消化器病センター概要
日本大学病院では消化器内科と消化器外科が1つの部門である消化器病センターとして日々診療にあたっております。
内科、外科の垣根を越えて、消化器疾患を扱う医師が1つのチームとして診療を行うことで、より合理的で効果的な質の高い医療を目指しております。
外来では3階の3-15から3-22までの診察室が、病棟では10階のA、B両病棟が消化器病センターとして機能し、さらに内視鏡室、超音波室には常時、消化器内科医師が外来、入院患者さんの検査、治療にあたっております。


センター長からの挨拶・特色

ようこそ日本大学病院消化器病センターのホームページにいらっしゃいました。当センターは2014年10月に現在の新病院が開院して以来、消化器内科と消化器外科が密に連携して診療に取り組んで参りました。入院病棟は10階のワンフロア10A,10B病棟)を中心としておりますので、合同治療はもちろんのこと、内科から外科、あるいはその逆においても診療移行がスムーズです。
早期の食道・胃・大腸癌や胆道系疾患は内視鏡を用いた低侵襲治療が広く用いられる様になっております。外科手術であっても、内科医が協同して行う手技も徐々に増えてきました。進行した病期のがんに対する化学療法も年々進歩していっております。はじめは根治不能と評価された場合でも、化学療法と外科手術をうまく組み合わせることで根治が得られることもあります。手術治療のタイミングを逃さない様に、内科治療、外科治療の効果を最大にするためにも内科と外科の連携が益々必要とされている時代となっております。内科を受診したらよいのか、外科を受診したらよいのか迷うこともあるかと存じますが、いずれを受診していただいても内科と外科が協力して診療しています。安心して当消化器病センターをご利用していただければ幸いです。
消化器病センター長
日本大学医学部外科学系消化器外科学分野教授
山下裕玄
診療科別概要
消化器内科
消化器内科は、消化管グループ、胆膵グループ、肝臓グループの3つグループで構成され、より専門的な診断、治療を行っております。
消化管グループ
胃癌に対する内視鏡切除の権威である後藤田卓志教授を筆頭に、食道・胃・大腸癌に対する内視鏡診断・治療(内視鏡的粘膜下層剥離術)を柱に診療を行っています。その他、消化管癌に対する化学療法、炎症性腸疾患などの難治性良性疾患なども診療しております。また、私たちの持つ高い内視鏡技術を生かして、消化管出血等の急性期疾患に対する最後の砦としての機能も果たしております。


胆膵グループ
胆道(胆管、胆嚢)と膵臓疾患の診断、治療を診療ガイドラインにそって専門的に行っています。対象疾患は胆管癌(肝内、肝門部領域、遠位)、胆嚢癌、膵臓癌に加えて十二指腸乳頭部癌などの悪性疾患や、胆嚢結石症、総胆管結石症、胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋腫症などの良性疾患、さらに緊急処置が必要な急性胆嚢炎、急性胆管炎も積極的に治療しています。まず外来で行うことのできる血液検査、腹部超音波、CT、MRCP、超音波内視鏡などの画像診断、上部消化管内視鏡を行い、診断に苦慮した場合は入院で超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診や逆行性膵胆管造影(ERCP)による組織検査、胆道鏡を用いた診断や治療も行っています。



肝臓グループ
びまん性肝疾患として急性肝炎、慢性肝炎(ウィルス性肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎など)、肝硬変症、門脈圧亢進症やその関連疾患(食道胃静脈瘤、肝性浮腫・胸腹水、肝性脳症など)、さらに腫瘍性疾患として肝細胞癌やその他の良性腫瘍を対象に診療にあたっております。
新病院移転時に超音波センターを設立し、CTやMRIのみならず最先端の超音波機器を設置し、総合的な画像診断により、精密で超早期診断が可能となりました。さらに携帯型超音波装置を用いたベッドサイドエコーや、救急外来診察における検査プランのスマート化、造影超音波を用いた癌治療の治療戦略、早期治療効果判定、合併症の評価も行っています。


医師紹介
消化器内科
後藤田 卓志ごとうだ たくじ
- 職位
- 教授
- 専門分野
- 消化管疾患・内視鏡診断と治療
- 疾病認定医
