ニュースレター

消化器病センター

2018年2月号

専修医 江崎 充
専修医 江崎 充

日本大学病院消化器内科専修医の江崎充と申します。今回のニュースレターでは、当院でも導入しました十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療について紹介いたします。


危険性の高い十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療

乳頭部を除く原発性十二指腸腫瘍は、頻度の低い腫瘍のひとつとされています。しかし、近年では積極的な内視鏡スクリーニング検査により、発見される数は増えてきています。その中には、癌化した病変や、癌化リスクを伴う病変が含まれています。そのため、胃・食道・大腸と同様に、十二指腸においてもリンパ節転移のない粘膜内病変に対して内視鏡治療が試みられています。内視鏡治療法としてスネア(ループ状のワイヤー)をかけて高周波電流を流して病変を焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)や高周波メスを用いて病変を剥離する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われます。しかし、十二指腸は他の臓器より壁が薄く、胆汁・膵液の消化液に直接暴露しています。そのため、術中や術後の穿孔、出血などの偶発症率が他臓器より高率となっています。国内の先進施設における十二指腸内視鏡治療成績の報告では、術中の穿孔率が5.4%、遅発性の穿孔率が1.6%、術後の出血率が3.6%でした。そして、全体の1.9%の症例で緊急手術を要していました。近年では偶発症率は低下してきていますが、なお危険度の高い治療とされています。


偶発症に対する予防方法

前述のように、十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療は穿孔率が高く、穿孔を起こすと多くは緊急手術を要することが問題となっています。術後に起きる遅発性穿孔は特に危険性が高く、これを予防するために様々な工夫が行われています。腫瘍を切除した後に形成される人工潰瘍に対して、クリップによる縫縮、ネオベールの貼付、over-the-scope-clip(OTSC)による縫縮、腹腔鏡内視鏡共同手術(LECS)による縫縮などが試みられています。
当院でも十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療の際には、安全を第一に考え、全例で治療後の潰瘍に縫縮を行っており、クリップによる縫縮を第一選択にしています。2017年に7症例の十二指腸腫瘍に対して初回治療として内視鏡治療を行いましたが、全例で一括切除でき、潰瘍底の縫縮も可能でした。幸い穿孔や出血を1例も経験しておりません。しかし、一度穿孔を起こすと重篤な状態になりうることがあり、より安全な方法を模索しています。
近年、ピロリ菌感染率の低下、積極的なピロリ除菌の成果により胃癌の発生頻度は明らかに減少しています。その中で、今後の上部消化管疾患の中で十二指腸腫瘍が占める割合が増えてくることが予想されます。そのため、当院では十二指腸腫瘍に対する診断・治療に対して力をいれてまいります。上部消化管内視鏡検査をご検討されている患者様や十二指腸腫瘍が疑われる患者様がございましたら日本大学病院・消化器病センターへご紹介いただければ幸いです。

江崎 充 : 山口県山口市出身。山口県立山口高校から九州大学医学部へ進学、平成21年度卒業。福岡済生会総合病院、北九州市立医療センターで研修を受けました。その中で、胃癌の全国多施設共同研究にて後藤田卓志教授の指導を受け、その後、平成29年日本大学医学部消化器肝臓内科へ入局しました。専門は消化管腫瘍に対する内視鏡治療です。食道・胃・十二指腸・大腸腫瘍に対するESDを500例以上経験してきました。

図:十二指腸腫瘍に対するESDの実際

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