アイセンター
2022年8月号
常々、先生方の貴重な患者様を多数ご紹介下さりありがとうございます。
先生方におかれましては、新型コロナウイルス感染症の第7波の突入により、再び診療から日常生活に至るまで多大なる影響が生じ、大変なご苦労があるかと存じます。
さて、新たな話題として、AMDの新しい抗VEGF薬についてお知らせいたします。
現在、抗VEGF薬として、ルセンティス(ラニビズマブ)、アイリーア(アフリベルセプト)、ベオビュ(ブロルシズマブ)、ラニビズマブBS(ラニビズマブ)を使用していますが、先日、国内でバビースモ(ファリシマブ)が薬価収載され、当院でも6月より投与を開始しております。バビースモは、VEGF-A及びアンジオポエチン-2と特異的に結合する眼科領域初のバイスペシフィック抗体で、血管透過性亢進と血管新生の抑制だけでなく、血管安定性の向上の作用があります。当院も参加した日本人を含む国際共同第Ⅲ相試験(TENAYA試験)では、最高矯正視力スコアのベースラインからの変化量(1年)において、ファリシマブのアフリベルセプトに対する非劣性が検証されました。導入期4回投与後の4か月間隔の割合は46%で、ファリシマブによる投与間隔の延長が期待できる結果でした。また、眼内炎症などの有害事象もアフリベルセプトと同様に少なく安全に使用できることが確認できています。
我々が、このバビースモに期待することは、これまでの抗VEGF薬を使用しても滲出が残存し投与間隔の延長ができない症例に、滲出の吸収が得られ、投与間隔の延長ができるかどうかです。結果的にトータルの投与回数が減らせることが患者様にとって大きなメリットになります。これまでの抗VEGF薬と同様にバビースモに関しても、多数のデータを集積し、効果を判定していきますので、多くのAMDの患者様をご紹介頂けると幸いです。よろしくお願いいたします。