- 医学博士、厚生労働省臨床修練指導医,日本内科学会認定医・研修指導医,日本胃癌学会(理事),日本消化器病学会専門医・指導医,日本消化器内視鏡学会専門医・指導医,日本消化管学会認定医・指導医,日本ヘリコバクターピロリ学会認定医,埼玉医科大学客員教授(国際医療センター消化器内科),国立大学法人佐賀大学医学系研究科非常勤講師,国立大学法人筑波大学人間総合科学研究科非常勤講師,中華人民解放軍陸軍総医院客員教授,Fellow of American Society of Gastrointestinal Endosc
- 主な研究業績・著書
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応を決める金字塔となる論文を執筆,IF付英語論文は230本以上,現在も多施設前向き共同研究の主導的立場で推進,日本胃癌学会Nishi Memorial Award受賞2回,米国内視鏡学会のAnnula Audiovisual Award受賞2回,日本癌学会奨励賞受賞,日本内科学会指導教官賞受賞,Reviewer Award from GIE and VideoGIE
- その他
- 平成7年~平成22年まで国立がん研究センターに在籍、現在では標準治療となったESDの開発者の一人、5つの英文雑誌の編集委員、秋田県由利本荘市・にかほ市と「消化管がん予防・検診・治療学講座」を開設、海外でのESDおよび内視鏡診断における技術指導や講演は100回以上
今津 博雄いまづ ひろお
- 職位
- 診療教授、科長、内視鏡室長
- 専門分野
- 胆膵疾患・内視鏡診断と治療。門脈圧亢進症の診断と治療。
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医・研修指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本膵臓学会認定指導医、日本胆道学会認定指導医、日本門脈圧亢進症学会技術認定医・技術認定委員。
- 主な研究業績・著書
- 安全に胆膵内視鏡(ERCP関連手技)を行うためのデバイスや胆膵内視鏡スコープの開発に関する論文の執筆(先端斜め型カテーテル、マルチベンディング十二指腸スコープなど)と実際の製品化(世界の内視鏡診療で使用)、造影超音波内視鏡による胆膵疾患の診断に関する論文の執筆、アジア超音波医学会による造影超音波内視鏡ガイドライン作成・執筆(共著)、膵癌の超音波内視鏡診断ソフトウェア開発(特許取得)
- その他
- 2003~2004年にドイツ、ハンブルグ大学内視鏡科に留学、実地診療で当時の日本で行われていなかった治療的超音波内視鏡(特に膵炎治療)を修得、帰国後、東京慈恵会医科大学内視鏡科(教授)を経て、2017年より日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科(内視鏡センター長)、2022年より日本大学病院消化器内科へ赴任、過去5年間でも年間1000件以上の胆膵内視鏡を施行(2022年現在)、特に胆膵疾患に対する内視鏡診断・治療、早期膵癌の診断に注力。
今武 和弘いまたけ かずひろ
- 職位
- 健診センター
- 専門分野
- 消化管(上部消化管)
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医,日本消化器病学会専門医・指導医,日本消化器内視鏡学会専門医・指導医 日本消化器がん検診学会認定医・指導医,日本がん治療認定医,日本がん検診・診断学会認定医,人間ドック健診専門医・指導医
- 主な研究業績・著書
- 胃酸分泌に関する基礎的な研究を行ってきました。現在は健診センターに所属し、消化器がんの早期発見に努めています。
- その他
- 胃腸に関することは何でもお気軽にご相談下さい。また健診後の相談にも丁寧に対応致します。
渡邊 幸信わたなべ ゆきのぶ
- 職位
- 助手・超音波室長・病棟医長
- 専門分野
- 肝疾患(肝癌の診断と治療),超音波診断学
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医 ・総合内科専門医・研修指導医,日本超音波医学会認定専門医・指導医,日本消化器病学会専門医,日本消化器内視鏡学会専門医,日本肝臓学会専門医
- 主な研究業績・著書
- Utility of Contrast-Enhanced Ultrasound for Early Therapeutic Evaluation of Hepatocellular Carcinoma After Transcatheter Arterial Chemoembolization. J Ultrasound Med. 2020 Mar;39(3):431-440.
