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整形外科センター

2018年12月分

整形外科科長職務代行 洞口 敬
整形外科科長職務代行 洞口 敬

整形外科医とファシア @H30


運動器疼痛の治療を行う科は、手術的治療法を除けば整形外科以外にもペインクリニック,リウマチ膠原病内科,総合診療科,あるいはNSAIDやシップ製剤の処方のみを含めると内科系・外科系のほとんどの科の医師が行っている。しかし正確な診断(真の発痛源解明)や、疾患の進行度合いに応じた治療戦略を考えながら多様な治療を行えるのは、やはり整形外科であると言えるし、それをしなければ整形外科医が運動器疼痛疾患を治療対象の本丸としているとは言えない。従来、運動器疼痛疾患の一因にfascia*の異常があるという概念は整形外科学には存在せず、標準的な整形外科の教科書にも未だ記載はない。 近年、運動器超音波診断装置(以下, エコー)の精度向上は、fasciaの鮮明な可視化、さらにはfascia release法の一つである注射手技のエコーガイド下ファシアハイドロリリース法**(以下,FHR)の創出をもたらし、少なくとも臨床の場においてはfasciaが原因で引き起こされる病態およびFHRにより改善する現象が報告されている。しかしながら現時点では、fasciaに関する基礎医学研究は十分とは言えない。故に平成30年の時点では、整形外科医は従来の診断ステップを踏襲し、あるいは検査的治療を行いながら運動器疼痛疾患を慎重に除外診断した後、fasciaに原因を求めていくことが妥当であろう。私の専門分野でもあるスポーツ整形領域においてもFHRの恩恵は大きい。FHRは疼痛治療のみならず、これまで自らは対応するすべを持たずに言葉を濁してきたことが否めなかった局所の違和感・張り感といった主訴にも対応できる。さらに関節の可動域や筋・腱あるいは末梢神経の動きをも即時的に変化させることが可能である(例 : アキレス腱周囲炎,肉離れ後の違和感,膝蓋腱炎,投球肩の後方タイトネス,神経原性野球肘)。   
今後fasciaに関する研究は、これまで原因不明や心因性と診断され不適切な薬の処方を受けてきた患者、さらには保存加療無効につき手術適応と判断されてきた患者の治療にも役立つことが期待され、FHRを含む保存療法と手術(除痛に加え病期病態の進行予防や活動能力改善を目的とした)の治療戦略内の位置づけにも注視・熟考する機会が増えてくると思われる。
*Fascia(ファシャ): 定義は国際的にも議論中であり、主要な定義候補は以下の2つです。1)定義A:筋膜Myofasciaに加えて腱, 靱帯, 神経線維を構成する結合組織, 脂肪, 胸膜, 心膜など内臓を包む膜など骨格筋と無関係な部位の結合組織を含む概念であり、その線維配列と密度から整理されます。2)定義B:鞘, シート, あるいは剖出可能な結合組織の集合体で、裸眼で肉眼的に確認可能な程の大きさがあります。そして、Fasciaは皮膚と筋の間(皮下組織),筋周囲,末梢神経と血管をつなぐ、それら関連構造をも含みます。上記2種のFasciaの定義を融合させるための議論が進んでいますが、未だに統一見解には至っておりません。
**FHR: 一般的に手技名は「A(対象)を、B(例:道具)を用いて、C(現象・手技)する」という要素で構成されます。つまり、Fascia(A)を液体で(B)リリースする(C)ことがFascia Hydrorelease(ファシア・ハイドロリリース)となります。そのため、ハイドロリリースという用語自体は、その対象までを含む言葉ではありません。即ち、Fasciaを対象とした場合はFascia Hydrorelease、あるいは神経を対象とした場合はnerve Hydrorelease(神経ハイドロリリース)などと、その対象に係る語と組み合わせて使用することが基本となります。(https://www.jnos.or.jp/for_medicalから引用しております。詳細はご覧ください。)


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