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消化器病センター

2018年5月号

助教 萩原 謙
助教 萩原 謙

若葉青葉の好季節、先生方におかれましては、なお一層ご活躍のことと拝察いたしております。また日頃から患者様を紹介していただき、厚く感謝を申し上げます。
私は、腹腔鏡外科、上部消化管外科を中心に診療させていただいております萩原 謙と申します。今回は、先日改訂された胃癌治療ガイドラインについてお話しさせていただきます。


近年、エビデンスに基づいてさまざまな領域でガイドラインが作成されており、先生方におかれましても、当該領域のガイドラインを参考にしながら、日々の御診療に当たられる機会も多いことと存じます。
胃癌診療ガイドラインは、日本胃癌学会によって2001年3月に本邦初の治療ガイドラインとして作成され、最新版である第5版は2018年1月に改訂されたばかりです。第4版が2014年5月に改訂されましたので、今回約4年ぶりの改訂ということになります。
4年間という間隔で改訂されている背景には、胃癌における近年の様々な治療方法(内視鏡的切除、腹腔鏡下手術、化学療法など)の進歩とそれらのエビデンスの構築があります。


今回の改訂で、いくつか主だった改訂のポイントをご紹介します。
手術に関しては、2014年までは胃全摘術におけるD2リンパ節郭清には、脾臓の摘出が標準とされておりましたが、臨床試験の結果をふまえ、病変が大弯側にかからなければ脾臓を温存する術式が標準とされました。また肝転移や腹膜播種のような非治癒因子を有する進行癌に対しては、以前は癌の減量を目的とした手術が行われることもありましたが、今回の改訂ではそういった手術は否定され、化学療法が推奨されるようになりました。腹腔鏡下手術は、既に2014年度版よりStage I症例に対する幽門側胃切除術が日常診療の選択肢になりうると明記されましたが、今回の改訂では胃全摘術においても肯定的なコメントが明記されました。他には網嚢切除の否定や術前化学療法の推奨なども新たな改定のポイントであります。
内視鏡的切除に関しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)適応病変が新設され、これまで適応拡大病変としていた2cm超や潰瘍を伴う病変であっても分化型や粘膜内癌(cT1a)であれば可能であると明記されました。
化学療法でも様々な変更があります。一次治療、二次治療、三次治療のすべてのカテゴリーにおいて追加、変更がありましたが、特に二次治療にはラムシルマブという分子標的薬が、三次治療にはニボルマブという免疫チェックポイント阻害剤が明記されました。免疫チェックポイント阻害剤は、既に悪性黒色腫や肺小細胞などに適応が通っている新規治療薬ですが、消化器癌では胃癌が初めての適応となります。


以上のように多様化する胃癌治療でありますが、色々な選択肢が増えても、それを十分に把握し、適切なタイミングで適切な治療を選択していくことが必要です。現在、当院消化器病センターでは、消化器内科の後藤田卓志センター長と私が日本胃癌学会の代議員を務め、最新の知識を取り入れながら内科と外科で連携をして適切な治療を選択し、質の高い治療を提供させていただいております。消化器外科においては腹腔鏡下手術から化学療法にいたるまですべての選択肢が提供可能です。胃癌治療においてお困りのことがありましたら是非ご紹介いただけたらと存じます。今後ともよろしくお願い申し上げます。


萩原 謙 紹介:群馬県前橋市出身。1999年日本大学医学部卒業。初期臨床研修を経て2001年に日本大学消化器外科に入局。2005年3月より日本大学病院に勤務。専門は上部消化管外科(食道、胃)、腹腔鏡手術、消化器癌化学療法。日本外科学会指導医・専門医、日本消化器外科学会指導医・専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、アメリカ内視鏡外科学会(Society of American Gastrointestinal and Endoscopic Surgeons)国際会員、日本胃癌学会代議員、腹腔鏡下胃切除研究会世話人、関東腹腔鏡下胃切除研究会世話人、JACCRO(日本がん治療臨床試験推進機構)施設代表他。


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