Solitary Variceal Rupture in the Small Intestine. Intern Med. 2017;56(6):651-655.
- その他
- 日本超音波医学会代議員
市島 諒二いちじま りょうじ
- 職位
- 助教
- 専門分野
- 消化管疾患(食道・胃・大腸)・内視鏡診断と治療 内視鏡鎮静
- 疾病認定医
- 医学博士 日本内科学会認定内科医・研修指導医・総合内科専門医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医 日本肝臓学会専門医 日本消化管学会胃腸科専門医・指導医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 主な研究業績・著書
- ・Effcacy and safety og grasping forceps-assisted endoscopic resection gastric
neoplasms;Amulti-centre retrospective study World J Gastrointest Oncol.2021 Mar
15;13(3):174-184.
・Efficacy of macrogol 4000 plus electrolytes in bowel preparattion for colonoscopy in
patieents with chronic constipation BMC Gastroenterol. 2021Oct 19;21(1):387.
・Effcacy of Full-Spectrum Endoscopy to Visualize the Major Duodenal Patients with
Familial Adenomatous Polyposis. Digestion. 2020;101(5):563-570.
・Ex vivo porcine model study on the treatment outcomes of scissor-type knife versus
needle-type knife in endoscopic submucosal dissection performed by trainees. BMC surg.
2020 Nov 19;20(1):287.
・Randomized controlled trial comparing conventional and traction endoscopic submucosal
dissection for early colon tumor (CONNECT-C trial). Dig Endosc. 2023 Jan;35(1):86-93.
・First dose-ranging study of remimazolam in Japanese patients undergoing
gastrointestinal endoscopy: Phase II investigator-initiated clinical trial. Dig Endosc. 2022
Nov;34(7):1403-1412.
Best review award 2022 (DEN Open)
- その他
- 日本消化器病学会 関東支部評議員 , 日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員・学術評議員, 日本消化管学会 代議員
平山 みどりひらやま みどり
- 職位
- 研究医員
- 専門分野
- 肝疾患,超音波診断学
- 疾病認定医
- 日本内科学会専門医,日本消化器病学会専門医,日本消化器内視鏡学会専門医,日本超音波医学会専門医・指導医,日本肝臓学会専門医,臨床研修指導医
- 主な研究業績・著書
- その他
- 日本超音波医学会代議員
金子 真大かねこ まさひろ
- 職位
- 外来医長・助手
- 専門分野
- 肝疾患,超音波診断学
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医,日本消化器病学会専門医,日本肝臓学会専門医,日本超音波医学会認定専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、臨床研修指導医
- 主な研究業績・著書
- "・Renal vein measurement using ultrasonography in patients with cirrhotic ascites and congestive heart failure. J Med Ultrasonics. 2021 Apr;48(2):225-234.
