝
21年日本陸上競技選手権大会優勝。自己ベストは同大会で記録した8m36。
室内走幅跳の日本記録保持者(8m19)