・腹部エコーの“みかた”. 日本医事新報社"
- その他
- 日本超音波医学会代議員
大澤 朗太おおさわ ろうた
- 職位
- 助手
- 専門分野
- 胆膵疾患
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医
- 主な研究業績・著書
- その他
須田 清一郎すだ せいいちろう
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 肝臓疾患
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医、日本ヘリコバクターピロリ学会認定医科学会認定医、
- 主な研究業績・著書
- その他
高須 綾香たかす あやか
- 職位
- 大学院生
- 専門分野
- 消化管疾患
- 疾病認定医
- 内科認定医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、ヘリコバクターピロリ学会認定医
- 主な研究業績・著書
- ・Utility of a novel self-assembling peptide for bleeding from the specimen side during gastric endoscopic submucosal dissection. Dig Endosc. 2022 Nov
・Comparison of Conventional and New Endoscopic Band Ligation Devices for Colonic Diverticular Bleeding. Clinic Endos. 2022 Feb 18
・Use of the NOBLADS Score to Predict Endoscopic Treatment in Patients with Colonic Diverticular Bleeding by Age Stratification. Intern Med.2022 Mar
・Comparison of Conventional and New Endoscopic Band Ligation Devices for Colonic Diverticular Bleeding. Clinic Endos. 2022 Feb 18
・Use of the NOBLADS Score to Predict Endoscopic Treatment in Patients with Colonic Diverticular Bleeding by Age Stratification. Intern Med. 2022 Mar
- その他
山田 康嗣やまだ こうじ
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 胆膵疾患・内視鏡診断と治療。
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、ヘリコバクターピロリ学会認定医
- 主な研究業績・著書
- その他
中山 昌子なかやま まさこ
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 消化管 消化器癌の内視鏡治療
- 疾病認定医
- 主な研究業績・著書
- その他
小西 彩こにし あや
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 消化器内科疾患一般
- 疾病認定医
- 内科専門医
- 主な研究業績・著書
- その他
山田 優紀やまだ ゆうき
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 消化管、肝臓疾患
- 疾病認定医
- 主な研究業績・著書
- その他
小川 眞広おがわ まさひろ
- 職位
- 非常勤(板橋病院) 准教授
- 専門分野
- 超音波診断学,総合画像診断,肝がんの診断と治療
- 疾病認定医
- 日本内科学会認定医,研修指導医,日本消化器病学会専門医,日本消化器内視鏡学会専門医,日本肝臓学会専門医,日本超音波医学会認定専門医・指導医・理事,日本消化器がん検診学会認定医・指導医・理事,日本がん検診学会・診断学会認定医・認定医委員長・理事,日本がん治療認定医
- 主な研究業績・著書
- 腹部エコーを視て・診る 永井書店, 大阪, アグレッシブ腹部エコー(肝臓編)(DVD), ケアネット,US Labシリーズ3 腹部超音波検査のあっ?!あれ何だっけ?-走査のポイントと測定・評価のコツ, メディカ出版,US Labシリーズ6 カテゴリーが劇的にわかる 腹部超音波スクリーニング(平井都始子 編集), メディカ出版, US Labシリーズ7 腹部超音波検査のへぇ~!これそうなんだ! 用語・現象の原理を知って、検査にいかす!, メディカ出版, 一冊で分かる肝疾患 診断・治療のポイントが見てわかる ,文光堂,あなたも名医!jmed65 “見かた”と“診かた”のコツを伝授 腹部エコーの“みかた”, 日本医事新報社,
- その他
- 医療連携をはじめ医師・研修医・臨床検査技師などに対するハンズオンセミナーも教室スタッフで随時施行
青木 央あおき ひろし
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 消化器内科全般
- 疾病認定医
- 主な研究業績・著書
- その他
- 330
青木 央あおき ひろし
- 職位
- 専修医
- 専門分野
- 消化器内科全般
- 疾病認定医
- 主な研究業績・著書
- その他
- 330
消化器外科
消化器外科は、手術治療による恩恵を患者に提供することが最大の役割です。しかし外科手術においては“切る”という作業が当然ながら伴いますし、結果として手術治療によって患者さんに負担を強いることになります。特にがん手術においては、臓器を切除しその機能を失うことになりますので、手術の前後では生活の質が大きく変わってしまう場合も少なくありません。がんの根治という視点には最大限の関心が払われるべきですが、一方で患者さんの生活の質を出来るだけ本来あるべき形に近づけることも同時に極めて重要なことであります。現在の標準的手術治療を常に念頭におきつつ、患者さんに理想的なベストな手術治療は何か?を常に考えて診療にあたっております。
患者さんの負担軽減を目指した低侵襲手術は普及が進んでおり、当院でも早くから導入して参りました。腹腔鏡、胸腔鏡・縦隔鏡を用いた手術では、大きな傷がないために術後の痛みは一般的に少ないです。痛みが少ないために早期から体を動かすことができますのでリハビリが進みやすいというメリットがあります。特に高齢患者さんでは、筋力が低下していることが少なくありませんので、早期からリハビリが可能となる低侵襲手術は大きなメリットがあると考えております。
一方で、進行がんの治療に際しては低侵襲手術のみという訳にはいかないのも事実です。手術治療では根治が得られないという場合も少なくありません。抗がん剤、放射線治療のみならず、消化管ステント(がんで狭くなった部分を拡げる)や胆道ドレナージといった手技も必要となる場合があります。近年の抗がん剤治療の進歩により治療成績は改善してきており、特に、これまでは切除不能と評価されたがんであっても、抗がん剤が効いた結果切除可能となることも見られるようになってきました。もちろん、抗がん剤が全例に効いてくれれば良いのですがまだそこまでの成績は得られておりません。しかし、これらの治療・手技をうまく組み合わせた“集学的”治療により成果が最大となる様、常に考えております。
それぞれの患者さんに最善の治療を提供できる様、患者さん自身が最善であったと感じて頂ける様、患者さんに寄り添った外科医グループであり続けたいと思います。
消化器外科教授 山下 裕玄
参加している臨床試験
腹膜転移陽性の進行再発胃癌に対する腹腔内化学療法
食道胃接合部癌に対する集学的治療
経肛門的内視鏡下手術
再発ヘルニアに対する手術治療
単孔式手術
土曜日手術
胆石症や内痔核、鼠径ヘルニア等の良性疾患に対する手術(腹腔鏡手術も含む)は、患者様のニーズを踏まえて土曜日でも手術が行える体制を構築しております。前日の金曜日に入院をしていただき、土曜日の午前中に手術を行います。外科スタッフや手術室スタッフは、平日と同様の体制で手術を行うことが可能であり、週末の時間を有意義に利用することができます。ご興味がありましたら、お気軽に外来医師にご相談ください。

抗がん剤治療
消化器がんは、以前は他のがんに比べて、“抗がん剤が効かないがん種“といわれてきました。しかし、2000年代に入り様々な抗がん剤が使用可能になり、その概念はかなり変わってきております。特に胃がんや大腸がんに関しては2005年の新規抗がん剤の出現以来、大きな変革を遂げ、現在では殺細胞性の抗がん剤だけでなく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など様々な抗がん剤が用いられて、それに伴い予後の延長も認められてきました。
現在では切除不能の大腸癌であっても、2年以上も進行を抑えながら日常生活を送っていらっしゃるかたも大勢おります。当科では1990年代から消化器がんに対する抗がん剤治療を行ってまいりました。そして、国内の様々な試験にも積極的に参加し、国内のエビデンスの確立にも寄与してまいりました。
本邦では消化器外科医が抗がん剤治療を行う施設も珍しくありません。そのメリットの一つに手術前から手術後まで、患者様の状態に合わせた集学的治療を行えるということがあります。
進行した消化器がんでは、術後に一定期間、抗がん剤を投与すること(術後補助化学療法といいます。)が一般的ですが、術後から抗がん剤の開始まで速やかな導入が可能になります。さらに、定期的なフォローアップの中で万が一再発を認めたとしても、抗がん剤を導入したり、再発部位によっては手術を先行したりと、様々な治療戦略を計画し、適切な手術のタイミングを速やかに決めることができます。
胃がんでは、近年、“コンバージョン治療”という言葉がよく使われております。これは切除不能であったものが抗がん剤治療によって根治切除が可能になり、手術がおこなわれることを言いますが、この適切なタイミングの選択も消化器外科医が抗がん剤治療を行う大きなメリットと考えております。
当科では臓器別に専門の担当医師が抗がん剤の選択を行っております。ご質問がありましたらお気軽にご連絡ください。
